介護情報
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地域包括支援センターとは?役割や利用対象者、相談内容例を解説
地域包括支援センターとは 地域包括支援センターとは、市町村が設置主体となり、住民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、無料で介護・医療・福祉などの相談に応じるとともに、必要な支援・援助につなげてくれる機関です。同センターは、市町村が直営するものもあれば、社会福祉法人や社会福祉協議会、医療法人などが委託を受けて運営するものもあります。おおむね、中学校区ごとに設置され、後述する各種相談に応じるとともに、要介護認定の申請窓口としての機能を持っています。センターには保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等が配置(後述)され、それぞれの専門性を発揮しながら、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために様々な支援を行います。高齢者や家族、地域住民の生活・福祉をあらゆる面からサポートしてくれる、まさに、地域の相談窓口と言えます。 地域包括支援センターの4つの役割 地域包括支援センターは、主要な4つの事業を通して地域住民の福祉を向上させる役割を担っています。それぞれが、どのような内容なのか詳しく説明します。 生活や介護に関する総合相談(総合相談支援事業) 地域包括支援センターは、生活や介護に関することだけでなく、医療、健康、住まいに関する相談を幅広く受け付けています。そのうえで、高齢者・家族の抱える悩みを聞き、様々な制度やネットワークを活用して、適切な支援制度やサービスへ繋げてくれます。上記以外でも「要介護認定の申請をしたい」「どこに相談したら良いか分からない」、「そもそも、相談して良い内容か分からない」といった些細な相談も受け付けてくれるので、困ったことがあれば、まずは地域包括支援センターに連絡することをおすすめします。 相談できることの例 将来、何かあったらと思うと不安。今からできることは?介護保険ってどうやって使うの?利用できる介護サービスを知りたい最近家族の物忘れがひどい、認知症が出始めて心配だ このようなサービスが地域にあったらいいな。実現できるか相談したいいつまでも地域の人たちと繋がっていたい住み慣れた地域での安心な暮らしのために貢献したい など 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業) 介護予防ケアマネジメントとは、地域に住む高齢者が要介護状態にならないように、健康づくりや介護予防を支援する事業です。高齢者や家族の相談に応じるなかで、その方の心身状況や希望を踏まえたうえで、健康的な生活の送り方や、サービスの利用に関する助言・紹介をしています。また、要介護認定で要支援1・2と判定された方が、加齢や病気によって心身が悪化しないように、介護予防を目的としたケアプラン(介護予防サービス・支援計画書)を立案します。 相談できることの例 要介護認定を受けたい、申請したい要支援1と判定されたけど、利用できる介護サービスを知りたいいくつになっても元気で健康でいるための運動をやってみたい脳トレなどをやって認知症を予防したい近所のサロンや老人会に参加して趣味や交友関係を広げたい など 権利擁護事業 権利擁護事業とは、高齢者が本来持つ権利や財産を守るための取り組みです。高齢者のなかには、自身が認知症になって財産管理や契約行為が難しくなったり、家族から虐待を受けていて人権が侵害されていたり、特殊詐欺や悪徳商法によって被害に遭ったりしている人もいます。地域包括支援センターでは、このような方たちの権利が侵害されることがないよう、成年後見制度の紹介・活用促進や、高齢者虐待の予防・早期発見、悪質商法や詐欺の被害を防ぐ取り組みを行っています。 相談できることの例 隣の家のおじいちゃんが顔にアザ、虐待を受けている?向かいの家の高齢夫婦が、しばらく姿を見せないので心配近所のおばあちゃんの家がゴミ屋敷、本人の姿を見かけないし、親族などとの付き合いもないようなので不安 など 包括的・継続的ケアマネジメント支援 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業とは、地域の医療・福祉機関が緊密に情報共有・連携できるよう、ネットワークを構築したり、連携の質的向上を図ったりする取り組みです。高齢者が住み慣れた地域で生活していくためには、必要なサービスが適切に利用できるよう、地域全体でその環境・体制を整えていなければなりません。そこで、地域包括支援センターが中心となって、地域で活躍する介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)の指導・支援を行うとともに、医療機関や支援機関とミーティングを行って意見交換し、必要に応じて連携が取れる体制を整えています。 対応してくれる専門職 地域包括支援センターに勤務し、活躍する専門職を紹介します。それぞれの専門職がどのような役割を担っているのか説明します。 保健師(看護師) 地域包括支援センターの保健師は、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応要支援状態の悪化防止に役立つ取り組み要支援1・2の方の介護予防ケアプラン作成心身の健康維持の取り組み など 社会福祉士 地域包括支援センターの社会福祉士は、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応高齢者虐待の防止、早期発見の取り組み成年後見制度の啓発、利用促進特殊詐欺などの予防啓発活動その他の権利擁護事業 など 主任ケアマネジャー 地域包括支援センターの主任ケアマネジャーは、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応地域におけるネットワーク力を高めるための取り組み地域で活躍するケアマネジャーの支援、助言ケアマネジャーが抱える支援困難ケースへの指導、助言 など 利用対象者 地域包括支援センターの主な利用対象は、センターが設置されている地域に住む65歳以上の高齢者とその家族です。要介護認定を受けているかどうかは問われていません。また、地域で活躍するケアマネジャーなど、介護・福祉、医療分野で活躍する専門職も同センターを利用できます。気軽に問い合わせて助言を得たり、情報交換したりすることができます。 費用・相談方法 地域包括支援センターは、全国どこのセンターでも無料で利用できるので安心です。直接、地域包括支援センターを訪問して相談することもできますが、電話相談をすることも可能です。 地域包括支援センターの利用方法 地域包括支援センターは、おおむね中学校区に1つが設置されており、どのセンターがどこの地域を担当するかは、あらかじめ市町村が決めています。初めて利用する場合は、まずは自治体の担当窓口へ連絡し、自分の住む地域を担当する地域包括支援センターに関する情報を得ましょう。その後、該当するセンターへ電話連絡し、相談の予約を取ると良いでしょう。緊急の場合は、予約がない状態でもセンターへ足を運んでみましょう。 よくある質問 相談したら必ず介護サービスを受けなければならない? いいえ、必ずしも介護サービスを利用する必要はありません。相談内容に応じて、保健師や主任ケアマネジャーが、必要な情報提供や助言、適切な支援機関の紹介を行いますが、介護サービスの利用は必須ではありません。 相談内容や個人情報は守られる? はい、相談内容や個人情報は守られますので安心して相談できます。相談内容によっては「人に知られたくない」「相談したこと自体、他者に知られたくない」という場合もあるかもしれませんが、専門職が相談内容に関して、他者に漏らすことはありませんし、個人情報も適切な形で秘匿されるので安心です。 要介護認定の申請や手続きをしてもらえるか? はい、要介護認定の申請や手続きを代行することも可能です。申請が億劫な方や、介護保険の内容がよく分からない方は、気軽に相談してみましょう。また、主治医・かかりつけ医がいない場合でも、相談に応じてもらえます。場合によっては、新たに医療機関を受診して、主治医となる医師を決めるまでのプロセスまでサポートしてくれます。 センターへ行くことが難しい場合はどうしたらいい? 事情があって地域包括支援センターへ行くことが難しければ、状況によっては、職員が訪問してくれる場合もあります。まずは、電話で相談してみましょう。 認知症について詳しく知りたい。教えてくれる? はい、地域包括支援センターには認知症に詳しい専門職がいますので、気軽に相談してみましょう。認知症の特徴や、対応方法などを詳しく教えてくれるだけでなく、認知症の診断や治療に関する情報提供や、適切なアドバイスを受けることができます。 まとめ この記事では、地域包括支援センターがどのような役割を持ち、どのような方が利用できるのか、具体的な相談内容の例などについて解説しました。地域包括支援センターは、私たちの相談に応じて必要な支援・援助につなげてくれる機関です。将来、何かあったときに備えて、あらかじめ同センターと繋がっておくことを勧めます。まずは、自分の住んでいる地域を担当するセンターに関する情報を収集することから始めてみましょう。 参考文献 「地域包括支援センターについて」厚生労働省「地域包括支援センター」公表されている生活関連情報について 介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.09.01
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介護用手すりの種類を紹介!選び方や介護保険を使った設置についても解説
介護用手すりの3つの役割 介護用手すりは、高齢者が安心して生活を送るための重要な役割を3つ担っています。それぞれの役割を詳しくご紹介します。 歩行のサポート 介護用手すりの役割の一つは、利用者の歩行のサポートです。高齢者のなかには、筋力の低下や病気による麻痺などが原因で歩くのが難しい方がいます。手すりによって身体にかかる負担が分散され、自力で歩くのが不安な方でもバランスを取りやすくなります。また、手すりがあると暗くて見えにくい夜間の歩行も安心です。 日常的な動作のサポート 介護用手すりは、起き上がりや立ち上がり、姿勢の保持などをサポートする役割があります。ベッドからの起き上がりやトイレに座るなどの日常的な動作でも、高齢者にとっては負担が大きいです。手すりを活用すれば負担を軽減でき、利用者も自立して行動しやすくなります。 転倒・転落の防止 転倒・転落の防止は、介護用手すりの大切な役割です。転倒や転落が原因で高齢者がけがをすると、自力での歩行が難しくなり、車いす生活になる恐れがあります。介護用手すりがあれば転倒や転落の可能性を減らせるため、高齢者も安心して生活できます。 よく使われる手すりの種類 よく使われる手すりについて、それぞれの種類ごとに解説します。 工事が不要タイプ 工事が不要タイプは、手軽に設置できる手すりです。布団やソファの横といった必要な場所へすぐに設置できる点が魅力です。以下の2種類がよく使われます。 種類 特徴据え置き型・床に置いて使用する・土台部分にさまざまな形の手すりが取り付けられている突っ張り型・床と天井の間に突っ張り棒のように設置する・使用時は上のほうを持って身体を引っ張りあげる なお、両方とも屋外で使用できるタイプもあります。玄関前の階段や車庫までの通路などに設置すると、利用者が安心して外出しやすくなります。 工事で取り付けるタイプ 工事で取り付けるタイプは、壁や柱などに直接取り付ける手すりです。主に使われる形状は、以下の3種類です。 手すりの形状特徴水平型手すり・横向きに取り付ける・つかみながら歩ける・トイレや玄関などでの姿勢保持に役立つ縦型(I型)手すり ・縦向きに取り付ける・立ち座りや段差の上り下りなどを補助する・扉を開閉する際の姿勢保持に役立つL字型手すり・水平型手すりと縦型手すりが一体型になっている・トイレや浴室などで立ち上がりや姿勢保持に役立つ 取り付けタイプの手すりは工事が必要ですが、しっかりと壁や柱に固定するため、他の手すりよりも強度が高いです。 手すりの選び方 手すりを選ぶポイントは3つあります。ポイントを理解し、利用者が使いやすい手すりを見つけましょう。 利用者の身体の状況や動作に合わせる 手すりを選ぶ前に、利用者の身体の状況や動作を観察しましょう。利用者が使いにくい手すりでは、安全を守るための役割を果たせません。どのような形状の手すりをどこに設置すれば利用者が安心して過ごせるか考えることが大切です。なお、介護施設では介護士や看護師、リハビリの専門職などが連携して必要な支援方法を検討します。自宅で手すりの設置を検討する際も、ケアマネジャーやかかりつけ医、福祉用具事業者などに相談するのがおすすめです。 利用者に合わせて高さや太さを決める 人によって体格や麻痺の程度などに差があるため、利用者が使いやすい高さに合わせて手すりを設置しましょう。