介護情報
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シルバーカーと歩行器の違いとは?選び方や介護保険の活用方法もわかりやすく解説
シルバーカーと歩行器とは シルバーカーと歩行器は、加齢や病気、けがなどによって歩行が難しくなった方をサポートするための福祉用具です。なお、車輪がついている歩行器は「歩行車」と呼ばれることもあります。利用者が歩行に対する不安を抱えたまま過ごすと、外出の頻度が減り、筋力や意欲の低下につながりやすくなります。また、外出時に介助する機会が増えていくと、介護者の負担も大きくなっていくでしょう。こうした状況になることを防ぎ、安全に歩き続けるために役立つのがシルバーカーと歩行器です。見た目は似ていますが、対象者や役割などには大きな違いがあります。利用者に合わないものを選ぶと転倒したり足腰を痛めたりする恐れがあるため、違いを理解し、適切な製品を選ぶことが大切です。 シルバーカーと歩行器の違い シルバーカーと歩行器には、主に以下のような違いがあります。それぞれの特徴を理解しておくと、利用者にはどちらが合っているのか判断しやすくなります。 違いシルバーカー歩行器(歩行車)形状・ハンドルが棒状の製品が多い ・収納スペースや座面がついている製品が一般的・ハンドルが利用者を囲うような形・種類によって収納スペースや座面、車輪の有無が異なる対象者・自力で歩行できるが、荷物を運んだり長距離を歩いたりするのに不安がある方・自力歩行はできるが、姿勢のサポートが欲しい方役割・荷物の運搬や休憩場所の確保・安定した歩行のサポート利用者の身体への負担・身体を支えられないため、体重をかけると転倒するリスクがある・身体を支えられるため、足腰の負担軽減につながる・歩行車は不意な体重移動による加速を抑えるといった安全性能が高い製品もある利用する場面・屋外での利用が中心・屋内外どちらでも利用しやすい介護保険・対象外(全額自費購入 ※自治体によって助成制度あり)・対象(1~3割負担でレンタル可能※種類によっては選択制の利用も可能) 形状 シルバーカーはハンドルが棒状の製品が多く、利用者はハンドルを前に押しながら歩行します。荷物を入れられる収納スペースや、休憩時に座れる座面がついているのが一般的です。歩行器はハンドルが馬蹄型やコの字型をしており、利用者がハンドルの内側に入り込むようにして使います。利用者の足だけでなく歩行器の脚でも身体を支えられるため、より安定した歩行が可能です。歩行器には、収納スペースや座面がついているタイプと、ついていないタイプの両方があります。また、脚に車輪がついておらず、持ち上げて使うタイプもあります。 対象者 シルバーカーの対象者は、自力で歩けますが「長時間歩き続けるのは不安」「買い物帰りは歩くのが大変」などの思いを持っている方です。シルバーカーを使うことで外出に対する不安が和らぎ、外出の頻度が増えたり範囲が広がったりします。一方、歩行器の対象者は自力でも歩けますが、姿勢のサポートや身体の支えがあるとより安全に歩ける方です。歩くと足腰に痛みを感じる方や、病気やけがなどによって支えがないと歩きにくい方は、歩行器のほうが安全に歩けます。 役割 シルバーカーは、荷物の運搬や休憩場所としての役割を果たします。そのため、買い物に行ったり外で人と話したりといった外出の機会づくりに役立ちます。歩行器の主な役割は、利用者の身体をしっかりと支えて安定した歩行をサポートすることです。足腰に不安がある方の歩行練習にも適しており、病院や介護施設での歩行のリハビリでも使用されます。 利用者の身体への負担 シルバーカーは利用者の身体を支えられる構造ではないため、歩行時の負担を軽減する効果は期待できません。無理に体重をかけると前方へ転倒する恐れがあります。そのため、足腰に痛みがある方やふらつきやすい方が支えの代わりとして使うのは危険です。一方、歩行器は利用者の身体を支えられる構造になっており、歩行時の安定性が高いです。足腰にかかる負担を減らせるため、痛みの軽減に役立ちます。また、支えがあることで歩行時の姿勢が安定する方もいます。さらに、歩行車には段差を乗り越える際にキャスターが力を逃がしてくれたり、不意な体重移動による急な加速を抑えたりする機能を搭載した製品もあります。安全性能が高い点も、歩行器の大きな特徴です。 利用する場面 シルバーカーは、自分で歩けるけれど屋外での歩行に不安がある方に向いています。近所のスーパーでの買い物や公園までの散歩など、日常的なお出かけが主な活躍の場です。歩行器は、種類によって向いている環境が異なります。車輪がついていないタイプは、寝室からトイレまでの移動といった室内での使用や、リハビリに適しています。車輪がついている歩行器(歩行車)は、シルバーカーと同様に屋外でも利用しやすいです。上り坂で電動アシストしたり、下り坂で自動ブレーキが作動したりする製品もあり、自宅の周りに坂道が多く外出をためらっている方も出かけやすくなるでしょう。 シルバーカーや歩行器を導入するメリット シルバーカーや歩行器を導入すると、何も使わずに歩行するよりも転倒の不安が軽減されます。利用者の「外に出たい」「自分で歩き続けたい」などの気持ちを後押しできる点が、大きなメリットです。行動範囲が広がると、近所の人や店員などとの会話を通じて他人と交流する機会が増えていきます。家に閉じこもっているときよりも孤独感が和らぎ、前向きな気持ちになりやすくなるでしょう。また、歩く機会が増えることで筋力の低下を予防できます。歩行によって脳の血流がよくなり、認知機能の維持も期待できます。利用者が自分の力でできることが増え、介護者の負担が軽くなる点もメリットです。買い物の付き添いが減ったり、トイレまでの移動介助が楽になったりするため、介護者は日々のサポートを無理なく続けやすくなるでしょう。 シルバーカーや歩行器を導入するデメリット 利用者のなかには「介護用品のような見た目が気になる」「まだ使うのは早い気がする」と感じる方もいます。シルバーカーや歩行器を使うこと自体がストレスになると、導入しても使われず、生活があまり変わらない可能性もあります。導入に抵抗がある方には、無理に勧めるのではなく「これがあればお出かけがもっと楽になるよ」といった前向きな声をかけるのがおすすめです。また、性別や年代を問わず使いやすいおしゃれなデザインのシルバーカーや歩行器も増えてきています。機能面だけでなくデザイン面も重視し、利用者の気持ちが高まる製品を探してみましょう。 シルバーカーや歩行器の選び方 ここからは、シルバーカーや歩行器を選ぶ際のポイントを紹介します。 シルバーカーを選ぶポイント シルバーカーを選ぶ際は、どのような場面で利用するかをイメージすると利用者に合った種類が見つかりやすくなります。以下に、種類ごとの特徴とおすすめの方をまとめました。 種類特徴おすすめの方コンパクトタイプ・軽量で持ち運びやすい・収納スペースが小さい・シルバーカーを試してみたい方 ・公共交通機関をよく使う方ミドルタイプ・収納スペースが適度な大きさ ・持ち運びやすい重さ・日常的な買い物や散歩で使いたい方ボックスタイプ・収納スペースが大きく車幅も広い・座り心地がよい ・重量がある・荷物が多い方 ・歩行時の安定感を重視したい方 ・座って休憩することが多い方 また、安全に使うためにはブレーキの握りやすさも重要です。ハンドルの中央についている棒状のブレーキや自転車のようなブレーキなど、製品によって形状が異なります。可能であれば、購入前に利用者が無理なくブレーキを操作できるか確かめておくと安心です。 歩行器を選ぶポイント 歩行器は、利用者の身体の状態に合った種類を選ぶことが大切です。以下の表を参考に、利用者に合う歩行器を選びましょう。 種類特徴おすすめの方固定型(ピックアップ型)・フレームが固定されており、持ち上げて移動する・上半身に筋力がある方 ・支えがあればゆっくりと歩ける方交互型・左右のフレームを交互に前へ動かして移動する・常にフレームの一部が地面に接しており安定感がある・片足に痛みがある方 車輪つき(2輪タイプ)・前脚に車輪がついている ・後脚を持ち上げて移動する・固定型を持ち上げるのが難しい方 ・主に屋内で使いたい方 車輪つき(4輪タイプ・歩行車)・すべての脚に車輪がついている ・シルバーカーと似た形状の製品もある(左右ハンドル型)・腕の力が弱い方(馬蹄型)・主に屋内で使いたい方(馬蹄型) ・屋外でも利用したい方(左右ハンドル型) ※メーカーや商品によって車輪つき歩行器と歩行車の定義が異なるため確認が必要。 車に積んで出かけたい場合や公共交通機関をよく使う場合は、折りたたみ式や軽量タイプの製品を選ぶと扱いやすくなります。 シルバーカーと歩行器に共通するポイント シルバーカーも歩行器も、転倒といった事故を防ぐために利用者に合った製品を選ぶ必要があります。高さが合っていないまま使い続けると、歩行時の姿勢が崩れて負担がかかったり、転倒したりするリスクが高まります。利用者の身体の状態は日々変化するため、利用者と家族だけで適した製品を選ぶのは難しいです。購入前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談し、アドバイスをもらいましょう。 福祉用具専門相談員について詳しく知りたい方は「福祉用具専門相談員の役割と活用法を徹底解説」もご覧ください。 介護保険でシルバーカーや歩行器は導入できるか シルバーカーや歩行器を導入する際に、介護保険を活用できるか解説します。 シルバーカーは介護保険の対象外 シルバーカーは自分で歩ける方が対象者のため、介護保険を活用した購入やレンタルはできません。そのため、シルバーカーの導入方法は全額自費での購入のみとなります。なお、自治体によってはシルバーカーの購入費用を助成する制度があります。助成金の金額や申請方法などは自治体によって異なるため、お住まいの地域の制度を確認しておきましょう。 歩行器は介護保険の対象 歩行器は介護保険の対象となり、所得に応じて1〜3割の自己負担額で導入できます。そのため、歩行器を導入する際は金銭的な負担が少ないです。車輪のない固定型・交互型は福祉用具貸与によるレンタルか、特定福祉用具販売による購入のどちらを利用するか選べます。導入時にレンタルを選んだ場合、6ヶ月以内に福祉用具専門相談員が利用状況を確認し、レンタルを継続するか購入へ切り替えるかを検討します。 一方、車輪付きの歩行器(歩行車)は、福祉用具貸与によるレンタルのみ利用可能です。福祉用具貸与の対象者や流れなどを知りたい方は「福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ」をあわせてご覧ください。 シルバーカーや歩行器を安全に使用するための注意点 ここからは、シルバーカーや歩行器を安全に使い続けるための2つの注意点を解説します。注意点を理解しておくと、思わぬ事故につながるリスクを減らせます。 正しい使い方を利用者に伝える シルバーカーや歩行器を使う前に、押し方やブレーキのかけ方など、正しい操作方法を利用者に伝えておくことが大切です。操作方法に慣れるまでは、介護者が付き添って一緒に練習しましょう。利用者が一人で外出する場面を想定し、段差や電車のすき間など移動に不安を感じやすい場面では遠慮せず周りに助けを求めるよう話しておくと安心です。 使う前に点検する 安全に使用するために、ブレーキのきき具合やタイヤの状態などを使用前に点検するようにしましょう。少しでも違和感があるなら、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ早めに共有することが大切です。介護者が日頃から点検していれば、レンタルサービスに含まれる福祉用具専門相談員による定期点検時に相談することもできます。 まとめ シルバーカーや歩行器は、利用者の「自分で歩きたい」という気持ちを支える大切な福祉用具です。特にシルバーカーと車輪つき歩行器(歩行車)は見た目が似ていますが、対象者や役割は異なるため、違いを理解したうえで選ぶことが大切です。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの専門家と相談しながら、利用者が安心して歩ける一台を見つけましょう。 参考文献 「シルバーカーの給付」葛飾区 「シルバーカー購入費助成事業」豊田市 「どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「選択制の対象とする種目に関する解釈」厚生労働
