災害関連死とは?
地震や津波など、災害による直接的な被害で亡くなるのではなく、避難生活を続けるなかで体調を崩し、病気の発症や持病の悪化などで亡くなることを指します。
災害関連死ゼロへ!
きれいなトイレは
命を救う!!
熊本地震の災害関連死者数
2016年4月14日(前震)・4月16日(本震)に発生した「熊本地震」においては、死者数270名と甚大な被害をもたらしました。このうちの直接死者数は50人で、災害関連死者数は220人。なんと災害関連死者数の割合は81.4%にも達します。じつに8割もの人が、直接死ではなく、その後の避難生活中に起きた問題によって亡くなっています。
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災害関連死の状況(熊本地震)
災害関連死者数:220人
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- 死者数
- 270人
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- 直接死者数
- 50人
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- 災害関連死者数
- 220人
(熊本県熊本県「平成28年熊本地震等に係る被害状況について【第288報】」 平成31年3月13日16時30分発表)
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発災から死亡までの期間(熊本地震)
1か月以内 69人(35.0%)
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- 1週間以内
- 51人 (25.9%)
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- 1か月以内
- 69人(35.0%)
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- 3か月以内
- 47人(23.9%)
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- 6か月以内
- 23人(11.7%)
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- 1年以内
- 7人(3.6%)
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- 2年以上
- 0人(0.0%)
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災害関連死の具体例
内閣府がまとめた「熊本地震」の災害関連死に関する資料には、いわゆる災害関連死の例が公開されています。高齢者だけではなく、30代や40代の人も災害関連死で亡くなられています。
災害関連死の原因(熊本地震)
- 避難中の車内で74歳女性が、疲労による心疾患で死亡
- 78歳男性が、地震後の疲労等による心不全で死亡
- 83歳女性が慣れない避難所生活から肺炎状態となり、入院先の病院で死亡
- 32歳男性が、地震による疲労が原因と思われる交通事故による死亡
- 43歳女性が、エコノミー症候群の疑いで死亡
- 88歳男性が地震による栄養障害及び持病の悪化等により死亡
- 83歳女性が地震のショック及び余震への恐怖が原因で、急性心筋梗塞により死亡と推定
(内閣府 災害関連死について)
避難時の生活環境を
改善すれば、
多くの災害関連死を
避けられる
ここまでは、熊本地震の調査データを基に「災害関連死とは何か」を考えてきました。「阪神淡路大震災」や「東日本大震災」、「西日本豪雨」など、その他の災害においても避難時の生活環境に起因する災害関連死が問題視されてきました。せっかく震災や水害を逃れて助かった命が、その後の避難生活が原因となり命を落としてしまうのは、なんとも悲しい現実です。災害関連死を無くすために、今、わたし達が出来ることはなんでしょうか。
どんな場所が
避難所となるのか?
災害は、いつどこで、何をしている時に遭遇するのかは、誰にもわかりません。また、災害の規模や発災した時間帯により、自宅や避難所など、避難する場所も変わってきます。
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4月14日の地震発生時、あなたはどこにいましたか?
自宅:79.6%
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あなたはどこに避難しましたか?(自宅は除く)
指定避難所以外の施設に駐車した自家用車で車中に避難:26.4%
指定避難所:21.3%
指定避難所に駐車した自家用車で車中に避難:12.8%
避難生活の問題点は?
発災後に避難した避難所では、いつもの生活環境とは全く違った生活を送ることになります。食べ物や飲み物、寝る場所やトイレの問題、プライベートの確保など、これまでの避難生活において、多くの問題が提起され、取り組むべき課題となってきました。そのなかでも回避すべき大きな問題のひとつとして、避難所のトイレに起因する「負の連鎖」が挙げられます。
避難生活で起こる
「負の連鎖」とは?
発災後、ライフラインが停止されてしまうと水洗トイレが機能しなくなり、排泄物の処理が滞ることに……。そのような状態では、排泄物の細菌により、感染症や害虫の発生が引き起こされます。トイレが不衛生であるために不快な思いをする避難者が増え、トイレの使用をためらう人が出てくる。しかし、排泄を我慢することは、水分や食品摂取を控えることにつながり、栄養状態の悪化や脱水症状、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などの健康障害を引き起こす原因に。最悪の場合、死に至る危険性もあります。このような避難生活においてのトイレが原因で発生する問題は「負の連鎖」と呼ばれています。以下はわかりやすく「負の連鎖」を図解したもの。
水・食料同様に、
災害用トイレを備蓄する
多くの災害を経験したことにより、災害時におけるトイレの確保・管理が、避難者の健康にとってどれだけ重要な課題であるかがわかってきました。水・食料等の備蓄と同様の重要度で、災害用トイレの問題を認識し、適切な対応をしていく必要があります。また、避難場所でのトイレ清掃・衛生環境維持など、排泄物の処理や管理の面においても負担のない災害用トイレを導入する必要があります。もしもの時に備えて災害用トイレの備蓄が推奨されています。
災害関連死ゼロ
サミットに協賛
日本セイフティー株式会社は、一般社団法人助けあいジャパン主催の「災害関連死ゼロサミット」に協賛しています。「災害関連死ゼロサミット」とは、災害関連死をゼロにする社会実装を目指すことを目的とした全国会議です。
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「第弐回 災害関連死ゼロサミット」
「法律」「自宅避難」で災害関連死ゼロにする方法災害関連死をゼロにするのはそんなに簡単じゃない。みんなの力とアイデアが必要。 災害支援現場を多く知る専門家の皆さんと全国の担当者の意見交換会です。意見交換の時間をたっぷりと取りたいと思います。
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- 日 時
- 2020年11月27日(金)
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- 講 師
- 岡本 正氏 / 目黒 公郎氏
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- ナビゲーター
- 石川淳哉
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- 主 催
- 一般社団法人 助けあいジャパン
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- 協 賛
- 日本セイフティー株式会社、株式会社総合サービス
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「第壱回 災害関連死ゼロサミット」
コロナ時代、トイレの重要性災害避難所でコロナクラスターを未然に防ぐには、どんな準備、心構えが必要なのか?その時のトイレの重要性を改めて考えてみる。災害支援現場を多く知る専門家の方々と全国の担当者の意見交換会。
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- 日 時
- 2020年8月8日(土)
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- 講 師
- 鍵屋 一 氏 / 国崎 信江 氏
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- ナビゲーター
- 石川淳哉
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- 主 催
- 一般社団法人 助けあいジャパン
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- 協 賛
- 日本セイフティー株式会社
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都道府県の
SNSで情報を入手
各自治体では、災害時の避難場所が定められています。避難勧告や避難指示が発令された時には、速やかに避難場所に移動できるよう、市町村のホームページやパンフレットなどで、あらかじめ確認しておくことが大切です。