利用者の不在時に高さを決めてしまうと、使いにくい位置に設置してしまう恐れがあります。手すりの太さは、握ったときに指先が触れる程度が目安です。握るのが難しい場合は、手のひらやひじを乗せられる平らな形状を選びましょう。 使いやすい素材にする 利用者が安心して手すりを利用するためには、使用する環境に合った使いやすい素材を選ぶ必要があります。例えば、ステンレス製の手すりを屋外に設置すると日光で熱くなるため、利用者が触りにくくなります。また、浴室に設置する場合は、滑り止めや防水の加工が施されている手すりが使いやすいです。 手すりを取り付ける場所別の設置ポイント トイレや階段など、手すりを取り付ける場所によって注意する点が異なります。ここからは、手すりを設置する主な場所別のポイントを解説します。 トイレ トイレは便座からの立ち座りをするため、縦型やL字型の手すりがあると便利です。手すりを取り付ける位置は、便座から立ち上がったときに利用者よりも前にくるようにしましょう。立ち上がった際に手すりが後ろにあると、肩に負担がかかります。さらに、以下の2点も確認しておくと、手すりを設置したあとに不便さを感じにくくなります。 ペーパーホルダーやウォシュレットのリモコンが使いにくくならないか介助者が一緒に入れるスペースを確保できるか なお、座位が不安定な方は、排泄時の姿勢を保持する手すりも設置すると安全性が高まります。 階段 階段は上り下りによって利き手側が変わるため、可能であれば両側に手すりを設置しましょう。幅が狭い場合は、下りるときの利き手側に取り付けるのが基本です。階段の始まりと終わりの部分は、20cmほど水平型手すりも設置しておくと最後まで身体を支えられます。上りきったところに壁がない場合は、縦型手すりを設置すると身体を引き上げやすくなります。 廊下 廊下の手すりの高さを測る際は、大転子(足の付け根にある骨が出っ張った部分)やまっすぐ腕をおろしたときの手首の位置が参考になります。いずれの方法で測っても、約75〜80cmになるのが一般的です。廊下の途中に窓やふすまがある場合は、突っ張り型とバータイプの手すりを組み合わせると途切れずに手すりを設置できます。 玄関 玄関に上がりかまち(靴を脱ぎ履きする土間と室内の床との段差部分)がある場合、縦型の手すりがあれば段差を上り下りしやすくなります。上がりかまちやいすに座って靴を履く方は、L字型手すりを設置すると立ち上がりから歩行へスムーズに移れます。なお、段差がない、または段差が低い玄関は上り下りの負担が少ないです。そのため、歩行をサポートする水平型や斜め型(壁に対して斜めに取り付ける手すり)も使いやすいです。 介護保険を使って手すりを設置する2つの方法 介護保険を使って手すりを設置する方法は2つあります。それぞれの特徴や費用を解説します。 住宅を改修して取り付ける 住宅改修して手すりを取り付ける場合は、介護保険の「住宅改修制度」のサービスが受けられます。手すりの取り付け工事にかかった費用の1〜3割が自己負担額となり、支給限度額は20万円です。例えば、手すりを取り付ける工事費用が10万円であれば、自己負担額は1〜3万円となります。残りの7〜9万円の支払い方法は、自治体によって異なります。 住宅改修制度の詳細については、「介護保険の住宅改修でできることとは?流れやレンタルについても解説」をご覧ください。 手すりをレンタルする 介護保険の「福祉用具貸与」を利用すると、据え置き型と突っ張り型の手すりをレンタルできます。レンタルにかかる自己負担額は、通常価格の1〜3割です。例えば、月額4,000円の手すりを選んだ場合、400〜1,200円でレンタルできます。なお、介護保険は要介護度によって1ヶ月の支給限度額が決まっています。福祉用具貸与と他サービスを組み合わせた費用が限度額内に収まるよう、ケアマネジャーと相談しましょう。 介護保険制度の詳細については、「介護保険ってなに?初めて介護する人が知っておくべきこと」をご覧ください。 介護保険で手すりを設置する流れ 介護保険で手すりを設置する流れは、工事による取り付けかレンタルかによって異なります。まず、工事による取り付けの流れをご紹介します。1:要介護認定を受ける2:ケアマネジャーへ相談する3:工事を依頼する業者を選ぶ4:必要書類を市区町村へ提出5:申請が承認されたら工事を開始する6:工事費用を業者へ支払う7:市区町村へ給付申請する8:給付金が支給される 次に、レンタルの流れです。1:要介護認定を受ける2:ケアマネジャーへ相談し、ケアプランを作成してもらう3:レンタル業者を選ぶ4:福祉用具専門相談員が利用者の自宅へ訪問し、手すりを選定する5:ケアマネジャーへ連絡し、レンタル業者と契約する6:レンタルサービスを開始する 福祉用具専門相談員とは、利用者に合った福祉用具をアドバイスしたり利用計画書を作成したりする専門職です。レンタル開始後も定期的に利用者の自宅を訪問し、メンテナンスや使い心地の確認をしてくれます。 介護保険で手すりを設置する際の注意点 介護保険で手すりを設置する際の注意点を4つ紹介します。注意点をあらかじめ知っておくと、スムーズに手すりを設置できるでしょう。 介護保険を申請してから業者へ依頼する 介護保険を活用するためには、手すりを設置する前に介護保険を申請する必要があります。手すりを設置してから介護保険を申請しても、サービスは受けられません。なお、申請に必要な書類の作成といった事務手続きを家族のみで行うのは手間がかかります。ケアマネジャーや福祉用具事業者などと連携しながら進めましょう。 手すりを取り付けられるか確認する 壁材によっては、住宅改修で希望する手すりが取り付けられないことがあります。家族だけで工事できるか判断するのは難しいため、業者に確認してもらいましょう。特に、福祉住環境コーディネーター(2級以上)の有資格者がいる業者であれば、家屋の構造や福祉の知識などを踏まえて適切なアドバイスをしてくれます。なお、介護保険を使って手すりを設置できるのは、原則利用者の自宅のみです。子どもの家に一時的に居候しており住民票を移していない場合は、手すりを設置しても給付対象外となります。また、自宅が賃貸の場合、取り付け工事をするためには大家の許可が必要です。 自治体の補助金制度があるか調べる 自治体によっては、手すりを設置する際に介護保険だけでなく、独自の補助金制度も利用可能です。例えば、大阪市には高齢者住宅改修費給付事業という独自の制度があります。制度を利用すると、手すりの取り付けと同時に行う住宅改修対象外の工事にも補助金が出ます。補助金の対象者や申請方法は自治体によって異なるため、手すりを設置する前にケアマネジャーへ確認しましょう。 複数の業者から見積もりを取る 業者によって工事費用やレンタル費用が異なるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。また、見積もりを依頼する際に介護保険を利用した手すりの設置に詳しいかどうかも聞いておくのがおすすめです。介護保険サービスに詳しい業者を選ぶと、申請の流れや必要書類などを把握しているため安心して任せられます。業者選びに迷った際は、ケアマネジャーへ相談しましょう。 まとめ 介護用手すりは、利用者の日常的な動作のサポートや転倒・転落の防止など、重要な役割を担っています。本人の身体状況や使用環境などを踏まえて、使いやすい手すりを選ぶことが大切です。介護保険サービスも活用しながら、家族が安心して暮らせる環境を整えていきましょう。 参考文献 「高齢者のための住宅改修ポイント【ポイント2】」 広島県「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」 厚生労働省「高齢者住宅改修費給付事業」 大阪市
2025.08.28
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デイサービス(通所介護)とは?サービス内容・費用・デイケアとの違いを解説
デイサービスとは デイサービスとは、自宅に住む高齢者がデイサービスセンター(以下、センター)に通い、食事・入浴、排泄などの介助や、レクリエーションが受けられるサービスです。それだけでなく、心身機能の向上のための訓練や、身の回りの世話のサービスも受けられます。介護保険制度上では通所介護と呼ばれています。 デイサービスにはいくつかの種類があり、一般的なデイサービスのほか、次のようなものがあります(後述)。 認知症特化型デイサービスリハビリ特化型デイサービス療養型デイサービス デイサービスの種類 デイサービスには、いくつかの種類があります。どのような点に特徴があるか下表に整理しました。 種類内容・特徴認知症対応型要介護高齢者で、認知症の診断を受けた方が利用可。認知症の進行防止を目的とした専門的ケアが提供される。リハビリ特化型心身機能の維持・向上を目的として、歩行・立位訓練や筋力トレーニングなどが積極的に行われる。利用時間はおおむね半日で終わる。療養型常時の医療ケアを必要とする高齢者が通所し、勤務する看護師が健康観察と医療的管理を行う。 上記のうち、どの種類のデイサービスを利用するか迷った場合は、担当のケアマネジャーに相談して決めると良いでしょう。 デイケアとの違い デイサービスと似たサービスに、通所リハビリテーション(デイケア)があります。両者はどのように違うのか、表にまとめました。 通所介護(デイサービス)通所リハビリテーション(デイケア)目的日常生活上の介護、レクリエーション、日常生活の活性化リハビリテーション、心身機能の維持や回復、一部の介護など対象要介護1~5要支援1・2:介護予防通所リハビリテーション要介護1~5:通所リハビリテーション主なサービス食事の提供身体介助、日常生活上の世話レクリエーション 機能訓練 ほか食事の提供身体介助、日常生活上の世話リハビリテーション 医療的ケア ほか費用利用回数や要介護度によって異なる。同左 特徴レクリエーションを通して充実した余暇を送ることができ、他者と交流を図ることができる。リハビリを通して心身機能の維持、向上を図ることができる。 デイサービス、通所リハビリテーション(デイケア)は、どちらもセンターに通って一日を通して介護サービスを受けられることに変わりはありませんが、利用目的や対象、サービス内容が異なります。デイサービスは、日常生活の支援を目的としている一方、デイケアは、身体機能の回復など医療的な支援を主な目的としています。自分がどちらのサービスに合っているのか分からない場合は、担当のケアマネジャーに尋ねると良いでしょう。 なお、デイケアの詳細については、「通所リハビリテーション(デイケア)とは?特徴や費用、サービス内容を解説」をご覧ください。 利用の対象・条件 デイサービスの対象となるのは、要介護認定において要介護1〜5と判定された方です。次のような方たちにおすすめです。 軽度の要介護状態で、日常的な支援が必要な人家に引きこもりがちで外出する機会を設けたい人一人暮らしで調理や入浴が億劫な人余暇生活の充実のため、他者と適度に関わりを持ちたい人 など なお、要支援1・2の方は、市町村が実施する介護予防・生活支援サービス事業の通所型サービスの対象となるため、デイサービスは利用できません。 提供されるサービス デイサービスで提供されるサービスは次のとおりです。 送迎 センターへの移動は、センターの準備した送迎車を使います。自宅がセンターに近い場合は、送迎車を使わずに自力、または家族に送迎してもらって移動することも可能です。 食事の提供 センターの規模や利用時間によって異なりますが、昼食が提供されます。利用者の口腔機能・状態に配慮した調理がなされており、栄養を考えた食事内容となっています。 食事、入浴、排泄などの介助 利用者の心身機能に応じて、食事や入浴、排泄などの介助が提供されます。その他の身の回りの世話に関するサービスも提供されます。 レクリエーション 余暇時間の充実のため、レクリエーションが行われます。手芸、カラオケ、書道、華道など趣味に関するレクリエーションが行われ、生活の質的向上や、交友関係を広げることにもつながります。 機能訓練 心身機能の維持のため、知的・身体に関する機能訓練が行われます。脳トレ、パズルなどの簡単なゲームや、適切な強度のアクティビティなどがあります。 健康管理 センター到着時に利用者のバイタルチェック(血圧、心拍数、脈拍数などの確認)が行われ、日々の健康状態をチェックしてくれます。看護師が配置されているセンターでは、健康相談や医療的ケアも可能です。 デイサービスの一日の流れ デイサービスの一日の流れは、次のとおりです。 時間内容8:30送迎、健康・バイタルチェック(血圧・体温測定)9:30入浴10:00レクリエーション、機能訓練、体操など12:00昼食、口腔体操、服薬介助、口腔ケア13:00休憩14:00アクティビティ、体操15:00休憩、おやつ16:30送迎 時間やサービス内容はセンターによって異なります。詳しく知りたい方は、担当のケアマネジャーに確認しましょう。 デイサービスの料金 デイサービスの利用料金は、センターの規模や特徴、利用時間、要介護区分によって異なります。以下は、一般的な規模(1ヵ月の平均利用延べ人数750人以内)のセンターを利用した場合の料金です。 