2026.02.02
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【高齢者の住まい選び】シニア向け分譲マンションとは?メリット・デメリットも解説
シニア向け分譲マンションとは シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいよう建物全体がバリアフリー化された分譲マンションを指します。マンションによって充実度が異なりますが、レストランや大浴場などの共用部分が充実しており、入居者に対し、食事、余暇活動の場、コンシェルジュサービスが提供されます。ただし、シニア向け分譲マンション自体は介護サービスを提供していません。要介護状態であって介護サービスを利用する場合は、外部のサービス提供事業者と契約して利用する形となります。 シニア向け分譲マンションの入居条件 シニア向け分譲マンションは、自立した高齢者(65歳以上)を入居の対象としているのが一般的です。ただし、マンションによっては、年齢制限を設けていなかったり、要介護状態の高齢者を受け入れていたりするなど、条件が異なりますので、入居前に確認すると良いでしょう。 シニア向け分譲マンションの設備とサービス 居室 居室は35~100㎡の広さが一般的で、リビング、ミニキッチン、トイレ、浴室があります。リビングの広さはマンションの規模や契約によって異なります。居室には緊急時に管理室への連絡が可能な装置(緊急通報サービス)が設けられている場合が多く、もしもの時にも安心です。 共用部分 設備の充実は各マンションによって異なりますが、一般的には次の設備が設けられている場合が多いです。 設備内容レストラン入居者が食事をする場所。食事内容を選択できる場合もある。浴場施設によって大小は異なるが、入居者が入浴できる浴場がある。地域によっては温泉が出ていることも。プール設置しているマンションは限られるが、入居者が利用できる(温水)プールがある。趣味活動の スペースカラオケや読書、生け花や習字など、趣味活動を行うスペースが設けられている。 生活サポートサービス シニア向け分譲マンションのなかには、次の生活サポートサービスを提供しています。 種類内容見守りサービススタッフによる入居者への定期的な声かけ、安否確認が行われる。緊急時対応急病や事故の場合に、スタッフが駆けつけて緊急搬送の依頼や、家族への連絡など実施してくれる。健康相談スタッフが健康上、生活上の相談に乗ってくれる。コンシェルジュサービスコンシェルジュが来客の受け付け、宅配便の取り次ぎ、タクシーの手配などを行ってくれる。その他居室内の掃除、買い物代行などのサービスが提供される。有料の場合が多い。 これらの生活サポートサービスは、マンションによって提供の有無が異なります。入居する前に確認し、自身のニーズに適うかどうかチェックしましょう。 シニア向け分譲マンションの費用 シニア向け分譲マンションの費用は、初期費用と月額費用の2つに分けられます。次のとおりです。 項目内容初期費用マンションを購入する際にかかる費用。物件価格だけでなく、購入の手数料や不動産取得税などの諸費用がかかる。 例)数千万円~数億円月額費用マンションで生活を送るうえでかかる費用。これには管理費や修繕積立金、食費、水道光熱費、生活サポート費用がある。外部の介護サービスを利用すれば、その自己負担分がある。 例)10万円~30万円 これらの費用は、マンションの立地や規模、居室の広さや築年数、提供されるサービスによって大きく異なるため、注意が必要です。 シニア向け分譲マンションのメリット 資産として保有できる シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションと同じで、入居者はこれを購入し、資産として保有できます。そのため、自分好みに居室内のリフォームをすることができるだけでなく、利用しなくなったら売却したり、賃貸物件として他者へ貸し出すこともできます。 生活の自由度が高い シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションと同じで、多少の規則はあるものの、基本的には生活の自由度が高いです。特別養護老人ホームや有料老人ホームの場合は、食事や入浴の時間が限られており、家族の面会時間に制限がありますが、シニア向け分譲マンションには、このような制限はありません。よって、生活上の自由度が高く、外出や外泊、親族を宿泊させることも自由にできます。 適度なコミュニティ活動 シニア向け分譲マンションは、入居者同士の適度なコミュニティ活動があります。コミュニティ活動では他の入居者とともに、季節ごとのイベントを楽しんだり、共通する趣味を楽しんだりしながら、社会的交流を続け、楽しく暮らすことができます。ただし、コミュニティ活動の充実度はマンションによって異なりますので、希望する方は入居前に必ず確認しましょう。 シニア向け分譲マンションのデメリット 費用が高い シニア向け分譲マンションは、一般の分譲マンションと同様に、物件を購入する費用がかかります。また、管理費や修繕積立金、コンシェルジュサービスや見守りサービスの利用料などがかかるため、ランニングコストが高くなりがちです。これに加えて、介護サービスを利用する場合はその自己負担分がかかり、固定資産税も負担しなければなりません。 介護状態によっては住み続けられない 入居時は自立していた方でも、加齢とともに心身機能が低下したり、大きな病気を患ったりして、重度の要介護状態になった場合には、外部の介護保険サービスを利用しながら生活するには限界があります。よって、より介護サービスが充実している介護施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)や、有料老人ホームへの転居が必要となる場合があります。 物件数が限られている シニア向け分譲マンションの物件数は増加しているものの、その数は十分であるとはいえません。数が限られると「選べない」状況にあると言え、購入する際はその選択肢が少ない点がデメリットです。 シニア向け分譲マンション選びのポイント シニア向け分譲マンションを選ぶ際、どのようなポイントを持てば良いのでしょうか。以下、その視点を紹介します。 ポイント内容コスト購入にかかる費用や、月々のランニングコストは負担できる程度のものか。食事マンションで提供される食事は内容が充実しているか、自分好みか、選択食か。周辺の 便利さマンションが駅やバス停が近くにあって、外出に便利か。近くに医療機関やドラッグストアがあって受診や買い物に便利か。周辺に急な坂はないか。安心 安全マンション内の緊急通報サービスが充実しているか。医療機関との連携はあるか。近辺の治安はどうか。雰囲気マンションの明るさや雰囲気が、自分の好みか。設備・ 趣味活動マンション内の設備や娯楽施設が整っているか。コミュニティ活動が充実しているか。退去後のこと退去後の売却したり、賃貸に出したりすることに備えて、リセールバリューが良いか。 他の施設との違い サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、自立〜軽度の要介護高齢者が入居する賃貸住宅です。入居者の自由度は高く、住宅によっては趣味活動などのレクリエーションが充実しています。賃貸住宅であるため、シニア向け分譲マンションよりも費用を抑えて入居することができます。また、安否確認と生活相談サービスの提供が必須であるため、安心して生活を送ることができます。ただし、家賃は一般の賃貸住宅よりも高く、入居には連帯保証人や身元引受人を立てる必要があります。 介護付き有料老人ホームとの違い 介護付き有料老人ホーム は、介護を必要とする高齢者が入居できる民間の施設です。入居者は契約によって利用権を得て入居し、施設スタッフによる介護サービスを受けることができるため、軽度〜重度の要介護状態、認知症の方でも利用できます。シニア向け分譲マンションと比べて生活の自由度は低く、食事や入浴の時間はあらかじめ決まっています。外出や外泊には事前の届出が必要です。 まとめ 本記事では、シニア向け分譲マンションについて、その概要とメリット・デメリットを解説しました。シニア向け分譲マンションは、一般的な老人ホームのような時間制限がなく、緊急時の見守りサービスなどの安心を得ながら、自立した暮らしを続けることができます。しかし、初期費用と月額費用が高額になりがちであること、そして、介護度が重度になった場合に住み続けられず、介護施設への転居が必要になる可能性があるというデメリットを理解しておくことが重要です。シニア向け分譲マンションが、本人や家族にとって最も望ましい住まいとなるのか、費用やサービス内容を他の施設と比較しながら慎重に判断しましょう。 参考文献 「シニア向け分譲マンションの供給動向から見える時代の変遷」公益社団法人 全日本不動産協会 「高齢時代の住宅のあり方に関する研究報告書」社団法人 不動産協会
2026.01.30
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入浴補助用具とは?種類や選び方、介護保険の活用方法もやさしく解説
入浴補助用具とは 入浴補助用具とは、身体機能が低下している方が安心して入浴できるようサポートする福祉用具です。浴槽をまたぎやすくしたり、浴室での転倒を防いだりするなど、用具によってさまざまな役割があります。浴室は生活エリアの中でも特に滑りやすく、利用者は必ず裸で利用するため、転倒・転落を防ぐ必要があります。入浴の一連の動作を想定し、どのような入浴補助用具があれば利用者も介護者も安心できるか検討しながら取り入れていくことが大切です。 入浴補助用具の種類 入浴補助用具は7種類あります。それぞれの特徴を理解しておくと、悩みに合った用具を見つけやすくなるでしょう。 入浴用いす 入浴用いすは、洗髪や洗身時に利用者が座るいすです。裸で座っても痛くないように、座面や背もたれなど肌の当たる部分はウレタン(スポンジ状)でできている製品が多いです。入浴用いすは、キャスターの有無で2種類に分類されています。 シャワーチェア シャワーチェアは、キャスターがついていない入浴用いすです。座面の高さを調整できる製品が多く、足腰が弱ってきた方でも立ち座りしやすい高さに変えられます。背もたれやひじかけが付いているタイプを選べば、座ったときの姿勢が安定しにくい方でも安全に洗身や洗髪が可能です。介護者も利用者を支え続ける必要がなくなるため、入浴介助の負担が少なくなります。 シャワーキャリー シャワーキャリーは、キャスターがついている車いすのような形状の入浴用いすです。居室から浴室まで座ったまま移動できるため、自力で歩けない方でも転倒への不安を感じることなく安心して入浴できます。車いすからの移乗や歩行のサポートが不要になり、介護者の身体的な負担だけでなく、転倒させてしまうのではないかという心理的な負担も軽減できます。 浴槽用手すり 浴槽のふちに取り付けて使用する浴槽用手すりは、一人で浴槽をまたぐのが不安な方の支えとなります。浴槽の内側にも持ち手が付いているタイプを使えば、浴槽の中で座ったときの姿勢が崩れやすい方も安心して湯船に浸かれるでしょう。浴槽用手すりは、浴槽のふちをはさんで取り付けるタイプが一般的です。工事せずに設置できるため、賃貸住宅のように工事による手すりの取り付けが難しい場合も使用できます。 浴槽内いす(浴槽台)・浴槽内すのこ 浴槽内いすと浴槽内すのこは、どちらも浴槽の中に設置して深さを調整するための入浴補助用具です。