高齢期の住まい選びに直面した際に「何から手を付けたら良いのだろう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
その選択肢の一つに「シニア向け分譲マンション」があります。これは、一般的な老人ホームとは異なり、元気な高齢者が安心して自由に暮らせるように設計された住居です。
しかし「分譲マンション」と聞くと、一般的なマンションと何が違うのか、どのようなサービスが受けられるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、具体的なイメージがつきにくいかもしれません。
この記事では、老後や両親の住まい選びで迷っている方に向けて、シニア向け分譲マンションの基本的な仕組みや、入居するメリット・デメリットを分かりやすく解説します

シニア向け分譲マンションとは

シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいよう建物全体がバリアフリー化された分譲マンションを指します。
マンションによって充実度が異なりますが、レストランや大浴場などの共用部分が充実しており、入居者に対し、食事、余暇活動の場、コンシェルジュサービスが提供されます。
ただし、シニア向け分譲マンション自体は介護サービスを提供していません。要介護状態であって介護サービスを利用する場合は、外部のサービス提供事業者と契約して利用する形となります。

シニア向け分譲マンションの入居条件

シニア向け分譲マンションは、自立した高齢者(65歳以上)を入居の対象としているのが一般的です。ただし、マンションによっては、年齢制限を設けていなかったり、要介護状態の高齢者を受け入れていたりするなど、条件が異なりますので、入居前に確認すると良いでしょう。

シニア向け分譲マンションの設備とサービス

居室

居室は35~100㎡の広さが一般的で、リビング、ミニキッチン、トイレ、浴室があります。リビングの広さはマンションの規模や契約によって異なります。
居室には緊急時に管理室への連絡が可能な装置(緊急通報サービス)が設けられている場合が多く、もしもの時にも安心です。

共用部分

設備の充実は各マンションによって異なりますが、一般的には次の設備が設けられている場合が多いです。

設備内容
レストラン入居者が食事をする場所。
食事内容を選択できる場合もある。
浴場施設によって大小は異なるが、入居者が入浴できる浴場がある。地域によっては温泉が出ていることも。
プール設置しているマンションは限られるが、入居者が利用できる(温水)プールがある。
趣味活動の スペースカラオケや読書、生け花や習字など、趣味活動を行うスペースが設けられている。

生活サポートサービス

シニア向け分譲マンションのなかには、次の生活サポートサービスを提供しています。

種類内容
見守りサービススタッフによる入居者への定期的な声かけ、安否確認が行われる。
緊急時対応急病や事故の場合に、スタッフが駆けつけて緊急搬送の依頼や、家族への連絡など実施してくれる。
健康相談スタッフが健康上、生活上の相談に乗ってくれる。
コンシェルジュサービスコンシェルジュが来客の受け付け、宅配便の取り次ぎ、タクシーの手配などを行ってくれる。
その他居室内の掃除、買い物代行などのサービスが提供される。有料の場合が多い。

これらの生活サポートサービスは、マンションによって提供の有無が異なります。入居する前に確認し、自身のニーズに適うかどうかチェックしましょう。

シニア向け分譲マンションの費用

シニア向け分譲マンションの費用は、初期費用と月額費用の2つに分けられます。
次のとおりです。

項目内容
初期費用マンションを購入する際にかかる費用。物件価格だけでなく、購入の手数料や不動産取得税などの諸費用がかかる。
例)数千万円~数億円
月額費用マンションで生活を送るうえでかかる費用。これには管理費や修繕積立金、食費、水道光熱費、生活サポート費用がある。外部の介護サービスを利用すれば、その自己負担分がある。
例)10万円~30万円

これらの費用は、マンションの立地や規模、居室の広さや築年数、提供されるサービスによって大きく異なるため、注意が必要です。

シニア向け分譲マンションのメリット

資産として保有できる

シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションと同じで、入居者はこれを購入し、資産として保有できます。
そのため、自分好みに居室内のリフォームをすることができるだけでなく、利用しなくなったら売却したり、賃貸物件として他者へ貸し出すこともできます。

生活の自由度が高い

シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションと同じで、多少の規則はあるものの、基本的には生活の自由度が高いです。
特別養護老人ホームや有料老人ホームの場合は、食事や入浴の時間が限られており、家族の面会時間に制限がありますが、シニア向け分譲マンションには、このような制限はありません。よって、生活上の自由度が高く、外出や外泊、親族を宿泊させることも自由にできます。