要介護度利用者負担(1回につき)要介護1658円要介護2777円要介護3900円要介護41,023円要介護51,148円参考:どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス) 介護事業所:生活関連情報検索 厚生労働省 ※1日の利用時間が7時間以上8時間未満※※利用日常生活費(食費・おむつ代)や、レクリエーション材料費は別※※※利用者の負担割合が1割の場合 デイサービスを利用するまでの流れ デイサービスを利用する流れは、次のとおりです。 順内容詳細1要介護認定の申請・判定市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて、要介護1~5のいずれかに判定される。2ケアプランの作成居宅介護支援事業所の介護支援専門員がケアプランを作成する。3デイサービス事業者との契約デイサービスを提供するセンターを選び、契約を結ぶ。4サービス利用開始ケアプランに基づいてサービスの利用を開始する。5サービスの利用頻度、内容を調整するデイサービスの利用状況を見て、利用する頻度や内容を調整する。 デイサービスのメリット ご家族以外と交流する機会を持てる デイサービスは、利用者にとって外出の機会となり、家族以外の人と交流する機会となります。外へ出て他者と会う機会を作ると、身だしなみを整えたり、他者との交流で刺激を受けて日々の生活に張りを持たせることが可能です。 家族の負担を軽減できる 利用者がデイサービスを利用している間、家族は休息を取ることができます。休息によって身体的・精神的な負担を軽減することができるだけでなく、時間的ゆとりを持つことができます。デイサービスは利用者にとってメリットがあるだけでなく、それを支える家族にとっても便利なサービスであると言えるでしょう。 健康管理や病気の早期発見に繋がる デイサービスでは、栄養バランスの取れた食事が提供されるだけでなく、スタッフが利用者の日々の健康状態を観察してくれます。また、看護師が勤務するデイサービスでは健康相談にも応じてくれるため、病気の早期発見につなげることも可能でしょう。 心身機能の維持、認知症予防に繋がる 機能訓練やレクリエーションで身体を動かせば、心身機能の維持・向上につながるだけでなく、新たな趣味の発見によって日課ができ、生活の質的向上につながります。また、レクリエーションのなかには、脳のトレーニング、簡単なクイズなどがあり、他の利用者とともにゲームを楽しみつつ、心身機能の維持を図るとともに、認知症予防に繋げることができます。 デイサービスのデメリット 送迎に関する不便さ デイサービスは、センターが準備した送迎車を使って送迎を受けられます。一見すると便利なように見えますが、利用する側としては、送迎車の時間に合わせて準備をする必要があります。また、時間に遅れないように気を遣ったり、他の利用者さんの都合で送迎時間が多少前後したりすることもあるため、不便な点があることも理解しておきましょう。 利用回数によっては費用が大きくなる デイサービスは、利用回数に応じて費用がかかります。同じ月で利用回数が多くなった場合は、その分の費用負担が大きくなるうえ、一定の金額を超えた場合は、その超過分は全額自己負担となります。また、レクリエーションなどで使う備品(例:手芸で使う折り紙、のりなど)は介護保険が適用されず、利用者が実費を負担することになります。1回あたりの利用で、どのくらいの費用負担になるのか知りたい方は、担当のケアマネジャーに尋ねると良いでしょう。 デイサービスを選ぶ際のポイント デイサービスセンターを選ぶ際のポイントを紹介します。 目的や希望に合うサービス内容か デイサービスに通う目的と、希望するサービスを提供してくれるセンターかどうか確認しましょう。先述のとおり、デイサービスには複数の種類があり、センターによって特徴が異なるため、事前に体験利用をしたり、見学をしたりして、自身の目的や希望にかなうデイサービスかどうか、確認しましょう。 センターの雰囲気と利用者の様子 センターの雰囲気と利用者の様子をチェックするため、実際にセンターを訪問して見学し、他の利用者の様子や雰囲気を確認するとともに、施設の明るさや生活感をチェックすると良いでしょう。多くのデイサービスでは、利用前見学や体験利用の機会を設けていますので、適切に利用してセンターの様子を事前にチェックしましょう。 まとめ この記事では、デイサービスの概要を説明するとともに、その種類や提供されるサービス内容、メリット・デメリットを紹介しました。デイサービスに興味のある方は、この記事に記載されている「選ぶ際のポイント」を踏まえたうえで、担当のケアマネジャーに相談するとともに、情報収集をすることから始めましょう。 参考文献 どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス) 介護事業所:生活関連情報検索 厚生労働省
2025.08.25
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居宅介護支援(ケアマネジメント)とは?サービス内容・費用・利用の流れを解説
居宅介護支援とは 居宅介護支援とは、ケアマネジャーが利用者の相談に応じ、どのような介護サービスを、どれくらいの頻度で利用するのかを定めたプラン(ケアプラン)を作成し、スムーズに利用できるよう調整・段取りしてくれるサービスです。ケアマネジメントとも言います。居宅介護支援による一連のサービス(介護相談、ケアプラン作成、モニタリングなど)は、すべて介護保険制度によって賄われるため、利用者は費用を負担する必要はありません。 居宅介護支援事業所とは 居宅介護支援事業所とは、ケアマネジャーを配置し、居宅介護支援のサービスを提供している事業所を指します。社会福祉法人や医療法人、NPO法人などによって運営されており、所属するケアマネジャーが、地域に住む利用者・家族の相談に応じ、ニーズに合うケアプランの作成を行っています。事業所によっては「ケアプランセンター」という名称を使っている場合があります。 ケアマネジャー 居宅介護支援において、重要な役割を担っているのがケアマネジャーです。彼らは医療や介護・福祉分野の国家資格を持ちながら、その分野での実務経験を有する専門職です。ケアマネジャーは利用者の心身の状態や希望に合わせてケアプランを作成し、滞りなく介護サービスが利用できるよう様々な調整を行う役割を担っています。ケアマネジャーは原則として、利用者への身体介助や買い物代行といった直接的な支援を行う専門職ではありません。介護に関する相談、ケアプランの作成によって高齢者本人や家族の負担を軽減し、より安心できる介護生活が送れるようサポートしてくれます。 利用の対象者・条件 居宅介護支援を利用できるのは、主に自宅に住む65歳以上で、要介護認定において要介護1〜5と判定された方です。なお、要支援1・2の方は介護予防給付の対象となり、地域包括支援センターがその方たちのケアマネジメント(介護相談、ケアプラン作成、モニタリングなど)を行います。 利用できるサービス 居宅介護支援で受けられるサービスは次のとおりです。 介護に関する相談 利用者や家族の介護に関する相談に応じてくれます。一人ひとりの抱える不安や心配に寄り添いつつ、その解決を目指すための方法を提案したり、支援機関へ繋いでくれたりします。 ケアプランの作成 居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、利用者が介護保険サービスを受ける際に必要となるケアプラン(居宅介護サービス計画)を立案します。ケアプランとは、利用者の要介護度やニーズに合わせて、どのような介護サービスを、どのくらいの頻度で利用するのかを具体的に記した計画書です。ケアプランには次の内容が書かれています。 利用者の長期的目標支援内容の方針介護サービスの内容、注意点介護サービスの利用頻度、回数サービス担当者会議(利用者や家族、介護サービス事業者などが集まり、介護方針の決定や情報交換などを行う場)で話し合う要点利用者から相談内容、事業者との連絡内容利用者負担額 など モニタリングとプランの見直し モニタリングとは、現在利用している介護サービスに過不足はないか、品質に問題がないか、内容は充実しているか、などをチェックし、必要に応じてプランを見直し、介護サービスの内容・量を変更するプロセスを指します。ケアプランは、利用者の心身機能の変化に合わせて、その内容をアップデートしなければなりません。なぜなら、利用者が認知症や病気になって、心身機能が衰えた場合には、現在利用しているサービスが適切とは限らないからです。このため、ケアマネジャーは、利用者や家族、介護サービスに関わる担当者を一同に集めてサービス担当者会議を開いてモニタリングを行い、必要に応じてケアプランを変更し、介護サービスの品質の維持、質的向上につなげています。 要介護認定の申請、手続きの代行 要介護認定の申請や手続きは、本人が行うことを原則としていますが、何らかの事情(例:関節リウマチで文字が書けない、足腰が悪く市町村窓口へ行くことができないなど)で申請ができない場合は、居宅介護支援事業所が代理申請や手続きの代行をしてくれます。 居宅介護支援の料金 居宅介護支援の費用は、全て介護保険で賄われます。そのため利用者の自己負担はなく、無料でケアプランを作ってもらえます。ただし、介護保険料を滞納している場合には、一旦利用者が全額負担しなければなりません。その際、居宅介護支援事業所からサービス提供証明書が発行されるので、それを市町村窓口に提出すると負担額が還付されます。 居宅介護支援を利用する流れ ここからは、居宅介護支援を利用する流れを説明します。 順内容詳細1要介護認定を申請し、判定を受ける市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて要介護1~5に判定される。2居宅介護支援事業所を選ぶ市町村窓口から居宅介護支援事業者のリストが示される。そのなかから、自身の希望する事業所を選ぶ(後述)。3居宅介護支援事業所と契約する選択した居宅介護支援事業所と面談を行い、問題がなければ契約を結ぶ。4担当のケアマネジャーを決める居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーを選ぶ。自分で選ぶことが難しければ、事業所に任せてもOK。5ケアプラン作成ケアマネジャーが、利用者や家族の希望に沿って、ケアプランを作成する。このプランによって、介護サービスの種類や利用回数が定められる。6サービスの利用開始とモニタリングケアプランに沿って介護サービスを利用する。定期的に利用状況のモニタリングが行われる。7プランの変更利用者の心身状況に変化があったり、生活環境が変わったりした場合には、ケアプランの内容がアップデートされる。 居宅介護支援事業所の選び方 数ある居宅介護支援事業所から、私たちはどのようにして選んだら良いのでしょうか。以下、選び方のポイントを示します。 事業所が自宅から近い場所にある 居宅介護支援事業所が自宅から近い場所にあると良いでしょう。自宅での介護生活には不安や困りごとが付き物なので、すぐに相談できる場所にある事業所を選べば、便利に使うことができるからです。 事業所に併設される施設・機関があるか 居宅介護支援事業所の多くは、社会福祉法人や医療法人、社会医療法人などが運営しています。この場合、事業所に特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスや、地域包括支援センターなどの施設・機関が併設されていることがあり、利用者は、居宅介護支援事業所での相談をすることだけでなく、併設される施設・機能の提供するサービスを受けることができます。文字通り、ワンストップで相談から介護サービス利用まで受けられるため、利用者にとっては安心で便利です。 ケアマネジャーとの相性 担当になったケアマネジャーとの相性が大切です。相談しやすいか、親身になって話を聞いてくれるか、適度に連絡をくれるかなど、ケアマネジャーとしての仕事の様子を見て、自身の生活を任せて良いかどうか判断すると良いでしょう。 居宅介護支援のメリット・デメリット 居宅介護支援のメリット 居宅介護支援のメリットは、費用がかからない点です。無料で介護に関する相談ができ、ケアマネジャーがケアプランの作成や介護サービス機関との調整を行ってくれるのは、この上ない利点でしょう。介護保険サービスは、制度が複雑で手続きが面倒ですが、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、丁寧に教えてくれて最適なサービスが利用できるよう、その機関と調整してくれます。そのなかで、サービス選び・施設選びなどで適切なアドバイスをしてくれる点も、利用者にとっては大きなメリットだといえるでしょう。 居宅介護支援のデメリット 居宅介護支援のデメリットは、ケアマネジャーの持つ知識や技術、ネットワークによって、サービス品質が異なることです。担当のケアマネジャーが、資格こそ持っているものの、介護保険制度に詳しくない、地域における福祉サービス提供機関とのネットワークがない場合、サービスの利用調整がうまくいきません。