設置部分が浅くなるため、浴槽が深く出入りに不安を感じている方でも安心してまたぎやすくなります。浴槽内いすは台のような形状をしており、腰掛けると浴槽内でもいすに座った状態になれます。足を伸ばして湯船に浸かっているときよりも立ち上がりやすくなるため、浴槽から出る際の安心感も増すでしょう。一方、浴槽内すのこは浴槽全体または一部に敷いて使用します。一部にのみ設置する場合は、浴槽に出入りする際のステップとしての活用も可能です。 入浴台(バスボード) 入浴台とは、浴槽の出入りを安全に行うために使用する、細長い形状をした福祉用具です。入浴台には主に以下の2つのタイプがあります。 浴槽のふちとふちに橋のようにかけて設置するタイプ 片方を浴槽のふちにかけ、もう片方を洗い場に立てて設置するタイプ どちらを使用しても台に腰掛けたまま浴槽をまたげるため、一人で浴槽をまたぐのが難しい方も楽に出入りできます。利用者も介護者も転倒への不安が和らぎ、安心して入浴できるでしょう。なお、片方を洗い場に立てて設置するタイプは洗身時のいすとしても使用できるため、洗身・洗髪から浴槽へ入るまでの一連の動作を座ったまま行えます。 浴室内すのこ 浴室内すのこを設置すると脱衣所と浴室の段差を解消でき、浴室に入りにくいと感じている方も安心して移動できます。また、洗い場の床が高くなるため、浴槽のふちが高くてまたぐのが不安な方でも出入りしやすくなります。滑りにくい加工が施されている製品が多く、床が濡れていても転倒しにくい点も浴室内すのこの魅力の一つです。脱衣所と浴室の段差がなくなればシャワーキャリーを導入しやすくなり、自宅での入浴介助は難しいと感じていた介護者も無理なく介助を続けやすくなるでしょう。 入浴用介助ベルト 入浴用介助ベルトは、利用者や介護者の腰に巻き付けて使用する用具です。入浴時は利用者が裸であるため、介護者は移乗介助するときに肌に直接触れる必要があります。力を入れると利用者の肌がこすれてしまったり、うまく力を入れられず抱えにくかったりすることも多いです。利用者が入浴用介助ベルトを装着していれば、介護者はベルトの持ち手をつかんで力を入れやすくなり、立ち上がりや移乗などの負担を軽減できます。一方、介護者が装着した入浴用介助ベルトの持ち手は、利用者が姿勢を安定させるための手すりのような役割を果たします。姿勢が安定するため、利用者の入浴に対する不安も和らぐでしょう。 入浴補助用具を使うメリット 入浴補助用具を使う利用者のメリットと介護者のメリットを解説します。 利用者のメリット 入浴補助用具を活用すると、浴槽をまたいだり身体を洗ったりなどの入浴にともなう動作が楽になります。さらに、入浴補助用具で段差を解消したり滑りにくくしたりすると、転倒のリスクが低下します。転倒によるけがや浴槽で溺れてしまうといった不安が軽減され、一人でも安心して入浴できるようになるでしょう。入浴補助用具を使えば入浴を不安な時間からリラックスできる気持ちよい時間に変化させられる点が、利用者にとっての大きなメリットです。 介護者のメリット 介護者が入浴補助用具を利用すると、利用者の身体を抱えて浴槽に入れたり、身体を支えながら洗髪や洗身したりする負担が少なくなります。そのため、腰痛になる可能性が低くなり、長期的に介護を続けやすくなります。また、利用者を転倒させないかという不安が軽減されるため、気持ちに余裕を持った入浴介助ができるでしょう。さらに、利用者が一人で入浴することに対する心配も和らぎ、安心して見守れるようになります。 入浴補助用具の選び方 入浴補助用具を選ぶ際のポイントを3つ解説します。 利用者の身体の状態に合わせる 入浴補助用具は、利用者の身体の状態に合わせて必要な用具を選びましょう。例えば、白内障や弱視によって見えにくい方には、見えやすい色の用具を選ぶと安全に使いやすいです。入浴台に座ったときに浴槽の底に足が付かない方は、浴槽内いすや浴槽内すのこなどを組み合わせて使用すると安心して浴槽をまたげます。利用者一人ひとりの体格や症状に合わせることで、より安全で快適な入浴ができるようになるでしょう。 介護者の負担を軽減できるか検討する 入浴補助用具を選ぶうえで、介護者の負担を軽減できるかどうかも大切な視点です。高さ調整機能や用具の重さ、介助動作の妨げにならないかなど使い勝手を考慮して選びましょう。例えば、入浴用いすのひじかけが固定式だと浴槽への移乗介助がしにくくなりますが、跳ね上げ式であれば介助しやすくなります。また、軽い用具であれば設置や片づけもしやすいです。また、水場で使用するため、防カビ加工が施されている製品やさびにくい素材の製品を選ぶことも重要です。清潔さをたもちやすい製品を選ぶことで、お手入れの手間を省けます。介護者の負担が軽減できれば、無理なく入浴介助を続けやすくなるでしょう。 浴室の環境に合わせる どれほど機能が優れている入浴補助用具でも、浴室の環境に合っていなければ安全には使用できません。まず、入浴補助用具が浴室や浴槽のサイズに合っているか確認しましょう。以下は確認の具体例です。 シャワーキャリーが浴室の入り口を通れるか 浴槽内すのこが浴槽の寸法に合っているか 浴室内すのこの高さが脱衣所と浴室の段差に合っているか 上記に加えて、家族の使いやすさも考慮しましょう。浴室は家族全員が使用するため、福祉用具を使用しない家族が入浴するときに移動や収納がしやすいかどうかも製品選びの重要なポイントです。例えば、折りたためる製品であれば収納しやすいだけでなく、介助用のスペースを確保できるため介護者が無理な姿勢になるのを防げます。なお、浴槽のふちが広かったり締め付けて固定するとへこんだりする場合は、浴槽用手すりの設置が難しいこともあります。事前に浴室の環境を確認しておきましょう。 介護保険で入浴補助用具を導入する方法 入浴補助用具は介護保険サービスの特定福祉用具販売を利用して購入できますが、福祉用具貸与を利用したレンタルはできません。水回りで使用し、肌が直接触れる福祉用具であることから、他人が使用したものを利用することに心理的な抵抗を感じやすいためです。特定福祉用具販売を利用すると、同一年度内に購入した福祉用具の10万円までは所得に応じて1〜3割の自己負担額で購入できます。例えば、1割負担の方が5万円の用具を購入する際は、自己負担額は5,000円です。ただし、同一年度(4月〜翌年3月)内の購入額が10万円を超えた部分は全額自己負担となります。ケアマネジャーと相談しながら利用者にとって必要な用具を選び、購入するようにしましょう。介護保険について詳しく知りたい方は「介護保険ってなに?初めて介護する人が知っておくべきこと」をご覧ください。 介護保険で入浴補助用具を購入する流れ 介護保険サービスである特定福祉用具購入の流れは以下のとおりです。 1.介護保険を申請し、要介護認定を受ける2.ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう3.購入する業者を決める4.福祉用具専門相談員のアドバイスを聞きながら、入浴補助用具を選ぶ5.支払い方法を確認後、業者へ支払う6.市区町村の窓口に介護保険の利用を申請する7.所得に応じた給付金が指定口座に振り込まれる 業者への支払い方法は以下の2種類があるため、支払う前に確認しておきましょう。 償還払い:購入した全額を業者へ支払い、あとから給付金を受け取る 受領委任払い:自己負担分のみ先に支払い、あとから給付金が業者へ直接振り込まれる 特定福祉用具購入は要介護認定や用具選びなど、考えないといけないことが多いです。利用者と家族だけで対応しようとせず、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら進めるとスムーズに手続きを進められるでしょう。福祉用具専門相談員について詳しく知りたい方は「福祉用具専門相談員の役割と活用法を徹底解説」もご覧ください。 介護保険で入浴補助用具を購入する際の注意点 介護保険で入浴補助用具を購入する際の注意点を2つ紹介します。 同じ種目の福祉用具は原則購入できない 介護保険の特定福祉用具販売は、同じ種目の福祉用具を購入した場合、購入した年度を問わず原則給付金は支給されません。しかし、目的と用途が異なる福祉用具であれば、給付金の支給対象になります。例えば、浴槽内すのこと浴室内すのこは目的と用途が異なるため、どちらも給付金が支給されます。一方、大柄な方のために入浴いすを2個購入する際は、目的と用途が同じであるため1個分の給付金しか受け取れません。 なお、以下のような相応の理由がある場合のみ、例外的に同じ種目の福祉用具の再購入を認めている市区町村もあります。 故障や経年劣化などで使えなくなった 要介護度が上がり、さらに機能がよい製品が必要となった 特定福祉用具販売は簡単に再購入できないため、どのような機能を持つ製品が最適かケアマネジャーや福祉用具専門相談員と慎重に選定することが大切です。 介護保険で購入できない入浴用の福祉用具がある 安全に入浴するための福祉用具のなかには、介護保険で購入できないものもあります。例えば、滑り止めマットは入浴補助用具に分類されていないため、介護保険の対象外です。購入する際は、全額自己負担となるため注意しましょう。また、利用者を吊り上げたり電動シートに乗せたりして浴室内の移動をサポートする入浴用リフトは、入浴補助用具ではなく移動用リフトに分類されます。そのため、特定福祉用具購入ではなく、福祉用具貸与(介護保険を活用したレンタル)の対象です。ただし、使用によって形や品質が変化し、再利用すると事故につながる恐れがある吊り上げ式リフトの吊り具は特定福祉用具販売の対象となっています。福祉用具貸与の給付額や流れなどが知りたい方は「福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ」をご覧ください。 まとめ 入浴は、日本人にとって昔から親しまれているリラックス方法です。身体を清潔にたもつためにも、身体を拭くだけでなく、できるだけ浴室でしっかり入浴したいと考える方も多くいます。入浴補助用具は利用者の安全な入浴と介護者の負担軽減の両方をサポートし、利用者の「入浴したい」という希望を叶える福祉用具です。介護保険を活用して購入すれば、自己負担を抑えながら浴室の環境を整えていけます。購入までの手続きや利用者に合った用具選びなどは家族だけで対応するのは難しいため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談するのがおすすめです。専門家の力も借りながら、入浴を安全で快適な時間に変えていきましょう。 参考文献 「介護保険における福祉用具」厚生労働省 「どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「特定福祉用具を購入したとき (介護保険福祉用具購入費支給申請)」品川区 「介護保険福祉用具購入に係るQ&A」藤沢市 「福祉用具貸与・購入の内容」厚生労働省
2026.01.21
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ショートステイ(短期入所生活介護)とは?件・サービス内容・費用を徹底解説