適度なコミュニティ活動

シニア向け分譲マンションは、入居者同士の適度なコミュニティ活動があります。
コミュニティ活動では他の入居者とともに、季節ごとのイベントを楽しんだり、共通する趣味を楽しんだりしながら、社会的交流を続け、楽しく暮らすことができます。
ただし、コミュニティ活動の充実度はマンションによって異なりますので、希望する方は入居前に必ず確認しましょう。

シニア向け分譲マンションのデメリット

費用が高い

シニア向け分譲マンションは、一般の分譲マンションと同様に、物件を購入する費用がかかります。
また、管理費や修繕積立金、コンシェルジュサービスや見守りサービスの利用料などがかかるため、ランニングコストが高くなりがちです。これに加えて、介護サービスを利用する場合はその自己負担分がかかり、固定資産税も負担しなければなりません。

介護状態によっては住み続けられない

入居時は自立していた方でも、加齢とともに心身機能が低下したり、大きな病気を患ったりして、重度の要介護状態になった場合には、外部の介護保険サービスを利用しながら生活するには限界があります。
よって、より介護サービスが充実している介護施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)や、有料老人ホームへの転居が必要となる場合があります。

物件数が限られている

シニア向け分譲マンションの物件数は増加しているものの、その数は十分であるとはいえません。
数が限られると「選べない」状況にあると言え、購入する際はその選択肢が少ない点がデメリットです。

シニア向け分譲マンション選びのポイント

シニア向け分譲マンションを選ぶ際、どのようなポイントを持てば良いのでしょうか。
以下、その視点を紹介します。

ポイント内容
コスト購入にかかる費用や、月々のランニングコストは負担できる程度のものか。
食事マンションで提供される食事は内容が充実しているか、
自分好みか、選択食か。
周辺の 便利さマンションが駅やバス停が近くにあって、外出に便利か。
近くに医療機関やドラッグストアがあって受診や買い物に便利か。周辺に急な坂はないか。
安心 安全マンション内の緊急通報サービスが充実しているか。
医療機関との連携はあるか。
近辺の治安はどうか。
雰囲気マンションの明るさや雰囲気が、自分の好みか。
設備・ 趣味活動マンション内の設備や娯楽施設が整っているか。
コミュニティ活動が充実しているか。
退去後のこと退去後の売却したり、賃貸に出したりすることに備えて、
リセールバリューが良いか。

他の施設との違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、自立〜軽度の要介護高齢者が入居する賃貸住宅です。
入居者の自由度は高く、住宅によっては趣味活動などのレクリエーションが充実しています。
賃貸住宅であるため、シニア向け分譲マンションよりも費用を抑えて入居することができます。
また、安否確認と生活相談サービスの提供が必須であるため、安心して生活を送ることができます。
ただし、家賃は一般の賃貸住宅よりも高く、入居には連帯保証人や身元引受人を立てる必要があります。

介護付き有料老人ホームとの違い

介護付き有料老人ホーム は、介護を必要とする高齢者が入居できる民間の施設です。
入居者は契約によって利用権を得て入居し、施設スタッフによる介護サービスを受けることができるため、軽度〜重度の要介護状態、認知症の方でも利用できます。
シニア向け分譲マンションと比べて生活の自由度は低く、食事や入浴の時間はあらかじめ決まっています。外出や外泊には事前の届出が必要です。

まとめ

本記事では、シニア向け分譲マンションについて、その概要とメリット・デメリットを解説しました。
シニア向け分譲マンションは、一般的な老人ホームのような時間制限がなく、緊急時の見守りサービスなどの安心を得ながら、自立した暮らしを続けることができます。
しかし、初期費用と月額費用が高額になりがちであること、そして、介護度が重度になった場合に住み続けられず、介護施設への転居が必要になる可能性があるというデメリットを理解しておくことが重要です。
シニア向け分譲マンションが、本人や家族にとって最も望ましい住まいとなるのか、費用やサービス内容を他の施設と比較しながら慎重に判断しましょう。

参考文献

  1. 「シニア向け分譲マンションの供給動向から見える時代の変遷」公益社団法人 全日本不動産協会
  2. 「高齢時代の住宅のあり方に関する研究報告書」社団法人 不動産協会
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