そのため、専門知識があることはもちろん、地域の介護事業所と顔なじみの関係があり、丁寧な仕事をしてくれるなど、能力の高いケアマネジャーを選ぶことが重要です。 訪問介護との違い 訪問介護とは、介護保険サービスの一つで、自宅に住む利用者の生活を支援するため、ホームヘルパーなどの介護職がお宅を訪問し、身体介護や生活援助を提供してくれるサービスです。居宅介護支援との違いは次のとおりです。 居宅介護支援訪問介護概要ケアプランの作成、サービス提供機関との連絡・調整ホームヘルパーによる身体介護、生活援助対象主に自宅に住む要介護1~5の方主に自宅に住む要支援1・2、要介護1~5の方 内容・介護相談・要介護認定の手続き代行・ケアプランの作成・サービス提供機関との連絡調整・食事介助・入浴介助・排泄介助・調理、掃除・身の回りの世話 などサービス提供機関 居宅介護支援事業所訪問介護サービス提供事業所 よくある質問 ここからは、居宅介護支援に関するよくある質問を紹介します。 居宅介護支援事業所を変えることはできる? 変更できます。一度契約した居宅介護支援事業所でも、何か問題があって別の事業所へ切り替えたい場合には、市町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談のうえ、新事業所との接点を持ち、契約をし直すことができます。なお、前事業所との解約については、契約書に記載されている事項に則って行われる(例:◯ヶ月前までに解約を書面で申し出る等)ため、よく読んで対応するようにしましょう。 担当のケアマネジャーを変更することはできる? 変更できます。担当のケアマネジャーに何か問題があり、別のケアマネジャーに切り替えたい場合には、担当の居宅介護支援事業所に相談しましょう。新しいケアマネジャーとの面談の機会を持ち、前ケアマネジャーから業務や情報を引き継いでくれるよう依頼すると良いでしょう。 まとめ この記事では、居宅介護支援のサービス内容を紹介するとともに、その利用方法や料金について説明しました。居宅介護支援は、ケアマネジャーが自分に合った介護サービスをスムーズに利用できるようケアプランを作成したり、機関との調整を行ってくれるサービスです。担当のケアマネジャーに相談し、自身の希望に合ったケアプランを作成し、サービス調整をしてもらうようにし、自宅での自分らしい生活を充実させましょう。 参考文献 「どんなサービスがあるの? - 居宅介護支援」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省「居宅介護支援の基本資料」厚生労働省
2025.08.20
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福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ
福祉用具とは 福祉用具とは、介護の必要な高齢者の日常生活やリハビリなどをサポートする物品(例:車いすや杖など)を指し、日々の生活における不自由さを解消するためのアイテムです。介護保険制度では、レンタル用・購入用の2つが定められており、利用者はこの保険を使うことで、少ない費用で福祉用具を利用することができます。なお、この記事では、レンタルできる福祉用具(介護保険法上では福祉用具貸与という)にスポットを当てて説明します。 利用の対象者・条件 福祉用具貸与を利用できるのは、市町村が行う要介護認定において、要支援1・2、または要介護1〜5と判定された方です(要支援1・2の場合は、介護予防福祉用具貸与を利用)。要介護区分に応じて利用できる福祉用具が異なるため、全ての福祉用具をレンタルできる訳ではありません(後述)。自身の希望する福祉用具が利用可能かどうか、担当のケアマネジャーに確認を取りましょう。 13種目のレンタルできる福祉用具一覧 介護保険を使ってレンタルできる福祉用具は次の13品目です。 No品目対象内容1車いす要介護2以上自走式、介助式、電動式などの種類がある。 2車いす付属品 〃座席の上に敷くクッション、ブレーキなど3特殊寝台 〃介護用のベッド。上半身を起こすことができるものや、電動で高さを変えられるものなどがある。4特殊寝台付属品 〃上記3に付属する物品。ベッドからの転落を防ぐレールなど5床ずれ防止用具 〃床ずれが起きる身体の部位に当てるエアーマットなど6体位変換器 〃床ずれ予防に役立つ体位変換器7手すり要支援1・2要介護1~5 改修工事の必要がない地面に置くタイプの手すり。玄関などに設置する。8スロープ 〃段差に対して設置する簡易型のスロープなど9歩行器 〃歩行を容易にするためのつかまり型の歩行器。杖よりも安定する。10歩行補助杖 〃高齢者用の杖や松葉杖、4点杖など11認知症老人徘徊感知機器要介護2以上認知症高齢者の徘徊や、予期せぬ外出を察知するための機器12移動用リフト 〃ベッドから車いすなどに移るための移動用リフト。つり具部分は除く。13自動排泄処理装置要介護4以上尿や便を自動的に吸引する装置参考:「どんなサービスがあるの? - 福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付とは 軽度者(要支援1・2、要介護1)の方は、原則として次の福祉用具をレンタルすることができません。 車いす(付属品含む)特殊寝台(付属品含む)床ずれ防止用具体位変換器認知症老人徘徊感知器移動用リフト ただし、厚生労働大臣の定める告示に該当(例:日常的に歩行や立ち上がりが困難、意見の伝達や記憶・理解に支障がある など)し、市町村による要介護認定において「必要」と判断された場合は、例外的にレンタルできるというルールが定められています。該当する方は、担当のケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談して、利用ができるか確認を取りましょう。 福祉用具貸与の料金 福祉用具貸与の料金は、福祉用具の種類やメーカー、機能の豊富さ、取り扱う業者によって異なります。例えば、介護用ベッドでもシンプルなものは安く、電動で高さを変えられるものは高い傾向にあります。いずれにせよ、利用者は介護保険を使うことでかかった費用の1割を負担します(所得によって2〜3割となる)。以下に一例を示します。 物品利用者負担額(1割の場合)歩行器約200円~420円/月特殊寝台(介護用ベッド)約500円~1,800円/月車いす(電動なし)約300円~1,100円/月参考:全国平均貸与価格及び貸与価格の上限(過去公表分)厚生労働省 厚生労働省は、利用者が福祉用具を適切な価格でレンタルできるように、全国平均の貸与価格を公表しています。実際に福祉用具をレンタルする際は、この情報を参考にすると良いでしょう。 福祉用具貸与は医療費控除の対象外 医療費控除とは、利用者や家族が1年間のうちに医療費を支払い、その額が一定を超える場合は、その申告によって所得控除を受けることができるという仕組みです。介護保険サービスのうち、訪問看護や訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションなど、看護や医療的管理の下で提供されるサービスは医療費控除の対象となりますが、福祉用具貸与はこの対象ではありません。ご注意ください。 福祉用具貸与のメリット 必要な時だけ、必要な物を借りられる 福祉用具貸与は、必要な時だけ、必要な物を借りられる手軽さがあります。要らなくなればレンタルを止めたり、借りる物品を変更するなどの融通が利くため、利用者にとって便利なサービスと言えます。また、購入するよりも初期費用を安く抑えることが可能です。 身体状況の変化に合わせた用具の利用が可能 使っている福祉用具が合わなくなったら、交換することができます。身体状況の変化や、認知機能の低下などによって、福祉用具に対するニーズも変わるため、定期的にアップデートさせる必要があります。その時々の身体機能などによって、簡単に福祉用具を切り替えることができる点は、レンタルのメリットであると言えます。例えば、最初の頃には四点杖を使っていたのが、加齢に伴う身体機能の低下に合わせて歩行器に変更するなど、その状況に合わせて利用することが可能です。 保管や処分の心配が不要 福祉用具貸与で使う用具は、購入する訳ではありませんので、使わなくなったら業者が引き取ってくれます。よって、用具の保管場所の確保や、処分方法で面倒な手間をかける必要がありません。 福祉用具貸与のデメリット 要介護度によって利用できない物品がある 福祉用具のうち、車いすや特殊寝台(介護用ベッド)などは、要介護2以上を対象としているため、軽度者(要支援1・2、要介護1)にとっては多少使いにくいサービスです。ただし、要介護認定などにおいて「必要」と認められれば、例外的に給付を受けられることもあります。 長期間になると費用がかさむ 利用者の自己負担は原則1割(所得によって2〜3割)とはいえ、レンタルする期間が長期間になればなるほど、その分の費用がかさみます。場合によっては、購入金額よりも上回ってしまうことがあります。 故意、または過失による破損は弁償することもある 故意、または過失によって、福祉用具を破損させた場合には、弁償をしなければならない場合があります。例えば、外出先で杖を紛失してしまったり、車いすを乱雑に扱って部品を破損させた場合には、その代替品の購入や交換の費用を求められることがあります。ただし、契約内容によって、弁償の要否や範囲、費用の負担割合が異なるため、実際の取り扱いはケースバイケースです。万が一、使っている福祉用具を破損させたり、紛失してしまった場合には、福祉用具を取り扱う業者の担当者や、担当のケアマネジャーに相談しましょう。 福祉用具貸与を利用する流れ ここからは福祉用具貸与を利用する流れについて、順を追って説明します。 順内容詳細1要介護認定の申請・判定市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて要支援1・2、または要介護1~5のいずれかに判定される。2ケアマネジャーの選定とケアプランの作成要介護1~5と判定された場合:居宅介護支援事業所を選び契約。介護支援専門員へ福祉用具の利用希望を伝え、ケアプランを作成してもらう。要支援1・2と判定された場合地域包括支援センターを選び契約。介護支援専門員、保健師などに福祉用具の希望を伝え、ケアプランを作成してもらう。3福祉用具を取り扱う業者との契約どのような福祉用具、どのような業者が良いのかケアマネジャーに伝える。ケアマネジャーが業者を複数選んで、利用者へ提案がある。問題がなければ、業者を一つ選んで、そこと契約する。4サービス利用開始ケアプラン、契約に基づいて福祉用具の利用を開始する。5利用状況の確認、定期的なメンテナンス担当のケアマネジャーや、業者の定期的な訪問を受け、福祉用具の利用状況が確認される。必要に応じて福祉用具の取替えや、メンテナンスが行われる。 福祉用具貸与の業者の選び方 情報を収集する より良い業者を選ぶため、福祉用具に関する情報収集を行うことが重要です。評判の良い業者を探す場合には、担当のケアマネジャーに情報収集を依頼し、自身の希望する福祉用具を専門的に取り扱う業者がいるか、強みを持つ業者がいるかなどの情報を収集してもらうと良いでしょう。収集した情報を持ち寄って、自分のニーズに合う物品・料金かどうか、しっかりとしたメンテナンスを行ってくれるかどうか、一緒になって確認し、判断することが重要です。 有資格者がいるか 業者の担当者が、福祉用具を扱う専門資格を持っているか確認しましょう。福祉用具を扱う専門資格には次のようなものがあります。 福祉用具専門相談員介護福祉士 など 福祉用具専門相談員とは、介護保険を使って福祉用具をレンタルしたり、購入したりしようとする利用者の相談に応じて、希望に沿った福祉用具の選定・提案を行い、個別の福祉用具サービス計画を作成する専門職です。資格は専門の知識・技術を持っている証拠となります。担当者が専門資格を持っているか確認することが、良い業者を選ぶことに繋がりますので、ぜひ実践してみてください。 よくある質問 レンタル前に福祉用具を見たり試したりできる? できます。業者の多くが「無料お試し期間」を設けており、ある一定期間、無料で福祉用具を借りて試すことができます。ただし、全ての業者がその期間を設けている訳ではありませんし、あったとしてもその期間が極端に短い場合もあるため注意しましょう。また、福祉用具のメーカーはサンプル品を用意しており、地域の社会福祉協議会や福祉用具展示場、展示会で実物に触れることができます。このように、自分が納得できる製品を選べる機会を使って、実際に手に取って試してみることをお勧めします。 福祉用具が汚損、故障した場合は? 福祉用具が汚れたり、壊れたりした場合は、担当のケアマネジャーか、福祉用具の業者へ連絡すると、取り替え・修理の対応をしてくれます。福祉用具は日常的に使う物品であるため、汚れたり、壊れたりすることは少なくありません。このような場合には、遠慮せずに業者やケアマネジャーへ連絡し、速やかに対応してもらいましょう。 メンテナンスは誰がする? 使っている福祉用具の定期的なメンテナンスは、福祉用具を取り扱う業者の福祉用具専門相談員などが行います。もちろん、利用者自身でメンテナンスをすることもできますが、専門職に任せた方が安心です。 まとめ この記事では、介護の必要な高齢者が利用する福祉用具を取り上げ、なかでもレンタルできる物品にスポットを絞って、その種類を説明するとともに、利用までの流れについて解説してきました。複数ある福祉用具のうち、どの物品が自分の生活を便利に、豊かにしてくれるのか、担当のケアマネジャーとともに考える機会を持ってください。 参考文献 「介護保険における福祉用具、住宅改修」厚生労働省一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集(2021)『最新 社会福祉士養成講座 高齢者福祉』中央法規全国平均貸与価格及び貸与価格の上限(過去公表分)厚生労働省「医療費を支払ったとき(医療費控除)」国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」国税庁「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.08.01