ショートステイ(短期入所)とは ショートステイとは、普段は家族の介護を受けながら生活している方が、一時的に特別養護老人ホームなどの介護施設に入所することができるサービスです。自宅に住む要介護高齢者を対象としており、家族が一時的に家を空ける事情(冠婚葬祭等)がある場合などに利用できます。ショートステイには、特別養護老人ホームに短期入所する「短期入所生活介護」と、介護老人保健施設や介護医療院などに短期入所する「短期入所療養介護」の2種類があります(後述)。 ショートステイの利用目的と主な利用場面 ショートステイは、次の目的で利用できます。 利用者の心身を保護するため 自宅にこもっている利用者の孤立感の解消のため 利用者の心身機能の維持・回復や、適切な医療的ケアのため 家族の介護負担を軽減するため たとえば、利用者や家族が下記のような場合に利用することが多いです。 利用者の心身の状況や病状が悪い。 家族(介護者)が病気にかかっており、自宅での介護が難しい。 家族が冠婚葬祭や、出張などで一時的に家を離れる。 家族の身体的・精神的負担が大きく、軽減することが求められる。 その他、利用者または家族の事情で、一時的に施設へ短期的に入所する必要がある。 ショートステイは連続して利用できるのが、最大30日間までと定められています。これを超えて利用した場合、その超過分は介護保険が適用されず自己負担となるため、注意が必要です。ただし、利用者の健康状態などによって、延長利用の必要性が認められる場合は、介護保険の適用を受けてサービスを利用し続けることが可能です。 ショートステイの利用条件 ショートステイの対象は、次の要件を満たす方です。 要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方 自宅に住んでおり、介護が必要な状態の方 ただし、上記に当てはまらない方でも、いわゆる「有料ショートステイ」であれば利用することが可能です。有料ショートステイとは、有料老人ホームなどに短期入所することができる民間の介護サービスです。この場合、介護保険が適用されないため、要介護認定の有無は問われませんが、利用料は全額自己負担となります。 ショートステイの種類 先述のとおり、ショートステイには 特別養護老人ホームに短期入所する「短期入所生活介護」 介護老人保健施設や介護医療院などに短期入所する「短期入所療養介護」 の2種類があります。それぞれには、次のような特徴があります。 サービス名 (短期入所する施設)主な対象内容・特徴短期入所 生活介護 (特別養護老人ホーム) 支援や介護を必要とする高齢者施設には身体的介助や身の回りの世話に関するサービスが提供される。よって、医療的ケアはそこまで必要なく、日常的な支援や介助を必要とする場合に利用することができる。短期入所 療養介護 (介護老人保健施設など)支援や介護だけでなく、医療的なケアが必要な高齢者施設には医師や看護師が常駐しており、医療的ケアが提供できる体制が整っている。よって、利用者が施設で生活を送るうえで、胃ろうやインスリン注射、痰の吸引などの医療的なケアが必要な場合に利用することができる。 参考:「どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省参考:「どんなサービスがあるの? - 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 生活するなかで医療的ケアを必要とする場合は、ショートステイ先として介護老人保健施設や介護医療院を選ぶと良いでしょう。 ショートステイの具体的なサービス内容 ショートステイでは、次のサービスが提供されます。 項目内容身体介助・ 日常生活の世話利用者が施設で生活を送るうえでの介助・支援が提供される。 ・食事、入浴、排泄などの介助・居室の掃除、衣類の洗濯 などリハビリ テーション・ 機能訓練利用者の心身機能の維持・回復を目的に、次のリハビリテーションや機能訓練が提供される。・ 歩行訓練・関節可動域訓練・体操・マッサージ・嚥下体操、口腔体操 など医療、看護利用者の健康状態の管理や、必要に応じて医療的なケアが提供される。 ・バイタルチェック(脈拍、血圧、体温の測定)・褥瘡(床ずれ)の処置・痰の吸引・服薬管理・湿布の貼り替え などレクリエーション利用者の生活意欲を高めるためのレクリエーション・余暇活動が提供される。・ 健康体操・脳トレ・季節に応じたレクリエーション などその他上記以外の生活上の支援、身の回りの世話 ショートステイにかかる費用 ショートステイを利用する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。以下は、一般的な施設でショートステイをした場合にかかる料金の目安です。 特別養護老人ホームのショートステイ サービス費用の設定要介護区分1日あたりの利用者負担 (1割の場合)併設型・多床室の場合要支援1451円要支援2561円要介護1603円要介護2672円要介護3745円要介護4815円要介護5884円 参考:「どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 介護老人保健施設のショートステイ 1日あたりの利用者負担(1割の場合) 従来型個室※1ユニット型個室※2 従来型※3在宅強化型※4従来型在宅強化型要支援1579円632円624円680円要支援2726円778円789円846円要介護1753円819円836円906円要介護2801円893円883円983円要介護3864円958円948円1,048円要介護4918円1,017円1,003円1,106円要介護5971円1,074円1,056円1,165円 参考:「どんなサービスがあるの? - 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 ただし、上記には日常生活費(食費や滞在費など)が含まれていません。また、サービス費用は、施設の形態や居室の種類、職員の配置などによって異なりますので、詳しく知りたい方は、担当のケアマネジャーに相談してください。 ※1:病院における病室のようなつくりで、1人が1部屋を利用する居室タイプ。※2:少人数のグループ(ユニット)に分かれ、グループごとにリビングなどの共用スペースが設けられ、その周りに個室が配置された居室タイプ。※3:基本型とも言われ、在宅強化型などの特徴がない施設を指す。※4:入居者の在宅復帰率が高い点に特徴がある施設を指す。 ショートステイの利用の流れ ケアマネジャーに相談 担当のケアマネジャーに連絡し、ショートステイの利用希望を伝えます。ケアマネジャーは利用者や家族から事情を聞き、ショートステイを必要とするニーズや期間を十分に把握したうえで、次のステップへ進みます。 施設の選定 次に、ショートステイ先(介護施設)を選びます。施設は、役所から情報を得たり、インターネットを検索したりして自分で探すこともできますが、担当のケアマネジャーに情報収集してもらい、そのなかから評判が良く、自身のニーズに適った施設を選んでもらうと良いでしょう。 空き状況の確認とケアプランの作成 施設を選んだら担当のケアマネジャーが、施設へ利用者の情報(疾患や障害の有無など)を伝えるとともに、空き状況を確認します。利用者の利用日程と、施設の空き状況が合致し、施設の受け入れに問題がなければ、ケアプランのなかにショートステイを組み入れます。 契約と利用開始前の準備 ケアプランを作成し、サービスを利用できる準備が整ったら施設との契約を結びます。その際に、ケアマネジャーからどのような段取りで利用するのか、注意事項などの説明があります。その後、短期入所する日程が近づいたら、施設での生活に必要な物(日用品、お薬など)を準備します。 ショートステイを利用 ケアプランに沿ってショートステイを利用します。利用者は短期入所した日数などに応じて費用を支払いますが、介護保険制度が適用されるため、自己負担は1割で済みます(所得に応じて2〜3割)。先述のとおり、ショートステイは連続して利用できる日数が、原則として30日間と定められていますので、注意が必要です。 ショートステイにおける施設選びのポイント ショートステイ先の施設は、どのような視点で選べば良いのでしょうか。以下、ポイントを紹介します。 サービス内容がニーズに合致しているか(医療的ケアの要否) ショートステイの施設が提供するサービスと、利用者が必要としているニーズが合致するか、あらかじめチェックしましょう。特に医療的ケアを必要とする場合、特別養護老人ホームではなく、介護老人保健施設や介護医療院などを選びます。 施設見学・入居者の様子 ショートステイを利用する前に施設見学を行い、入居者の様子をチェックしましょう。利用者の表情や、施設での過ごし方をチェックし、穏やかに過ごすことができているかを確認すると良いでしょう。 スタッフの対応 施設で働く介護職員、看護師の対応が良いかどうかチェックしましょう。対応品質は職員によって多少異なることはあるものの、対応する際の言葉遣いは適切か、にこやかな表情かどうか、スタッフ間のコミュニケーションが図られているかなど、確認すると良いでしょう。 ショートステイの1日の流れ(1泊2日の場合) 1泊2日でショートステイを利用した場合、次のようなスケジュールとなります。 日程時間内容1 日 目9時~10時施設への送迎、入居10時~バイタル(脈拍、血圧など)のチェック11時~昼食前の口腔(嚥下)体操12時~12時半昼食12時半口腔ケア、服薬13時~休憩14時~趣味の時間、レクリエーションなど15時~おやつ15時半~趣味の時間、レクリエーションなど17時半夕食前の口腔(嚥下)体操18時~18時半夕食18時半~口腔ケア、服薬19時~21時趣味の時間、または自由時間21時~就寝2 日 目6時~起床6時~6時半身だしなみを整える、着替え7時~7時半朝食7時半~口腔ケア、服薬、バイタルチェック9時~入浴11時半~昼食前の口腔(嚥下)体操12時~12時半昼食12時半口腔ケア、服薬13時~レクリエーション、リハビリテーション15時半退去準備16時~退去、送迎 上記は一般的なショートステイのスケジュールです。施設によって時間・内容が異なるため、気になる方は施設の担当者、または担当のケアマネジャーに確認を取りましょう。 よくある質問 ここからは、ショートステイに関するよくある質問を示します。 介護者の休憩のためだけに利用できる? はい、利用が可能です。ショートステイは、家族介護者が休息を得ることを目的として利用することができます。自宅での介護を続けるためには、主な介護者である家族の心身状況を安定させることが重要です。よって、このサービスを積極的に利用して介護者が充分に休憩を取ることを勧めます。 年間の利用日数に制限はある? はい、利用日数に関して次のような制限があります。 要介護認定の有効期間の半数を超えない範囲 例)要介護認定の有効期間が1年の場合、年間の利用日数は182日が上限となる。 なお、利用日数の管理は担当のケアマネジャーが行いますので、心配な方は相談・確認すると良いでしょう。 予約はできる? はい、予約可能です。ただし、週末や祝日、お盆期間中や年末年始休暇は特に利用が多くなるため、必ずしも予約が取れるとは限りません。特定の日程で利用が決まっているのならば、約2~3ヶ月前に予約を取ると良いでしょう。 緊急時も利用できる? 施設によって異なりますが、緊急時も利用できる場合があります。家族が体調を悪くしたり、急な冠婚葬祭への参加をしたりする場合には、担当のケアマネジャーに相談し、緊急的に受け入れてくれる施設があるかどうか探してもらいましょう。 まとめ この記事では、在宅介護を支える重要なサービスであるショートステイについて、サービス内容、対象、費用を解説しました。在宅介護を続けるためには、本人だけでなく、介護者の心身の健康維持が大切です。ショートステイを「いざという時の備え」として利用するのではなく、「無理なく介護を続けるための方法」として捉え、積極的に活用すると良いでしょう。ショートステイに関して不安なことや、施設選びで困ったことがあれば、担当のケアマネジャーに相談しましょう。 参考文献 「短期入所生活介護」厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回) 「短期入所療養介護」厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回) 「どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「どんなサービスがあるの? - 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2026.01.20
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介護ロボットとは?種類や介護保険の活用方法、在宅での導入事例も解説
介護ロボットとは 厚生労働省によると、介護ロボットとはロボット技術を応用し、利用者の自立をサポートしたり介護者の負担を軽減したりする介護機器と定義されています。ロボット技術は以下の3つを指します。 情報を感知する 感知した情報から判断する 判断した結果をもとに動作する 介護ロボットのサイズや形状、役割は製品によって異なります。そのため、自分たちの悩みや課題の解決に役立つ機能を持った介護ロボットを選ぶことが大切です。 出典:介護ロボットとは|厚生労働省 介護ロボットのメリット(導入後の生活の変化) 介護ロボットを導入すると、介護者にも利用者にもメリットがあります。 介護者のメリット 介護者が装着して使用できる介護ロボットは動きをサポートしてくれるため、身体の負担が軽減します。さらに、力が足りない・常に目を離せないなどの不安を介護ロボットで補い、少ない人員でも介護を継続できる環境作りにも役立ちます。例えば、リフトは使わないほうが短時間での移乗介助が可能です。しかし、介護者の身体の負担を軽減するリフトを使用したほうが、長期的に介護を続けていけるでしょう。また、見守りロボットを活用して夜間の巡回数を減らせば、介護者は安心して休めるようになります。 利用者のメリット 介護ロボットには、利用者の動作をサポートする製品があります。歩行や排泄、入浴などが一人でできるようになれば、他人に頼る申し訳なさが軽減されるでしょう。さらに、歩行や排泄動作などを介護ロボットにサポートしてもらうことで転倒や転落のリスクを減らせるため、安心して生活できるようになります。 コミュニケーションを取れるロボットなら、一人暮らしの孤独感の軽減にも役立ちます。 介護ロボットの種類 介護ロボットは以下の9種類があります。 移乗支援 移動支援 排泄支援 見守り・コミュニケーション 入浴支援 介護業務支援 機能訓練支援 食事・栄養管理支援 認知症生活支援・認知症ケア支援 ここからは、在宅介護で導入しやすい5種類の介護ロボットの特徴を解説します。 移乗支援 移乗支援の介護ロボットとは、ベッドや車いす、トイレなどを利用者が安全に乗り移れるようにサポートするものです。介護者が身につける装着型と、利用者を持ち上げて移乗させる介護リフトといった非装着型 があり、どちらを使用しても介護者の腰の負担軽減 に役立ちます。また、介護ロボットを活用すると体格差や介護者の経験年数に関係なく一定の移乗介助ができるため、利用者の身体的な負担や介助を受ける恐怖心も少なくなります。 移動支援 移動支援介護ロボットは、利用者が安全に移動できるようサポートしてくれます。主に以下の3種類があります。 屋外型:屋外での移動や荷物の運搬をサポートする 屋内型:トイレへの往復といった屋内での移動をサポートする 装着型:利用者が身につけることで、歩行や立ち座り、転倒予防をサポートする 排泄支援 排泄支援の介護ロボットは主に3種類あります。1つ目は、排泄物処理のロボットです。排泄物の処理を自動で行ってくれるため、介護者の負担が少なくなります。さらに、排泄物処理を他人に任せる不安や羞恥心が軽減され、利用者が尊厳を保ちながら生活できるメリットもあります。2つ目は、排泄予測のロボットです。排泄のタイミングを予測し、利用者や介護者に知らせてくれます。そのため、トイレの失敗の予防やスムーズなトイレ誘導に役立ちます。3つ目は、動作支援のロボットです。ズボンや下着を脱ぐといった排泄に必要な動作をサポートしてくれるため、利用者が一人でトイレを使える可能性が高まります。利用者の自立した生活を支えるとともに、介護者の排泄介助の負担を減らす役割も果たします。 見守り・コミュニケーション 利用者の様子を見守る介護ロボットは、施設型と在宅型があります。施設型は、同時に複数の利用者の見守りが可能です。カメラやセンサーで利用者の身体の状態や動きを検知し、介護スタッフに知らせてくれます。そのため、スタッフが少なくても効率的に安全を確保でき、利用者一人ひとりに目が届きやすくなります。一方、在宅型は自宅で生活する利用者の様子を見守り、転倒といった問題が起こると家族や介護スタッフに通知を送るロボットです。通知によって離れて住む家族も利用者の様子を確認でき、介護スタッフも緊急時に迅速な対応ができます。コミュニケーション機能を持つ介護ロボットは、会話したり歌ったりと製品によって機能はさまざまです。利用者の孤独感を和らげるだけでなく、ロボットとのやり取りを通じて認知機能を維持する効果も期待できます。 入浴支援 入浴支援の介護ロボットは、利用者が安全に入浴できるようサポートする製品です。例えば、利用者が座ったまま浴槽をまたいだり湯船に浸かったりできる電動リフトや、全身を洗える箱型のシャワー入浴装置などがあります。利用者の身体を持ち上げる必要がないため、介護者の入浴介助の負担も軽減します。 介護ロボットを介護保険で導入する流れ 移乗支援や移動支援、排泄支援、入浴支援などの一部の介護ロボットは、介護保険でレンタルできます。排泄予測機器や排泄物を自動処理するポータブルトイレなどは、介護保険で購入可能です。ここからは、介護保険を活用した介護ロボットのレンタルと購入の流れを解説します。 レンタルの場合 介護ロボットをレンタルする場合、介護保険サービスの福祉用具貸与が利用できます。 介護保険を申請し、要介護認定を受ける ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう レンタル業者を選ぶ 福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、利用者に適した介護ロボットを選定する 業者と契約し、レンタルを開始する 業者による定期的なメンテナンスを受ける ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談することで、自分たちに合った介護ロボットを選びやすくなります。なお、福祉用具貸与でレンタルすると、支払いは自己負担分のみで済みます。そのため、高額な介護ロボットでも経済的な負担を抑えて導入しやすいです。 福祉用具貸与の詳細については、「福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ」をご覧ください。 購入の場合 介護ロボットを購入する場合は、介護保険サービスの特定福祉用具販売が利用可能です。 介護保険を申請し、要介護認定を受ける ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう 購入する業者を決める 福祉用具専門相談員のアドバイスを聞きながら、購入する介護ロボットを選ぶ 購入の際に支払い方法を確認する 市区町村の窓口に介護保険の利用を申請する 所得に応じた給付金が指定口座に振り込まれる 業者への支払い方法には、以下の2種類があります。 償還払い:全額を業者に支払い、のちに介護保険の給付額を受け取る 受領委任払い:自己負担額のみ業者に支払い、のちに介護保険の給付額が業者に振り込まれる 購入時は業者や支払い方法など決めることが多いため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら進めると安心です。 介護ロボットの価格 以下に、在宅介護で導入しやすく、介護保険を活用してレンタルできる介護ロボットの例とその価格をまとめました。なお、自己負担割合は所得によって1〜3割と異なります。 種類名称本体価格(税込)介護保険を活用した月額レンタル価格(1割負担)移乗支援ロボット(非装着型)Hug L1980,000円(非課税)約2,600円移動支援ロボット(屋外型)ロボットアシストウォーカーRT.2147,180円~約750円 入浴支援ロボットバスリフト466,400円約1,580円 ※価格はすべて2025年9月時点のものです。 次に、介護保険を活用して購入できる介護ロボットの例と価格を紹介します。介護保険で購入する際は、同一年度中に購入した金額のうち10万円までは所得に応じて1〜3割負担、10万円を超えた分は全額自己負担となります。 種類名称本体価格(税込)介護保険を活用した購入価格(1割負担)排泄支援ロボット(排泄物処理)ラップポン・オーブ自動ラップ(S)99,880円~9,988円~ ※ 価格はすべて2025年9月時点のものです。 介護ロボット導入の注意点 介護ロボットを導入する際の注意点を3つ解説します。 設置費用や修理費を確認しておく 介護ロボットを導入する際は、設置費用や修理費も事前に確認しておく必要があります。介護ロボットをレンタルする場合は、メンテナンス費用がレンタル価格に含まれているのが一般的です。一方、購入する際は故障時の保証内容によって修理費が異なります。 利用者が嫌がる場合がある 利用者のなかには、ロボットに介助されることに抵抗感があったり、センサーやカメラで常に見られたくないと考えたりする方もいます。なお、利用者のプライバシーを保護するために、シルエット映像に変換する機能を搭載した見守り介護ロボットもあります。介護ロボットがどのような機能を持っているかを伝え、利用者の不安を取り除くようにしましょう。 使用環境を整えておく リフトや歩行器などの大きな介護ロボットを導入する前には、使用環境を整えておく必要があります。あらかじめサイズを調べておき、設置や保管のスペースを確保しておきましょう。また、畳や絨毯の上での使用を推奨していない製品もあるため、使用したい場所の床材を確認しておくことも大切です。重量がある大きな介護ロボットは畳やフローリングを傷つけたりへこませたりする可能性がある点も考慮し、安全に使える環境を整えましょう。 介護ロボットで負担を軽減した事例 ここからは、介護ロボットで負担を軽減した事例を2つ紹介します。 他人に排泄物の処理を任せる負担がなくなった 排泄物を他人に処理されることに嫌悪感があり、不安定な歩行でトイレに行っていたAさんの事例です。トイレの回数を減らすために水分摂取を控えるようになり、家族も心配していました。そこで、ボタンを押すだけで排泄物を自動で処理できるラップポン・オーブを寝室に設置しました。1回ごとに排泄物が密封されるため、寝室でもにおいが気になりません。トイレの不安が軽減され、水分摂取を控えることもなくなりました。 認知症の進行を遅らせることに役立った 認知症の症状が少しみられる一人暮らしのBさんの事例です。家族がBさんに電話しても出ないときもあったため、離れていても見守りとコミュニケーションができる介護ロボットを導入しました。見守りのために導入しましたが、ロボットと対話することで刺激を受け、Bさんの認知症の進行が緩やかになるという嬉しい変化もありました。離れて暮らす家族もロボットを通じてBさんの様子がわかるようになり、安心して過ごせています。 まとめ 介護ロボットは冷たい機械のように感じたり、慣れるまでに手間や時間がかかったりする場合もありますが、介護者と利用者が安心して暮らせるよう支えてくれる存在です。介護保険を活用できる製品もあるため、導入を検討する際はケアマネジャーに相談すると安心です。介護ロボットの力を上手に借りながら、利用者と介護者にとってより安全で心地よい暮らしを実現していきましょう。 参考文献 「介護ロボットとは」厚生労働省 「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました」厚生労働省 「(参考)介護テクノロジー利用の重点分野定義」厚生労働省 「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「特定福祉用具を購入したとき (介護保険福祉用具購入費支給申請)」品川区
2025.12.02
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自宅でリハビリ!訪問リハビリテーションの内容や対象者、介護保険の活用について解説