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訪問入浴とは?料金やサービス内容、利用方法を分かりやすく解説
訪問入浴とは 訪問入浴とは、訪問入浴サービスの事業者が利用者の自宅を訪問し、あらかじめ準備しておいた簡易浴槽を使って入浴の介護を行うサービスです。このサービスは、看護師1名と介護職員2名(介護予防訪問入浴介護の場合は介護職員は1名となる)の計3名が訪問して介助を行うため、自宅での入浴が困難な高齢者でも安心して利用できます。 訪問介護との違い 訪問介護とは、高齢者の自宅にホームヘルパーが訪問し、身体介助(食事、入浴、排泄の介助など)や生活援助(調理、洗濯、掃除など)を行うサービスです。介護スタッフの1名体制でサービスが提供され、日常生活上のサポートや身の回りの世話のサービスが提供されます。訪問介護で入浴介助を受ける場合は、利用者の自宅にある浴槽で介助が行われます。一方の訪問入浴は、自宅での入浴が難しい方を対象としており、簡易浴槽を持ち込んで入浴介助を行うなど、入浴に特化したサービスとなります。 利用の対象者・条件 訪問入浴の対象は、要介護認定で要介護1~5と判定され、自宅での入浴が困難で、主治医から入浴の許可が出ている方です(要支援1・2と判定された方は、介護予防訪問入浴を利用)。このサービスで使用する簡易浴槽は、身体が横になったままで入ることができるため、次のような方たちにお勧めです。 寝たきりで自宅の浴槽では入浴が困難な方身体に麻痺があり、シャワーチェアに安定的に座ることが難しい方手足に障害があることで浴槽を跨ぐことができない方身体機能の低下や関節の拘縮によって立位や座位が難しい方その他、自宅での入浴が困難な方 など 種類支給限度基準額 種類支給限度基準額とは、訪問入浴などの特定のサービスの利用限度額を市町村が独自に決められるルールを指します。一部の介護サービスの利用に限度額を設け、サービスの供給が特定の利用者に偏らないようにする仕組みです。訪問入浴は、サービスを提供する事業所数が限られており、どの地域でも充分なサービス提供ができる体制が整えられている訳ではありません。よって、とある地域でサービスを提供する事業者が少ない場合、一人の利用者が頻繁にこのサービスを利用すると、他の利用者が利用できなくなるという不具合が発生してしまいます。このような事態を防ぐため、種類支給限度基準額というルールが設けられ、訪問入浴などの一部のサービス利用に限度額を設け、特定の利用者による過度な利用を防止しているのです。なお、お住まいの地域に種類支給限度基準額が設けられているかどうか気になる方は、担当のケアマネジャーに確認しましょう。 提供されるサービスと利用当日の流れ 訪問入浴は、次の流れでサービスが提供されます。利用当日の流れとともに説明します。 順序 内容詳細1訪問入浴スタッフの訪問予定時間に訪問入浴スタッフの訪問がある。2簡易浴槽の持ち込み・設置自宅内に簡易浴槽が設置され、必要な物品が持ち込まれる。3体調の確認と、心拍数、血圧などのチェック利用者の体調が確認され、体温や血圧、脈拍などのバイタルチェックが行われる。4お湯張り・入浴前準備入浴車のボイラーから簡易浴槽に給湯される。入浴前の準備(タオルや利用者の衣類準備、更衣)が行われる。5入浴、皮膚の状態チェック簡易浴槽に入浴し、皮膚に異常が無いかチェック。頭や身体を洗う介助が行われる。6入浴を楽しむお湯に浸かって温まる。7お湯から上がる上がり湯をしてベッドへ移乗する。8入浴後の体調確認と着衣入浴後の体調確認が行われ、着衣や湿布を貼ったり、軟膏を塗ったりするなどの保湿ケアを行う。9あと片付けスタッフによって簡易浴槽の片付け、物品の片付けが行われる。 訪問入浴の所要時間 訪問入浴の所要時間は、約1時間です。内訳は次のとおりです。 簡易浴槽の準備、入浴前の準備:約15~20分洗身介助:約10分お湯に浸かって温まる:約10分着替え、後片付け:約15~20分 その他、医師の指示に基づく医療行為(例:保湿剤の塗布、爪切り、湿布の貼り替えなど)が行われる場合には、1時間を上回る場合があります。 準備する物品・設備 利用者側で準備する物品・設備は、次のとおりとなります。 項目内容物品着替えバスタオル、タオルシャンプー、ボディソープ、入浴剤(利用者の好みやこだわりがある場合)設備場所 簡易浴槽を設置する場所(2畳程度)自宅のコンセント1~2ヶ所水道1ヶ所排水場所1ヶ所 など 必要な物品・設備は、訪問入浴サービスを提供する事業所によって多少異なります。気になる方は、担当のケアマネジャーに確認しましょう。 訪問入浴の料金 訪問入浴の料金は、要介護度や介助の範囲によって異なります。次のとおりです。 要介護度範囲1回あたりの費用要介護1~5全身浴1,266円部分浴1,139円清拭1,139円要支援1・2全身浴856円部分浴770円清拭770円 参考:「介護報酬の算定構造」 厚生労働省社保審-介護給付費分科会 ※利用者の自己負担割合が1割の場合。※※サービス提供事業所の所在地、サービス提供体制によって上記に加算が行われ、負担額が多少増える。 部分浴・清拭とは 部分浴とは、手浴や足浴などの身体の一部分だけ入浴し、介助するサービスで、清拭とは温かいタオルで身体の一部、または全部を拭くことを指します。訪問入浴は全身浴を基本としますが、利用者のニーズや身体の状態によって、部分浴や清拭に切り替えることも可能です。事情があって部分浴・清拭をしてほしいなどのご希望のある方は、担当のケアマネジャーや、訪問入浴を提供する事業所に相談すると良いでしょう。 訪問入浴のメリット 身体を清潔に保つことができる 訪問入浴を行うことにより、身体を清潔に保つとともに、かゆみや床ずれの予防をすることができます。また、寝具・衣類などの清潔保持にも繋がります。 生活の質を上げることができる 訪問入浴によって、生活の質を上げることが可能です。なぜなら、入浴によって血液循環、代謝機能を高めることができるだけでなく、多幸感やリラックス効果を得ることができるからです。入浴は私たちにとって欠かすことのできない生活の営みの一つです。適切な訪問入浴サービスの利用は、生活の質を上げることに繋がります。 自宅での生活を継続できる 訪問入浴の適切な利用によって、自宅での生活を継続することができます。このサービスを利用できなければ、場合によっては施設へ入居せざるを得ない状態となり得るため、自宅での生活を希望する方にとっては不可欠なサービスだと言えます。 家族の負担軽減となる 適切に訪問入浴サービスを利用することによって、家族の負担を軽減することができます。自宅の浴槽を使って入浴する場合、家族が介助しようとすると、身体的に大きな負担を伴います。また、家族の多くは入浴介助に慣れておらず、利用者を転倒させてしまったり、家族自身が腰を痛めてしまったりと、介護する側・される側のいずれも事故に遭う恐れがあります。 訪問入浴のデメリット 羞恥心を伴う 訪問入浴は、自分の入浴場面を見られてしまうことで、羞恥心(恥ずかしいと感じること)を伴います。訪問介護のスタッフとは言っても他人であるため、サービスの利用が結果としてストレスになることがあります。 訪問介護と比べると料金が高い 訪問入浴は、サービスを提供するスタッフが最低でも3名(看護師1名、介護職員2名)が必要となるため、その分、費用が高くなります。訪問介護との比較は、下表のとおりです。 訪問入浴介護 訪問介護内容 利用者の入浴介助利用者の身体介護、生活援助料金1,266円(全身浴)387円(身体介護で30分以上1時間未満の利用) よくあるトラブル 訪問入浴に関して、よくあるトラブルを紹介し、その対処法を示します。 例項目内容浴槽の設置で部屋が狭くなるトラブル内容簡易浴槽を持ち込むため、約二畳分のスペースが必要になり、その分部屋が狭くなる。対策法事業所と契約する前に、実際に自宅を確認してもらい、家具の移動や物品の片付けが必要か双方でチェックして改善案を検討する。サービス内容や時間に関する認識違いトラブル内容事前に想定していたサービス内容や時間と、実際の提供が異なり、サービス品質に満足できない。対策法ケアプランを作成する時や、事業所と契約する際にサービス内容や時間について具体的に確認し、書面で残す。 訪問入浴を利用開始するまでの流れ 訪問入浴を利用するまでの流れは、次のとおりです。 順内容詳細1要介護認定の申請・判定市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて要支援1・2、または要介護1~5のいずれかに判定される。2ケアプランの作成要介護1~5と判定された場合居宅介護支援事業所の介護支援専門員がケアプランを作成する。要支援1・2と判定された場合地域包括支援センターの介護支援専門員、保健師などがケアプランを作成する。3訪問入浴サービス事業者との契約訪問入浴サービスを提供する事業所を選び、契約を結ぶ。4サービス利用開始ケアプランに基づいてサービスの利用を開始する。5サービスの頻度、内容を調整する訪問入浴サービスの利用状況を見て、利用する頻度や内容を変更・調整する。 訪問入浴事業所の選び方 適切な訪問入浴の事業者を選ぶため、次のポイントを確認するようにしましょう。 看護・介護の有資格者がいる 訪問入浴は、看護師1名と介護職員2名の計3名体制でサービスが提供されます。これらサービスに従事するスタッフが、看護や介護に関わる専門資格を持っているかどうか確認しましょう。 スタッフ資格の例看護スタッフ看護師准看護師介護スタッフ介護福祉士介護実務者研修介護職員初任者研修など 資格の保有は、提供されているサービスの質を担保する一つの材料です。気になる方は事業所の担当者、またはケアマネジャーに確認すると良いでしょう。 評判の良い事業所を選ぶ 訪問入浴サービスに関して評価の高い事業所を選ぶため、担当のケアマネジャーから情報を収集しましょう。サービス内容が丁寧であること、事故防止のための研修を行っているなど、事業所が行っている創意工夫が評判を呼び、その情報がケアマネジャーの耳に届いているはずです。 まとめ この記事では、訪問入浴の料金やサービス内容、利用方法について解説してきました。訪問入浴は、自宅の浴槽で入浴することが難しい方にとっては、とても便利なサービスです。適切に利用することで、住み慣れた自宅で自分らしい生活が続けられるようにしましょう。 参考文献 「訪問入浴介護」社会保障審議会介護給付費分科会(第220回)厚生労働省老健局「どんなサービスがあるの? - 訪問入浴介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省「介護報酬の算定構造」 厚生労働省社保審-介護給付費分科会
2025.07.22
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自宅で安心して介護を受けるには?訪問介護のサービス内容と料金・選び方を解説