訪問リハビリテーションとは 訪問リハビリテーションとは、病気や障害があって自宅で療養している方の元へリハビリ分野の専門職が訪問し、心身のリハビリテーション・機能訓練を提供するサービスです。利用者の心身機能の維持・回復を目指し、利用者のQOL(Quality of Life=生活の質、人生の質)の向上を狙いとしています。訪問リハビリテーションには、介護保険制度を使って提供されるものと医療保険制度で提供されるものの2種類がありますが、この記事では、前者の介護保険制度における訪問看護リハビリテーションにスポットを当てて解説します。 訪問リハビリテーションの対象者 訪問リハビリテーションは、次に該当する方を対象としています。 要介護認定で要支援1・2、または要介護1~5と判定された方 自宅に住み、心身機能が低下している方 主治医から訪問リハビリテーションが必要と認められた方 具体的には、次のような方たちです。 下半身の筋力が低下していて、自力での立ち上がりや歩行が難しい 右半身に麻痺があり、お風呂場で身体を洗うことが難しい 膝関節の拘縮があり、自宅トイレでの排泄をすることが難しい 脳梗塞の後遺症で言語障害があり、発語が難しい 飲み込む力が低下し、食事の際にむせ込んでしまう など 医療保険で利用できる場合もある 65歳未満の方や65歳以上で要介護認定を受けていない人は、訪問リハビリテーションを医療保険で利用することができます。併用することはできず、要介護認定を受けている場合、介護保険での利用が優先となります。 また、医療保険での利用の場合、主治医に訪問リハビリテーションの指示書を1ヵ月に1度発行してもらう必要があります。(介護保険の利用では、3ヶ月に1度) 訪問してくれるのは誰? 訪問リハビリテーションでは、医療機関や訪問リハビリテーション提供事業所に所属する専門職が利用者の自宅を訪問し、次のサービスを提供します。 職種内容理学療法士日常生活における基本動作(起き上がる、立つ、歩く、座る、寝返りをうつなど)に関するリハビリテーションを行う。作業療法士日常生活をスムーズに送るための応用的動作(食事、入浴、整容、料理など)に関するリハビリテーションを行う。言語聴覚士話す、聞く、飲み込むなどの言語や嚥下(えんげ、食べ物を飲み込むこと)に関するリハビリテーションを行う。 利用者が利用するリハビリテーションの種類、内容、量によって、上記の専門職のいずれかが訪問しサービスを提供してくれます。 訪問リハビリテーションのサービス内容 訪問リハビリテーションで提供されるサービス内容は次のとおりです。 身体機能の訓練・指導 理学療法士が、身体機能の維持・回復のため訓練・指導を行います。具体的には次のようなリハビリテーションです。 起き上がり、立ち上がり、歩行の訓練 横になっている状態で寝返りを打つ訓練 椅子や床で安定的に座位を保つ訓練 麻痺や関節の拘縮がある部位のマッサージ など 日常生活動作の訓練・指導 作業療法士が、利用者の日常生活動作に関する訓練・指導を行います。具体的には次のようなリハビリテーションです。 お箸やスプーンを使う訓練 浴槽をまたぐ、自分の身体を洗う訓練 身だしなみを整える、服を着替える訓練 簡単な調理を行う訓練 スマートフォンや携帯電話を使う訓練 など 言語機能、口腔機能の訓練・指導 言語聴覚士が、利用者の言語機能や口腔機能に関する訓練・指導を行います。具体的には次のようなリハビリテーションです。 聞く、話す、読む、書く訓練 嚥下機能(食べ物を飲み込む力)の向上に関する訓練 など 生活環境の整備に関する助言 リハビリ分野の専門職が、次のような助言を行います。 福祉用具の使い方、選び方に関する助言 介護保険を使った住宅改修に関する助言 社会的適応能力の回復、社会的活動への参加に関する助言 など 家族に対する支援 訪問リハビリテーションの対象は要介護高齢者本人ですが、家族に対しても様々なサポートが行われます。次のとおりです。 身体的な負担を軽減する介助方法に関する指導、助言 日常生活を送るうえでできるリハビリテーションのやり方、注意点に関する指導、助言 家族の精神的なサポート、介護に関する不安の解消 など 訪問リハビリテーションにかかる費用 介護保険制度を利用する場合、訪問リハビリテーションでは、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。以下は、一般的な訪問リハビリテーションを利用する際にかかる費用です。 要介護区分時間1回あたりの費用 (自己負担額 ※1割の場合)要支援1・220分あたり298円要介護1~520分あたり308円 訪問リハビリテーションのサービスは1回につき20分間で行われ、1日最大3回まで、週6回の利用を限度としています。 参考:「どんなサービスがあるの? - 訪問リハビリテーション」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 訪問リハビリテーションのメリット・デメリット 訪問リハビリテーションは多くのメリットを持つ一方で、利用に際して理解すべきデメリットも存在します。どちらも認識した上で利用を判断することが重要です。 メリット 自宅での生活向上が最大のメリットです。実際に生活する環境でリハビリを行うため、段差への対応、トイレの利用、入浴動作など、日常生活に直結した実践的な訓練ができます。 また、通院の手間が削減されることも利用者と介護者双方にとって大きなメリットです。移動の負担がないため、体力が低下している方でもリハビリが継続しやすくなります。また、家族の送迎負担も軽減され、仕事を続けながら家族の介護をする場合にも適しています。 デメリット 専門的な機器が限られていることがデメリットの一つです。医療機関や通所施設では多くのリハビリ機器が揃っていますが、自宅ではそのような環境を整えることは難しく、より創意工夫を必要とします。 他の利用者との交流がない点も、社会性の維持という観点ではデメリットと言えます。通所サービスと異なり、他の高齢者との関わりがないため、その他の介護サービスを利用して他者との交流機会を持つことも必要です。 訪問リハビリテーションの利用の流れ 主治医に相談 利用者または家族が、主治医(かかりつけ医)に対して、訪問リハビリテーションを利用したい旨を相談します。その際、訪問リハビリテーションを利用する理由や、どのような点で訓練を必要としているのか伝えると良いです。主治医が「訪問リハビリテーションの利用が適切である」と認めた場合、次のステップへ進みます。 ケアマネジャーに相談・ケアプランの作成 担当のケアマネジャーに連絡し、訪問リハビリテーションの利用希望を伝えます。ケアマネジャーは主治医や利用者から事情を聞き、訪問リハビリテーションを必要とするニーズを十分に把握したうえで、ケアプランのなかにサービスを組み入れます。 訪問リハビリテーション事業者の選定・契約 訪問リハビリテーションを提供する事業所を選び、その事業所と契約を交わします。事業所は、役所から情報を得たり、インターネットを検索したりして自分で探すこともできますが、担当のケアマネジャーに情報収集してもらい、そのなかから評判の良い事業所を選んでもらうのが効率が良いです。依頼を受けた訪問リハビリテーション提供事業所は、主治医から「訪問リハビリテーションの指示書」を受け取り、ケアプランに沿った訪問リハビリテーション実施計画書を作成します。その後、サービスが提供できる準備を整えたうえで契約を結びます。 訪問リハビリテーションを利用 ケアプランに沿って、訪問リハビリテーションが提供されます。利用者はサービスの回数や訪問時間に応じて費用を支払いますが、介護保険制度が適用されるため、自己負担は1割で済みます(所得に応じて2~3割)。 訪問看護や通所リハビリテーションとの違い 訪問リハビリテーションとよく似たサービスに「訪問看護」や「通所リハビリテーション」があります。それぞれの違いを表で説明します。 訪問リハビリテーションと訪問看護の違い 介護保険制度における 訪問リハビリテーション介護保険制度における 訪問看護特徴疾患や障害に応じて心身のリハビリテーション、機能訓練が行われる。医師の指示に基づき、医療行為が行われる。サービスには家事援助が含まれない。目的訓練による心身機能の維持・回復のため健康状態や経過を観察し、その悪化を防止するためサービスの 提供主体訪問リハビリテーション提供事業所訪問看護ステーション、医療機関など対応する 専門職・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 など・看護師・准看護師 など対象者要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方で、自宅で生活し、主治医から訪問リハビリテーションが必要と診断された方要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方で、自宅で生活し、主治医から訪問看護が必要と診断された方サービスの 内容・身体機能の訓練・指導・日常生活動作の訓練・指導・言語機能、口腔機能の訓練・指導・生活環境の整備に関する助言・家族に対する支援 など・医療処置・管理・リハビリテーション(後述)・健康状態の観察・服薬管理・身体的介助 ・ターミナルケア家族に対する支援 など 訪問リハビリテーションと訪問看護は、専門職が自宅を訪問してサービスを提供する点で共通していますが、提供されるサービスの内容に違いがあります 。訪問リハビリテーションは、理学療法士などのリハビリ分野の専門職が、心身機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションや機能訓練を行います 。一方、訪問看護は、看護師などが医師の指示に基づき、健康状態の観察や悪化防止を目的とした医療行為や処置を提供します 。訪問看護でもリハビリテーションは提供されますが、これは看護の一環として行われるもので、医療的ケアも必要な方を対象としており、看護師がリハビリテーションを行う場合もあります。一方、訪問リハビリテーションではリハビリや訓練そのものを目的としています 。どちらのサービスが自身の希望に合うかどうか分からない場合は、担当のケアマネジャーに確認すると良いでしょう。 訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションの違い 介護保険制度における 訪問リハビリテーション通所リハビリテーション (デイケア)特徴自宅で心身のリハビリテーション、機能訓練が受けられる。リハビリテーション施設へ通い、日帰りで心身機能の維持や回復、一部の介護を受ける目的訓練による心身機能の維持・回復のため同左サービスの 提供主体訪問リハビリテーション提供事業所病院や診療所に併設される通所リハビリテーションセンター対応する 専門職・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 など同左対象者要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方で、自宅で生活し、主治医から訪問リハビリテーションが必要と診断された方要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方 訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションは、ともに心身機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションサービスですが、提供される場所やリハビリテーションの内容に多少の違いがあります。自宅でサービスを受けるのが訪問リハビリテーションであり、事業所に通ってサービスを受けるのが通所リハビリテーションとなります。提供されるリハビリテーションのメニューにも若干の違いがあります。