訪問介護とは 訪問介護とは、介護保険サービスの一つで、ホームヘルパーや介護福祉士などの介護職員が、高齢者のお宅を訪問し、身体介助と生活援助のサービスを行うサービスです。利用者は住み慣れた自宅での生活を継続でき、自身のニーズに基づいて様々な介護サービスを受けることができます。 ホームヘルパーとは ホームヘルパーとは、高齢者や障害者など自立した生活を送ることが難しい方のお宅を訪問し介護を提供する専門職です。ホームヘルパーは次のいずれかの資格を持っていて、専門知識・技術をもってサービスを提供してくれます。 介護福祉士介護福祉士実務者研修介護職員初任者研修(介護の初心者が取る資格で、以前のホームヘルパー2級と同等程度の専門性を持つ。) など 利用の対象者・条件 訪問介護は、自宅などに住む高齢者で、要介護認定で要介護1〜5と判定された方が対象となります。要支援1・2の方は「介護予防訪問介護」を利用することになります。このサービスは、要介護状態の予防を目的としているため、主に生活援助が提供されます。 提供されるサービス 利用者は、身体介護、生活援助、通院等の乗降介助のいずれかのサービスを受けることができます。具体的には次のとおりです。 身体介護 身体介護とは、利用者の心身状況に応じて提供される食事、入浴、排泄などの介護サービスです。具体的には次のとおりです。 食事の介助自宅の浴槽を使った入浴介助おむつ交換、排尿・排便の介助身体を拭く、洗面や身だしなみを整える、着替え体位変換 生活援助 生活援助とは、利用者のニーズに応じて提供される日常生活上の世話に関するサービスです。具体的には次のとおりです。 一般的な調理、配膳・下膳利用者の居室の掃除、ゴミ出し洗濯、洗濯物を干す、取り込んでたたむ利用者の寝室ベッドメイキング食材や日用品の買い物代行、薬の受け取り など 通院等乗降介助 通院等乗降介助とは、利用者が通院する際や、日常を送るうえで不可欠な外出をするうえで利用するタクシーやバス、鉄道への乗車、または降車の介助サービスです。この介助は、利用者のみを対象としており(家族は対象ではありません)、具体的には以下のようなサービスを受けることができます。 乗車前の介助:出かける前の着替え、車椅子への移乗介助乗降介助:外から移動車両への移乗介助降車介助:移動車両から外への移動介助受診などの手続き、会計の介助 など 訪問介護で受けることができないサービス 訪問介護では利用者以外の人へのサービスは提供されません。また、日常生活の範疇を超えたニーズへの対応もできません。具体的には次のとおりです。 利用者以外の者へのサービス同居家族の食事の支度、部屋の掃除、衣類の洗濯、こどもの面倒を見る医療行為インスリン注射、経管栄養、点滴等の医療行為生活に差し支えのないもの庭の草むしり、ペットの散歩、日常とはいえない手のかかる調理 など 訪問介護の料金 訪問介護の料金は、サービス内容や、提供時間によって異なります。次のとおりです。 サービス費用の設定利用時間 利用者負担(1割)(1回につき)身体介護20分未満163円20分以上~30分未満244円30分以上~1時間未満387円1時間以上~1時間半未満567円生活援助20分以上~45分未満179円45分以上220円通院時の乗車・降車等介助1回97円出典:「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 他のサービスとの違い 訪問介護は、他のサービスとどのように違うのでしょうか。ここでは、名称の似た2つのサービスを紹介し、それぞれの違いを説明します。 居宅介護との違い 居宅介護とは、障害者総合支援法による障害福祉サービスの一つで、障害者が自宅での日常生活を充実させるために受ける介護サービスです。次のような違いがあります。 居宅介護訪問介護根拠法障害者総合支援法介護保険法主な対象障害支援区分1以上の障害を持つ方要介護認定で要介護1~5に判定された方主なサービス身体介護家事援助相談支援、その他 など身体介護生活援助通院等の乗降介助 など サービス従事者介護福祉士、初任者研修修了者など同左 訪問看護との違い 訪問看護とは、介護保険法による介護保険サービスの一つで、看護師が利用者の自宅を訪問し、病気や障害に応じた看護を提供してくれます。健康状態の悪化防止や回復を狙いとしています。次のような違いがあります。 訪問看護訪問介護根拠法介護保険法同左主な対象要介護認定で要介護1~5に判定された方同左主なサービス病状・障害の観察医療的ケア、服薬管理 など身体介護生活援助通院等の乗降介助 などサービス従事者看護師、准看護師介護福祉士、初任者研修の修了者 など 訪問介護のメリット 住み慣れた自宅での生活を継続できる 先述のとおり、訪問介護は利用者の自宅で介護サービスが提供されるため、長年暮らした自宅で安心して生活を継続できるメリットがあります。環境変化への適応が難しい高齢者にとっては、精神的な安定、認知症の進行予防に繋がります。 ニーズに合った柔軟なサービス内容 利用者一人ひとりの心身状況や生活スタイル、ニーズに柔軟に対応ができるため、利用者にとっては便利なサービスであると言えます。一例を示します。 朝の着替えと食事の準備だけ対応してほしい週に数回の入浴介助をしてほしい家族が出かける短い時間の見守りをしてほしい など 介護する家族の負担を軽減できる 訪問介護を利用している間は、同居家族にとって休息の時間となります。この時間を使って、家族は身体的・精神的な負担を軽減できるだけでなく、時間的なゆとりを持つことができ、仕事や介護との両立もしやすくなります。 訪問介護のデメリット 利用する時間に制約がある 訪問介護は、決められた時間内でサービスを利用することを原則としています。もし、時間を超過したならば、追加で料金がかかります(そもそも、利用時間の延長ができない場合もある)。また、訪問介護事業所の人員・体制によっては、夜間のサービスに対応していない、週末は利用できない、突発的な長時間の利用に対応できないなどの制約があります。 夜間の利用は料金が高くなる 夜間対応型訪問介護(18時~翌8時)は、利用者が24時間安心して生活できることに役立ちますが、一方で負担する料金が高いです。次のとおりです。※オペレーションセンターを設置している場合 サービス費用の設定利用者負担(1割)基本夜間対応型訪問介護(1か月につき)989円 定期巡回サービス(1回につき)372円随時訪問サービス(1名による訪問の場合)(1回につき)567円随時訪問サービス(複数名による訪問の場合)(1回につき)764円出典:「どんなサービスがあるの? - 夜間対応型訪問介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 プライバシーの問題 訪問介護は、ホームヘルパーとはいえ、他人が自宅に入ることになります。利用者によっては、プライベート空間を保持できなくなる点に抵抗やストレスを感じる方もいます。 訪問介護を利用するには 訪問介護を利用する流れは、次のとおりです。 順内容詳細1要介護認定の申請・判定市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて要支援1・2、または要介護1~5のいずれかに判定される。2ケアプランの作成要介護1~5と判定された場合:居宅介護支援事業所の介護支援専門員がケアプランを作成する。要支援1・2と判定された場合:地域包括支援センターの介護支援専門員、保健師などがケアプランを作成する。3訪問介護サービス事業者との契約訪問介護サービスを提供する事業所を選び、契約を結ぶ。4サービス利用開始ケアプランに基づいてサービスの利用を開始する。5サービスの頻度、内容を調整する訪問介護サービスの利用状況を見て、利用する頻度や内容を調整する。 訪問介護の2時間ルール 訪問介護には「2時間ルール」が設けられています。2時間ルールとは、同じ日に同じ利用者が、複数回にわたって訪問介護を利用する場合、その間を2時間以上空けなければならないというものです。保険給付の適正化を図る目的で設定されたルールですが、利用者にとっては多少不便なものです。ただし、次のケースは例外となりますので、該当する場合は遠慮せずに利用しましょう。 緊急時などやむを得ない場合看取り期の対応の場合通院等の乗降介助の場合 ほか 訪問介護事業所の選び方 安心して訪問介護サービスを利用するためには、適切な事業所を選ぶことが大切です。以下、事業所選びのポイントを説明します。 ニーズに合ったサービスを提供しているか 当然のことながら、事業所がこちらのニーズに合ったサービスを提供しているか確認しましょう。介護支援専門員がケアプランを作成する際、こちらのニーズを伝えて、それに合ったサービスを提供してくれる事業所を選定するように依頼しましょう。 ヘルパーの質と研修体制が充実しているか 訪問介護事業所が派遣するホームヘルパーの質を確認するため、事業所の研修体制が整っているか確認しましょう。具体的には、介護系資格試験取得のための研修や、経験年数に合わせたスキルアップ、フォローアップの研修の実施を確認すると良いでしょう。 まとめ この記事では、訪問介護のサービス内容や料金、事業所の選び方を解説しました。訪問介護は、利用者だけでなく、介護を担う家族にとっても便利なサービスです。興味がある方は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談してみましょう。 参考文献 「訪問介護」厚生労働省老健局 社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回) 「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「どんなサービスがあるの? - 夜間対応型訪問介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.07.09
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通所リハビリテーション(デイケア)とは?特徴や費用、サービス内容を解説
通所リハビリテーション(デイケア)とは 通所リハビリテーションとは、通称「デイケア」と呼ばれるもので、介護やリハビリテーションが必要な高齢者がセンターに通って利用するサービスです。このサービス事業所は、病院や診療所、介護老人保健施設に併設されることが一般的で、リハビリテーションだけでなく、医療的なケアも提供している点に特徴があります。 通所介護(デイサービス)との違い 通所リハビリテーションに似たサービスに、通所介護(デイサービス)があります。両者はどのように違うのでしょうか。以下のとおりです。 通所リハビリテーション(デイケア)通所介護(デイサービス)目的リハビリテーション、心身機能の維持や回復、一部の介護など日常生活上の介護、レクリエーション、日常生活の活性化対象要支援1・2:介護予防通所リハビリテーション(後述) 要介護1~5:通所リハビリテーション要介護1~5 主なサービス 食事の提供身体介助、日常生活上の世話リハビリテーション、医療的ケア ほか食事の提供身体介助、日常生活上の世話レクリエーション 機能訓練 ほか費用利用回数や要介護度によって異なる。同左特徴リハビリを通して心身機能の維持、向上を図ることができる。レクリエーションを通して充実した余暇を送ることができ、他者と交流を図ることができる。 このように、どちらも事業所に通って一日を通して介護サービスを受けられることに変わりはありませんが、最大の違いは専門的なリハビリテーションが受けられるかどうかです。 介護予防通所リハビリテーションとは 介護予防通所リハビリテーションは、通所リハビリテーションの一種です。要介護認定で要支援1・2の認定を受けている方が対象で、要介護状態にならないよう「予防のため」にリハビリテーションを受けるサービスのことを言います。要介護1~5を対象としている通所リハビリテーションとの違いは次の通りです。 要介護1~5を対象とした通所リハビリテーション介護予防通所リハビリテーション目的心身機能の維持・回復要支援状態の維持、要介護状態にならないための予防 対象要介護1~5要支援1・2主なサービス内容主に心身機能の回復のためのリハビリテーション日常生活上の動作に関する訓練身体介護 など心身機能の維持・向上のリハビリテーション口腔機能の向上栄養改善 など 通所リハビリテーション(デイケア)の一日の流れ 通所リハビリテーションの一日の流れは次のとおりです。 時間項目内容8:30~送迎送迎車で事業所まで送迎してくれる。9:00~体調確認事業所に到着し、看護師が利用者の血圧、脈拍、体温を測定し、体調に問題がないか確認する。10:00~ ラジオ体操または個別体操・リハビリ 集団で体操をする。体操が難しければ、個別の体操・リハビリテーションを行うことがある。10:30~入浴心身状況によっては入浴介助が受けられる。11:00~レクリエーション簡単に体を動かす体操や、計算ドリルを使った脳トレがある。11:30~口腔体操昼食の前に、嚥下機能(食事の飲み込み)が良くなるように口の動きを活発化させる口腔体操を行う。12:00~昼食口腔状態に合わせた食事が提供され、利用者によっては食事介助が行われる。13:00~集団体操または個別リハビリ理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーション。集団での体操や、個別のリハビリテーションが行われる。14:00~レクリエーション午後のレクリエーションでは、習字、折り紙、盆栽などの趣味の活動が行われることがある。15:00~おやつ利用者にお茶・おやつが提供される。16:00~自宅まで送迎自宅までの送迎をしてくれる。 上記は一般的な通所リハビリテーションの一日の流れです。事業所によって時間や内容が異なりますので、気になる方は担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に確認してください。 通所リハビリテーション(デイケア)の利用の対象者・条件 通所リハビリテーションを利用できるのは、要介護認定で要介護1~5と判定された方で、かつリハビリテーションや医療的ケアを必要としている方です。主に次のような方たちが利用しています。 高齢になって心身機能が低下しており、その維持・回復を目指したい方脳梗塞を患い、右半身が麻痺するなどの障害を負い、自立した日常生活を送るためのリハビリテーションを必要とする方嚥下機能(食べ物を飲み込む力)が低下し、この機能の回復のためにリハビリテーションを必要とする方 など 通所リハビリテーション(デイケア)で提供されるサービス 通所リハビリテーションで提供されるサービスは次のとおりです。 リハビリテーション 通所リハビリテーションには、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション分野のセラピストが勤務しており、利用者の心身機能の維持・回復のためのリハビリテーションが提供されます。利用者は自身の目的や希望に合わせて、集団、または個別のリハビリテーションを行います。 食事の提供 通所リハビリテーションでは、利用者の口腔機能に合わせた食事が提供されます。ただし、利用者の利用時間が1〜4時間の場合は、食事は提供されません。 介護サービス 利用者の心身状況に応じて、食事、入浴、排泄などの身体介助が提供されます。利用者が自立している部分は自身で行ってもらうという「自立支援」を原則としたサービス提供となります。 健康管理・医療的ケア 通所リハビリテーションには看護師が配置されているため、入居者の脈拍、血圧、体温を測り、健康管理を行ってくれるだけでなく、褥瘡(床ずれ)の処置、湿布の貼り替えなどの医療的なケアをしてくれます。 レクリエーション(余暇活動) 通所リハビリテーションでは、利用者の生活意欲を高めるためのレクリエーション・余暇活動が提供されます。具体的には、健康体操、脳トレなどが行われたり、季節に応じたレクリエーションが実施されます。 通所リハビリテーション(デイケア)の費用 通所リハビリテーションを利用した場合、次の費用がかかります。 要介護度1ヵ月あたりの費用※自己負担割合が1割の場合要支援12,268円要支援24,228円 要介護度1回あたりの費用※自己負担割合が1割の場合 ※※6時間以上7時間未満の場合要介護1715円要介護2850円要介護3981円要介護41,137円要介護51,290円出典:どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア)介護事業所:生活関連情報検索 厚生労働省 なお、上記には、利用者の食事代やおむつ代などの日常生活費、レクリエーション材料費などは含まれていません。また、入浴介助や口腔機能向上指導など、個別でサービスを受ける場合は別途、追加料金がかかります。 通所リハビリテーション(デイケア)のメリット 通所リハビリテーションでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職によるリハビリテーションが提供されますので、現在の心身機能を維持したい、回復させたいというニーズに適うサービスです。行われるリハビリテーションに効果があれば、健康寿命を伸ばしたり、認知症の予防につながったりするメリットがあります。また、事業所が病院などの医療機関に併設されているため、安心してサービスを利用できる点もメリットだといえるでしょう。 通所リハビリテーション(デイケア)のデメリット 送迎に関する不便さ 一般的な通所リハビリテーションは、事業所の準備した送迎車を使って利用者の家まで迎えに行き、サービスが終わって家まで送り届けてくれます。一見すると便利なように見えますが、利用する側としては、送迎車の時間に合わせて準備をする必要があります。また、時間に遅れないように気を遣ったり、他の利用者さんの都合で送迎時間が多少前後したりすることもあるため、不便な点があることも理解しておきましょう。 他の利用者との人間関係 通所リハビリテーションは様々な高齢者が利用しています。他の利用者との適度な交流のなかで、趣味が共通する人たちなどとの交遊が拡がる一方で、気が合わない人との人間関係でストレスを感じることもあるでしょう。 集団リハビリテーションに関する不満 通所リハビリテーションでは、個別と集団のリハビリテーションが実施されますが、集団リハビリテーションが中心となる事業所では、自分のペースや目標にあったリハビリテーションができずに不満が募ることもあります。内容によっては「幼稚すぎる」「面白くない」など、自分のニーズに合わないことがあります。 通所リハビリテーション(デイケア)を選ぶ際のポイント 通所リハビリテーションを選ぶ際のポイントを紹介します。 目的や希望に合うリハビリテーションの内容か 通所リハビリテーションに通う目的と、希望するリハビリテーションの内容を提供してくれる事業所か確認しましょう。事前に体験利用をしたり、見学をしたりして、目的や希望に適うリハビリテーションの内容かどうか、確認しましょう。 専門職と職種間の連携体制が整っているか リハビリテーション分野の専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが配置されている事業所か確認しましょう。また、定期的なカンファレンスが行われ、医師や看護師などとの情報共有や連携がスムーズに行われているかチェックすると良いでしょう。 設備が整っているか 事業所に医療、リハビリテーション、介護などの設備が整っているか確認しましょう。具体的には次のような設備があると良いでしょう。 筋力トレーニングのマシン、歩行訓練台、歩行階段、スロープなどの運動療法器具ペグ、アクリルコーン、おはじき、ビー玉、食器・お箸の自助具などの作業療法に関する物品 ほか 事業所の雰囲気と利用者の様子 実際に事業所を訪問して見学し、明るさや清潔さを確認し、自分が通所して快適に、リハビリテーションができるかどうか判断しましょう。また、利用者同士のコミュニケーションや、スタッフとのやり取りが和やかな雰囲気が行われているかどうかチェックし、自分の好む雰囲気かどうかを知ると良いでしょう。 まとめ この記事では、通所リハビリテーションの概要を説明するとともに、提供されるサービス内容やメリット・デメリットを紹介しました。興味のある方は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談することから始めましょう。 参考文献 「介護保険制度について」厚生労働省どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア)介護事業所:生活関連情報検索 厚生労働省
2025.06.30
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グループホームとは 選び方やサービス内容、メリットを徹底解説
グループホームとは グループホームは、介護保険制度上では「認知症対応型共同生活介護」といい、少人数の認知症高齢者が入居する共同住居型の施設です。他の介護施設との違いは、認知症ケアに特化しているという点です。以下、グループホームの主な特徴を2点説明します。 施設の特徴 5~9人の認知症高齢者が入居しており、入居者一人ひとりに個室があり、日中は共有スペースで過ごすこともあれば、個室でゆっくり休むこともできます。施設内は家庭的な雰囲気があり、入居者は自宅に似た環境で日常生活を送ることができます。このような環境を整えることで、認知症の進行を穏やかにすることが期待できます。このように、入居の対象が認知症を抱える人であり、介護スタッフも認知症ケアを専門としている点に特徴があるといえます。 入居者が役割を持つ グループホームの入居者は、認知症の進行を防止するため、簡単な家事などを通じて、役割を担うことがあります。例えば、入居者が介護スタッフとともに台所に立って調理をしたり、それを待っている他の入居者がおしぼりを巻いたり、洗濯物をたたんだりすることなどです。これらの家事を行い、役割を持つことで、入居者が自身の生活意欲を高めることができるだけでなく、認知症の進行を防止することにも役立ちます。 入居の対象・条件 グループホームは、次のような方を入居対象としています。 65歳以上の高齢者で、グループホームと同じ市町村に住んでいる方要介護認定で要支援2から要介護5までの認定を受けている方医師により認知症の診断を受けた方 ほか ただし、グループホームを運営する法人や事業所によって詳細が異なります。入居する前に、担当のケアマネジャーや、施設の担当者に確認しましょう。 提供されるサービス グループホームで提供されるサービスは次のとおりです。 介護サービス 入居者の心身機能に応じて、食事、入浴、排泄などの身体介助が提供されます。グループホームは入居型の施設であるため、24時間体制の介護を受けることができます。 日常生活支援 日常生活支援とは、居室の掃除や衣類の洗濯など、介護スタッフによる身の回りのサポートを指します。先述のとおり、入居者は一部の家事を担いますが、できない部分は介護スタッフからの支援を受けられます。 機能訓練 入居者の心身機能の維持・向上を目的として、機能訓練が行われます。訓練内容は施設によって異なりますが、主に脳トレなどの簡単な知的訓練から、肩の関節を動かして可動域を確保するような身体訓練もあります。 健康管理 日中、看護師が常駐する施設では、入居者の血圧や脈拍などを測定するバイタルチェックが行われます。医療スタッフによる日々の健康管理は、入居者にとって安心です。 レクリエーション(余暇活動) 入居者の生活を充実したものにするため、施設内外でレクリエーション(余暇活動)が行われています。施設内では手芸、カラオケ、書道、華道など趣味に関するレクリエーションが行われますが、その充実度は施設によって異なりますので、気になる方は入居前に確認すると良いでしょう。 入居費用 グループホームに入居する際、どの程度の費用がかかるのでしょうか。以下、詳しくみていきましょう。 初期費用 初期費用とは、施設へ入居する際に支払いが必要となる入居一時金や保証金を指します。グループホームのなかには、初期費用としてこれらを設定しているところがあり、金額は施設によって異なります。高いところでは数百万円と設定しているところもあるため、入居を検討する際には必ず確認するようにしましょう。 月額費用 月額費用とは、入居後に施設に対して毎月支払うランニングコストのことで、居住費や食費、介護サービス費用、その他の費用を指します。金額はグループホームの規模や場所、入居者の要介護度によって異なりますが、概ね15万円から30万円くらいです。ただし、立地条件の良い施設の場合は30万円を超える場合があります。 入居までの流れ グループホームへの入居までの流れは次のとおりです。 順内容詳細1情報収集グループホームに関する情報を集め、担当のケアマネジャーや、地域包括支援センターなどで情報を集める。2見学、体験入居入居希望のグループホームが見つかったら、見学に行く。施設の雰囲気や介護スタッフの対応、入居者の様子を見学する。3入居の申し込みグループホームに対して入居の申し込みを行う。入居申込書、介護保険証、医師の診断書などが必要。4入居の審査・面談 提出した資料をもとに、グループホーム側が入居のための審査を行う。場合によっては、入居希望者と家族が施設担当者と面談を行う場合がある。5入居契約審査に通過したら入居の契約を取り交わす。契約内容を確認し、分からないことは必ず担当者へ確認する。6入居担当者と入居日時を調整し、入居する。 上記は一般的なグループホームの流れとなります。施設によっては、入居の条件や提出する書類などが異なる場合もあるため、事前に施設担当者へ確認を取りましょう。 グループホームの選び方 グループホームを選ぶ場合、どのような視点から選べば良いのでしょうか。以下、詳しく解説します。 自分に合うケアが受けられるか 認知症の症状や状態に応じた、適切なケアが受けられる環境かを確認しましょう。例えば、グループホームに勤務する介護スタッフが認知症ケアの専門職かどうか、介護福祉士や認知症ケア専門士などの専門資格を持っており、専門の知識・技術を有しているかどうか確認しましょう。 生活環境と施設の雰囲気 入居者が生活する環境や、施設の雰囲気を確かめましょう。居室の広さ、使い勝手、日当たりなどの環境が自身の好みに合うか確認すると良いでしょう。他の入居者とともに利用する共同スペースについては、その広さ、清潔さ、家庭的な雰囲気の有無などを確認しましょう。 立地条件 グループホームの立地が良ければ、家族が面会に訪れやすく、入居者が簡単な外出をするのにも便利です。入居後の生活をイメージしたうえで、生活がしやすい場所にあるか、自身のニーズに合った施設かどうか確認しましょう。 グループホームのメリット 認知症の進行防止が期待できる グループホームでは、少人数の認知症高齢者と介護スタッフとの共同生活が、認知症の進行を緩やかにすると期待されています。また、いくつかの調査研究によると、グループホームの入居者は、BPSD(認知症による心理症状、周辺症状)が安定し、QOL(生活の質)が高まったと指摘しています。 