なぜなら、通所リハビリテーションの方が事業所に複数のスタッフがおり、設備(筋力トレーニングのマシン、歩行訓練台、スロープなど)も充実しているため、より専門的なリハビリテーションを受けられるからです。また、訪問リハビリテーションでは、食事の提供、医療的ケアなどのサービスが提供されないなどの点に違いがあります。通所リハビリテーションについて詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。 訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションの併用も可能 下記の条件を満たす場合、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーション両方の利用が可能です。 ・通所リハビリテーションだけでは、日常生活の自立が難しく、自宅の環境に特化したリハビリテーションが必要な場合 ・ケアマネージャーが併用が必要と判断した場合 通所リハビリテーションで複数の機器を使った本格的なトレーニングを行い、訪問リハビリテーションで自宅での実践的な動作改善に取り組むことで、より効果的なリハビリが実現します。 通所リハビリテーション(デイケア)とは?特徴や費用、サービス内容を解説 まとめ この記事では、在宅での療養生活を支える訪問リハビリテーションについて、サービス内容から費用、利用の流れまでを詳しく解説しました。訪問リハビリテーションの最大の目的は、心身機能の維持・回復を通じて、利用者が住み慣れた家で「自分らしい生活」を継続できるようサポートすることです。サービスの利用で困ったことがあれば、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。 参考文献 「訪問リハビリテーション」社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回)厚生労働省 「どんなサービスがあるの? - 訪問リハビリテーション」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.11.27
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訪問看護でできることとできないこと|利用対象者や費用についても解説
訪問看護とは 訪問看護とは、病気や障害があり自宅で療養・生活している方の家を看護師が訪問し、必要な医療的ケア、看護、それに関わる処置が提供されるサービスです。健康状態の悪化防止や回復を目指し、利用者のQOL(Quality of Life=生活の質、人生の質)の向上を狙いとしています。訪問看護には、介護保険制度を使って提供されるものと医療保険制度で提供されるものの2種類がありますが、この記事では、前者の介護保険制度における訪問看護サービスにスポットを当てて解説します。 訪問看護の対象者(介護保険制度を利用の場合) 訪問看護サービスは次に該当する方を対象としています。 要介護認定で要支援1・2、または要介護1~5と判定された方 自宅に住み病気や障害によって医療的な処置を必要とする方 主治医から訪問看護が必要と認められた方 ただし、介護保険制度を利用できない方は、医療保険制度、または自費で利用することもできます。この場合、要介護認定の有無は問われません。 訪問看護でできること 訪問看護で提供されるサービス内容は次のとおりです。 医療処置・管理 主治医の指示に基づき、看護師が利用者に対して行う医療処置・管理に関するサービスが提供されます。具体的には次のような医療が提供されます。 点滴 注射 リハビリテーション 痛みの軽減 服薬の管理 医療機器(例:在宅酸素機器、カテーテル)の管理 など 健康状態の観察・管理 利用者の健康状態を観察し、療養経過を管理します。また、必要に応じて主治医やケアマネジャーなどの専門職に報告します。具体的には次のような内容です。 バイタルのチェック(血圧、心拍数、脈拍数などの確認) 患者の健康状態(顔色、皮膚、認知状態など)の観察 床ずれの予防、手当 病状悪化の防止・回復 など 療養上の世話・支援 利用者に対する介助や療養上必要とする身の回りの世話や、その他の支援が行われます。 食事や排泄などの介助 身体の清拭 療養生活、健康に関する相談・助言 日常生活動作に関する相談、助言 など ターミナルケア(終末期のケア) 訪問看護では、自宅で最期を迎えようとする方に対してターミナルケアが提供されます。ターミナルケアとは、終末期に提供される医療のことで、病気などが原因で余命がわずかになった方に対する医療・看護的・介護的ケアを指します。具体的には次のような内容です。 終末期にある利用者の食事の介助、オムツの交換 苦痛の緩和とそれに伴う看護 死に対する不安や恐怖の緩和 看取りに伴う看護 など 家族に対する支援 利用者の家族に対して、次のような助言・支援が行われます。 日常的な介護方法に関する相談、助言 認知症ケアに関する相談、助言 看取りを行っている家族への心理的支援 など 訪問看護でできないこと 訪問看護は様々なサービスを受けられるものの、あくまで医療・看護専門のサービスであり、すべてのニーズに対応できるわけではありません。利用者が困惑しやすい、主なできないことについて説明します。 自宅以外での看護 訪問看護は「訪問」を前提としたサービスのため、自宅以外での看護には対応できません。病院や診療所、デイサービスなどの施設での看護は含まれていません。 これは、訪問看護が、自宅での療養生活の支援を前提とした制度であるためです 通院の付き添い 自宅での看護を目的としたサービスのため、訪問看護ステーションのスタッフによる通院の付き添いは、基本的には対応外です。通院が必要な場合は、家族や介護サービス(訪問介護の通院介助や介護タクシーなど)の手配が必要です。 家事全般 訪問看護の対象は医学的ケアに限定されるため、食事の調理、洗濯、掃除などの家事全般には対応できません。これらのサービスが必要な場合は、訪問介護を別途利用する必要があります。ただし、本人の栄養管理に関する指導など、医学的側面からの相談には応じることができます。 医師の指示書がない医療 訪問看護は医師の指示に基づいて実施されるサービスです。医師の指示がない医療行為や薬の変更などには対応できません。利用者側の希望だけでは実現できず、必ず主治医の判断と指示が前提となります。したがって、新たな医療処置が必要になった場合は、まず医師に相談する必要があります。 訪問してくれるのは誰? 訪問看護では、訪問看護ステーションなどの医療機関に所属する下記専門職が利用者の自宅を訪問し、次のサービスを提供します。 職種内容看護師利用者に対する医療的処置・管理、健康観察と管理、療養上の世話、ターミナルケアを行うとともに、家族に対する支援などを行う。理学療法士日常生活における基本動作(起き上がる、立つ、歩く、座る、寝返りをうつなど)に関するリハビリテーションを行う。作業療法士日常生活をスムーズに送るための応用的動作(食事、入浴、整容、料理など)に関するリハビリテーションを行う。 利用者が必要とする医療の種類、内容、量によって、上記の専門職のいずれかが訪問しサービスを提供してくれます。 訪問看護にかかる費用 介護保険制度を利用する場合、訪問看護サービスでは、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。以下は、一般的な訪問看護ステーションが提供するサービスを利用する際にかかる費用です。 専門職サービス時間1回あたりの費用 (自己負担額 ※1割の場合)看護師による訪問20分未満314円30分未満471円30分以上1時間未満823円1時間以上1時間30分未満1,128円理学療法士・ 作業療法士による訪問の場合20分以上294円 出典:「どんなサービスがあるの? - 訪問看護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 訪問看護の利用の流れ 次の流れに沿って、訪問看護サービスを利用します。 主治医に相談 利用者または家族が、主治医(かかりつけ医)に対して、訪問看護サービスを利用したい旨を相談します。その際、訪問看護を利用する理由や、どのような点で医療を必要としているのか伝えると良いです。主治医が「訪問看護の利用が適切である」と認めた場合、次のステップへ進みます。 ケアマネジャーに相談・ケアプランの作成 担当のケアマネジャーに連絡し、訪問看護の利用希望を伝えます。ケアマネジャーは主治医や利用者から事情を聞き、医療的なニーズを十分に把握したうえで、ケアプランのなかに訪問看護サービスを組み入れます。 訪問看護ステーションの選定・契約 訪問看護ステーションを選び、その事業所と契約を交わします。訪問看護ステーションは、インターネットなどで情報収集して自分で探すこともできますが、担当のケアマネジャーに情報収集してもらい、そのなかから評判の良い事業所を選んでもらうのも一つの方法です。依頼を受けた訪問看護ステーションは、主治医から「訪問看護指示書」を受け取り、ケアプランに沿った訪問看護計画を作成し、サービスが提供できる準備を整えたうえで契約を結びます。 訪問看護を利用 ケアプランに沿って、訪問看護サービスが提供されます。1回の訪問時間は20分、30分、1時間、1時間半の4区分があり、利用者が必要とする医療の種類、量などによって利用する時間や頻度が異なります。利用者はサービスの利用回数や訪問時間に応じて費用を支払いますが、介護保険制度が適用されるため、自己負担は1割で済みます(所得に応じて2~3割)。 訪問介護との違い 訪問看護とよく似たサービスに「訪問介護」があります。それぞれの違いを表で説明します。 介護保険制度における 訪問看護訪問介護特徴医師の指示に基づき、医療行為が行われる。サービスには家事援助が含まれない。日常生活上の身体介助、家事援助などが提供される。サービスには医療行為は含まれない。目的利用者の健康状態の悪化を防止、心身機能の回復のため利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送るためサービスの 提供主体訪問看護ステーション、医療機関など訪問介護サービス提供事業所対応する 専門職・看護師・理学療法士・作業療法士 など・ホームヘルパー・介護福祉士 など対象者要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方で、自宅で生活し、主治医から訪問看護が必要と診断された方要介護認定で要介護1~5と判定された方で、自宅で生活する方サービスの内容・医療処置・管理・リハビリテーション・健康状態の観察・服薬管理・身体的介助・ターミナルケア家族に対する支援 など・食事、入浴、排泄の介助・掃除、洗濯、調理などの生活援助・通院時の外出支援 など 訪問看護と訪問介護は、専門職が自宅を訪問してサービスを提供してくれる点では共通していますが、それぞれのサービスは目的や特徴が異なります。端的に言えば、両者の違いは医療ケアができるかどうかです。どちらが自身の希望に合うかどうか分からない場合は、担当のケアマネジャーに確認すると良いでしょう。なお、訪問介護に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 自宅で安心して介護を受けるには?訪問介護のサービス内容と料金・選び方を解説 よくある質問 ここからは訪問看護に関するよくある質問と、その回答を紹介します。 医療保険と併用できるか 介護保険と医療保険を併用することはできません。要介護認定を受けていて、主治医が訪問看護が必要と認めた場合は、医療保険よりも介護保険が優先的に適用され、訪問看護サービスが提供されます。ただし、要介護認定を受けていたとしても重篤な疾患を抱えていたり、難病を患っていたりする場合で、主治医が医療保険制度での利用が適当と判断した場合は、医療保険制度が適用されます。