家庭的な雰囲気で生活できる グループホームは、認知症の方が混乱しないように、少人数で、家庭的な雰囲気・環境を整えています。個室で一人でのんびり過ごすことができ、共同スペースでは介護スタッフや他の入居者とお話して団らんしたり、一緒に調理して食事を楽しんだりして穏やかに過ごすことができます。 個別的なケア グループホームは、施設自体が小規模で入居者数が少なく、介護スタッフが目が行き届くことから、入居者一人ひとりに合わせた個別的なケアが期待できます。 グループホームのデメリット 同じ市町村に住んでいないと利用できない グループホームは地域密着型サービスであるため、入居希望者がグループホームと同じ市町村内に住んでいないと、原則として入居することができません。 例:隣町に新しいグループホームができたとしても、原則として、同じ市町村の住民でなければ入居条件を満たさない。 市町村によってはいくつかの例外規定が定められていますが、原則として、同じ市町村に住む高齢者だけが入居できる仕組みです。 医療機能が不十分 グループホームには医療的な機能がないため、入居者は医療的ケアを十分に受けることができません(病院などの医療機関に併設されたグループホームを除く)。入居者の日常的な健康管理や服薬管理は行われますが、高度な医療的ケアが必要になった場合は、病院や介護医療院への転院をしなければならないことがあります。 小さいコミュニティ グループホームは小規模の施設であることから、介護スタッフと含めて少人数でのコミュニティで生活することとなります。場合によっては、人間関係の煩わしさを感じることがあるかもしれません。小規模の施設にはメリットがある一方で、このようなデメリットがあります。介護職員も少ないので、狭い範囲での人間関係がこじれると、生活のしづらさを感じてしまうかもしれません。 よくある質問 ここからは、グループホームに関するよくある質問を紹介します。 見学はできますか? 多くのグループホームは、入居を検討している方や家族の見学や体験入居を受け付けています。見学では、実際に施設で日常生活を送る入居者の様子や、介護スタッフによる介護を見ることができますので、希望する方は担当のケアマネジャーに相談してみましょう。 入居の待機期間はありますか? グループホームは施設が小規模で、入居できる利用者の数が少ないため、施設への入居を待つ待機者が多く発生します。特に人気のあるグループホームは入居希望者が多く、待機期間は約3ヶ月~1年くらいです(地域や時期によって異なる)。 看取り介護はやっている? グループホームのなかには、看取り介護をやっているところもあります。看取り介護とは、入居者が最期を迎えようとしている期間における、身体的・精神的なケアを指します。看取り介護は、全てのグループホームで対応している訳ではありませんので、希望する方は担当のケアマネジャーに相談すると良いでしょう。 まとめ グループホームは家庭的な雰囲気で、介護スタッフとともに家事などを行い、自分らしく生活を続けるとともに、認知症の進行を遅らせることが期待されています。特別養護老人ホームなどの大規模施設と比べると、グループホームではゆったりとした時間の流れの中で、家庭的な雰囲気のもと日常生活を送ることができます。興味のある方は、担当のケアマネジャーに相談してみることをお勧めします。 参考文献 「グループホームとは?」公益社団法人日本認知症グループホーム協会「どんなサービスがあるの? - 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」介護事業所・生活関連情報検索
2025.06.25
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の選び方|費用・サービス・注意点を解説
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは、高齢者の単身、または、高齢のご夫婦が入居できる高齢者向けの賃貸住宅を指します。高齢者にとって、適切で安全な住環境が確保されている賃貸住宅とイメージすると良いでしょう。サ高住では、高齢者の住まいを提供するとともに、安心した生活を実現するための必須となるサービス(後述)が提供されています。 入居の対象・条件 サ高住の入居要件は次のとおりです。 60歳以上の方およびその同居者要介護・要支援認定を受けている方とその同居者 入居条件の詳細はサ高住の運営会社によって異なりますが、基本として自立〜軽度の要介護高齢者が対象とされています。 サ高住の特徴 サ高住の特徴は次のとおりです。 一般型と介護型の2種類がある 一般型とは、自立した生活を送ることのできる高齢者が入居します。一方の介護型は、要支援~軽度の要介護高齢者が入居し、入居者を対象に介護サービスなどが提供されています。 設備の基準 サ高住は、入居する高齢者が、適切で安全な生活を送ることができるように、次の設備基準に則り建てられています。 各戸の床面積は原則25平方メートル以上原則として、各戸に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えていること 入居者の居室は、いずれもバリアフリーで、お風呂やトイレなどの手すりが設置されるなど、高齢者が不便なく生活できるよう工夫されています。また、共用部分(廊下、エレベーターなど)においても、高齢者に適した環境が整備されています。 提供されるサービス サ高住において、必ず提供されるサービスは次のとおりです。 安否確認 安否確認サービスとは、サ高住の職員が、入居者の万が一に備え、その安否を確認するものです。このようなサービスがあることで、入居する高齢者はもちろん、離れて暮らす家族としても安心できます。 生活相談サービス 介護福祉士や看護師などの資格を持つスタッフが、入居者の生活全般に関する相談に応じ、必要な助言・情報提供を行います。生活上の困りごとがあれば、気軽に相談することが可能です。 その他のサービス 次のサービスは、任意で提供されます。サービスを受けない場合、調理や掃除は自身で実施することになります。また、住宅によっては提供されていないサービスもありますので注意してください。 種類内容食事の提供入居者の希望に応じて食事の提供を行う日常生活上の支援衣類の洗濯、居室の掃除など、生活するうえで必要な支援レクリエーション入居者の余暇時間を充実させるために行われる趣味活動など介護保険外サービス介護保険が適用されない施設独自の介護サービス(入浴介助など) なお、入居者が介護保険制度を使った介護サービスを利用する場合、地域にある別の介護サービス提供事業者が提供するサービスを利用するのが一般的です。ただし、サ高住自身が介護サービスを提供している場合があります。入居の際に、事前に説明を受けて希望するサービスの有無を確認しましょう。 サ高住と介護付き有料老人ホームの違い サ高住と、有料老人ホームはどのような点で違うのでしょうか。以下の表にまとめました。 サ高住介護付き有料老人ホーム主な運営主体民間企業民間企業入居一時金なし必要契約方式賃貸借契約利用権方式月額費用(家賃)平均相場高め介護サービス外部サービスの利用が基本施設が介護サービスを提供生活の自由度外出や外泊をしても、施設への届出などは不要外出や外泊をする場合、届け出が必要 上記のとおり、それぞれ目的や対象、提供されるサービス内容が異なります。どちらへ入居したら良いか分からない場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。 入居までの流れ サ高住へ入居するまでの流れは次のとおりです。1:施設への問い合わせ2:見学・相談3:申し込み4:面談5:契約・入居 上記はあくまでも入居の一般的な例です。サ高住によって詳細が異なりますので、注意してください。 入居に関する費用 サ高住の入居に際し、かかる費用を説明します。次のとおりです。 入居時に必要な初期費用 入居時に負担しなければならない初期費用は、敷金や礼金です。サ高住が設置されている場所や地域によりますが、家賃の数カ月分です。その他、入居に必要な日用品の購入費用や、引越し費用が必要です。 入居後に必要な月額費用 入居者は、月額費用として家賃を負担しなければなりません。家賃の額は、サ高住が設置されている場所や地域、居室の広さや設備によって異なりますが、おおむね10〜30万円/月です。このほか、医療費、日用品費、介護サービス費用などを別途負担します。 サ高住の選び方 サ高住を選択する場合、どのような点に着目したら良いのでしょうか。以下、解説いたします。 一般型か介護型か 一般型と介護型では、入居の対象が異なります。現在は要介護状態ではなく、自立している場合は一般型が適していますし、重度ではないものの、適度に介護サービスを利用したい場合は介護型を選ぶと良いでしょう。 居室・共有スペース 居室の広さや設備、共有スペースが充実しているかチェックしましょう。特に居室に関しては、使い勝手の良い間取りであり、緊急コールのシステムの有無を確認すると良いでしょう。 医療機関との連携体制 サ高住のなかには、病院やクリニックなどの医療機関との連携を保ち、入居者が安心できる環境を整えているところがあります。 全てのサ高住でこのような環境が整備されている訳ではありませんので、万が一の時に備えたい方は、連携体制が確保されている住宅を選ぶと良いでしょう。 食事の充実 サ高住のなかには食事の提供サービスを行っているところがあります。高齢者で一人暮らし、または夫婦のみの世帯では、食事の準備が面倒となり、栄養状態が疎かになる例も少なくありません。サ高住の提供する食事のサービスを利用する場合は、栄養バランスや味付けの好みを確認するとともに、入居者の口腔状態に合わせた食事(刻み食、ミキサー食など)の提供が可能かチェックすると良いでしょう。 費用 サ高住の家賃は、建てられている場所や地域、設備の充実度、サービス提供の有無によって大きく異なります。また、敷金や礼金は、基本的にはサ高住の運営者が自由に設定できる仕組みとなっているため、住宅によってその額が違います。複数の住宅において、入居の際に必要となる初期費用と、毎月の月額費用を算定してもらい、比較検討したうえで選ぶようにしましょう。 立地・周辺環境 サ高住の立地、周辺環境は、入居者の生活の質に関わる重要な要素です。立地が良ければ家族や友人による面会がしやすくなり、周辺環境が充実していれば、気軽に外出して余暇時間を楽しむことができます。 サ高住のメリット 入居しやすい 高齢になると一般の賃貸住宅が借りにくくなり、住まいを確保するのが難しくなりますが、サ高住は、高齢者向けの賃貸住宅です。よって、入居しやすいメリットがあります。 生活の自由度が高い サ高住は、高齢者向けの賃貸住宅です。よって、通常の住宅と変わらない生活を送ることができ、その自由度が高く、外出や外泊を自由に行うことができます。 安心して生活ができる 一人暮らしの高齢者でも安心して生活ができるように、安否確認のサービスや、生活相談サービスが提供されています。この点もメリットだといえるでしょう。 サ高住デメリット 一般的な賃貸住宅よりも少し高い サ高住の家賃は、一般的な賃貸住宅よりも高く設定されています。なぜなら、入居者に対し、安否確認サービスや生活相談サービスが提供されているためです。この点はデメリットであるといえるでしょう。 連帯保証人・身元引受人が必要 サ高住は賃貸住宅と変わらないため、入居の条件として、その契約までに連帯保証人を立てなければならないケースが多いです。また、合わせて身元引受人を必要とする住宅もあります。 要介護状態が悪化した場合 サ高住へ入居した後に、何か大きな病気やケガに遭って重度の要介護状態になった場合は、(賃貸契約の内容によりますが)退去しなければならないことがあります。また、重度の医療的ケアが必要な状態になった場合でも同様です。退去した後は、そのニーズに合わせて、介護保険施設(特別養護老人ホームなど)や、病院などの医療機関への転院を求められることがあります。 よくある質問 認知症があっても入居できる? サ高住を運営する事業所によって異なりますが、認知症があっても入居できるケースもあります。ただし、全ての住宅で受け入れをしている訳ではありませんので、詳しく知りたい方は、運営事業者・担当者に相談してください。 まとめ サ高住は60歳以上の方が安心して入居できる住宅です。一般の賃貸住宅と同じで生活の自由度が高く、その一方で安否確認サービスや生活相談サービスを利用することが可能です。一人暮らし、またはご夫婦で、高齢者向けの住宅・施設を探している方は、サ高住を一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。入居を検討する場合には、施設見学や体験入居をおすすめします。 参考文献 「サービス付き高齢者向け住宅について」介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム 厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅のご案内(事業者用パンフレット)」国土交通省 厚生労働省
2025.05.20