該当する場合は担当のケアマネジャーに確認しましょう。 訪問してくれる地域・範囲は決まっているのか おおむね決まっています。訪問看護ステーションが設置されている地域、またその周辺の地域が、訪問範囲とされているのが一般的です。なぜなら、サービス内容の性質上、利用者が急変した場合に看護師が駆けつけ十分に対応できるようにするためです。ただし、訪問看護ステーションによっては、訪問範囲について柔軟に対応できるよう、相談に応じています。詳しくはお近くの訪問看護ステーションや、担当のケアマネジャーに相談してください。 夜間や休日も訪問してくれるのか ケースによりますが、可能です。訪問看護ステーションによっては、24時間体制を取っている事業所があります。この場合、緊急の場合に電話で相談できるだけでなく、利用者の状況によっては、夜間でも看護師などの専門職が駆けつけてくれます。気になる方は、利用する訪問看護ステーションや担当のケアマネジャーに相談しましょう。 訪問回数に制限はあるのか 介護保険を利用する場合、訪問回数に制限は設けられていません。実際はケアプランに沿って適切な回数の訪問看護サービスが提供されるため、必要に応じて訪問回数をコントロールすることが可能です。ただし、要介護度に応じて受けられるサービスの量(支給限度額)が決まっているため、それを超えた場合、超過分は介護保険が適用されず、利用者が全額自己負担しなければなりません。なお、医療保険を使って訪問看護を利用する場合は、通常、週に3回までで、1回の訪問時間は30分~1時間半です。ただし、患者の抱える疾患やその状態、家族の希望に沿って訪問回数と時間を多少調整することが可能です。 まとめ この記事では、介護保険制度における訪問看護について、そのサービス内容や費用、そして利用までの流れを解説しました。訪問看護は、単に医療処置を行うだけのサービスではありません。看護師や専門職が自宅を訪問することで、病状の悪化を防ぎ、日々の健康管理をサポートしてくれます。便利にサービスを活用することで、本人が住み慣れた家で安心して暮らすことができます。自宅での医療や介護に不安を感じたら、まずはケアマネジャーに相談し、訪問看護をはじめとした介護保険サービスの利用を検討してみてください。 参考文献 「訪問看護とは(一般の方向け)」 公益財団法人日本訪問看護財団 「訪問看護」厚生労働省老健局 社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回) 「どんなサービスがあるの? - 訪問看護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.11.14
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介護ベッドの選び方とは?必要な理由や介護保険の活用方法、補助金も解説
介護ベッドとは 介護ベッドとは、特殊寝台とも呼ばれる福祉用具です。電動で背もたれや膝部分の角度を変えられたり、ベッド自体の高さを調整したりする機能があります。また、サイドレール(柵のような形状をした手すり)が取り付けられる点も一般的なベッドとの違いです。 一般的なベッドではなく介護ベッドが必要な理由 介護ベッドが必要な理由を、利用者側と介護者側の視点でそれぞれ解説します。 利用者側の理由 これまで使用していたベッドや敷布団は高さが固定されており、身体に合わせて調整できません。そのため、加齢により足腰の筋力が低下している方や関節が動きにくくなっている方は、立ちあがりにくかったり座るときにバランスを崩したりするリスクがあります。一方、介護ベッドは身体に合わせて高さを自由に調整できるため、立ち座りがしやすくなります。また、一般的なベッドや敷布団はつかまるものがなく、起きあがりや寝返りがしにくいです。介護ベッドはサイドレールが取り付けられるため、自力で起き上がりや寝返りがしやすくなります。介護ベッドを使用すれば自立した生活を続けやすくなり、介護者に頻繁に頼る申し訳なさも少なくなるでしょう。なお、介護ベッドの背上げや膝上げの機能を活用すると、ベッドで長時間過ごす方も姿勢を変えやすくなります。姿勢を変えることで血流がよくなり、床ずれや関節が動きにくくなるリスクを減らせるメリットもあります。特に、床ずれは一度発症すると治療に時間がかかるため、事前の予防が重要です。 介護者側の理由 一般的なベッドで介助すると、介護者には以下の負担がかかります。 ベッドの高さが合わず中腰での介助が多くなり、背中や腰を痛めやすくなる 車いすや食事などを用意している間に利用者が姿勢を崩さないよう気を配る必要がある 高さを調整できる介護ベッドを使えば、無理な体勢で介助せずにすみます。さらに、利用者の姿勢が安定するため転倒や転落の不安が減り、目の前の介助に集中できるでしょう。 介護ベッドの3つの機能 介護ベッドに搭載されている3つの主な機能を解説します。 背上げ機能 背上げ機能とは、背もたれを好きな高さまで上げられる機能です。背上げ機能を活用すると利用者は自力で起きあがりやすくなり、介護者の負担軽減にも役立ちます。また、背上げ機能を使うと利用者はいすに座っているような姿勢となるため、ベッド上での食事やテレビを見るなどの動作もしやすくなります。 膝上げ機能 膝上げ機能とは、利用者の膝部分を持ち上げる機能です。膝部分を持ち上げることで、背もたれを上げるときに利用者の上半身が足側へずれるのを防げます。さらに、利用者が横になっているときに膝上げ機能を使って姿勢を変えると血流がよくなり、むくみを防ぐ効果も期待できます。 高さ調整機能 高さ調整機能は、ベッド自体の高さを調整する機能です。利用者が立ち上がりやすい高さや、介護者が介助しやすい高さなどに自由に調整できます。就寝時はベッドを低くしておくと、万が一転落してもけがをする可能性を減らせるため安心です。 介護ベッドの種類 介護ベッドは、モーター数に応じて種類が異なります。種類ごとの特徴は以下のとおりです。 種類特徴おすすめの人1モーターベッド・背上げ機能、背上げと膝上げが連動する機能、高さ調整機能のうち、どれか1つを搭載・起きあがりや立ち上がりに不安がある人2モーターベッド・背上げ機能と高さ調整機能、または背上げと膝上げが連動する機能と高さ調整機能を搭載した2つのタイプがある ・どちらのタイプも高さ調整機能は個別に操作可能・自力での起きあがりや立ち上がりが難しく介助が必要な人3モーターベッド・3つの機能をすべて搭載 ・別々に操作可能・ベッドで長時間過ごす人 ・多くの介助が必要な人4モーターベッド・3つの機能とマットレスを左右に傾ける寝返り補助機能を搭載 ・別々に操作可能・ベッドで長時間過ごす人 ・多くの介助が必要な人 ・身体の状態に合わせて細かく調整したい人1+1モーターベッド・背上げ機能と膝上げ機能を搭載 ・別々に操作可能・高さ調整機能が不要な人 介護ベッドを選ぶ際に確認する4つのポイント 介護ベッドを選ぶ際に確認するポイントは、機能や種類以外にも4つあります。 介護ベッドの安全性 介護ベッドは身体機能が低下している方が使うため、安全性の高い製品を選びましょう。安全性を確認する方法の一つが、JIS規格(日本産業規格)の表示があるかどうかです。JIS規格とは、日本の製品やサービスの品質や安全性を全国で統一するために国が定めた基準です。製品と製造工場の両方が審査基準を満たすと、JIS規格の認証が受けられます。なお、JIS規格の認証を受けている介護ベッドでも、使い方を誤ると事故につながるリスクがあります。取扱説明書を確認し、正しい方法で使用しましょう。 介護ベッドのサイズ 介護ベッドの長さは、主に以下の3種類にわけられます。 名称介護ベッドの長さ目安となる利用者の身長ミニ約180㎝150㎝未満レギュラー約190㎝150~175㎝ロング約205㎝176㎝以上 また、介護ベッドの幅も主に以下の3種類があります。 介護ベッドの幅おすすめの人83㎝・細身の人 ・自力での寝返りができず、介助が必要な人91㎝・自力で寝返りができる人100㎝・大柄な人 ・自力で寝返りができる人 なお、上記は目安であり、介護ベッドの長さや幅はメーカーによって若干異なります。一般的なシングルベッドの幅は約100㎝ のため、介護ベッドは一般的なベッドよりも幅が狭く設計されています。ベッドの幅が狭いメリットは以下の2つです。 利用者と介助者の距離が近くなり、介助しやすい 狭い部屋でも介護者の動線を確保しながらベッドを設置できる ベッドでリラックスして過ごすことを大切にしたい方は、幅が広めのベッドを選ぶとよいでしょう。 必要な付属品 介護ベッドを安全に使用できるよう、手すりやテーブルなどの付属品が必要か検討しましょう。付属品の種類は豊富なので、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの専門家と相談しながら利用者に合うものを選ぶのがおすすめです。なお、サイドレールは介護ベッドから利用者が転落するのを防げるため、設置しておくと安心です。ただし、サイドレールは介護ベッドに差し込まれているだけであり、しっかりと固定されていません。手すりが必要な場合は、介護ベッドにしっかり固定できる介助バーを選ぶとよいでしょう。 マットレスの種類 介護ベッドのマットレスは製品によって特徴が異なります。例えば、低反発ウレタンマットレスは適度に身体が沈み込むため、寝心地を重視したい方におすすめです。一方、高反発ウレタンマットレスは身体が沈み込みにくく、寝返りや立ち上がりなどがしやすいです。横になっている時間が長い方が使用する場合は、床ずれを予防するために体圧分散性能が高いマットレスを選びましょう。さらに、快適に使えるマットレスを選ぶために、撥水加工や抗菌加工、通気性、お手入れ方法なども確認しておくのがおすすめです。 介護保険で介護ベッドをレンタルできる条件 介護保険で介護ベッドをレンタルできるのは、原則要介護2以上の認定を受けている方です。ただし、要支援や要介護1の方も以下のいずれかの条件に該当すれば、例外的に介護保険を利用できます。 日常的に起きあがりが困難な者 日常的に寝返りが困難な者 また、医師の所見や利用者・家族・専門職が参加するサービス担当者会議の結果を踏まえて市町村が必要と判断した場合も、例外的に介護保険でレンタルできます。条件に当てはまるか判断するのは難しいため、まずはケアマネジャーに相談しましょう。なお、介護ベッドを購入する際は介護保険サービスが適用されないため、全額自己負担となります。介護保険を利用したレンタルの流れや料金などの詳細は「福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ」をご覧ください。 出典:要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について 厚生労働省 介護ベッド導入時に活用できる補助金制度 介護ベッドを導入する際に利用できる補助金制度は、介護保険以外にも3つあります。 自治体独自の補助制度 自治体によっては、介護保険でレンタルできる条件を満たしていない方でも無料または通常より安価で介護ベッドを借りられる独自の制度があります。なお、対象者や貸し出し期間、使用料などは自治体によって異なります。詳細を知りたい場合は、役所に問い合わせてみましょう。 民間の介護保険 民間の介護保険には、介護が必要になった際に一時金を受け取れる保険があります。一時金は用途が決まっていないため、介護ベッド導入の費用に充てられます。民間の介護保険に加入している場合は、保障内容を確認してみましょう。 日常生活用具給付 日常生活用具給付とは、障がい者が自立した日常生活を送るために必要な用具の購入やレンタルを公費で助成する制度です。対象となる用具には介護ベッドも含まれています。申請の流れや給付の上限額などは市町村によって異なるため、役所に確認しましょう。 なお、介護保険の対象者が介護ベッドを導入する場合は、日常生活用具給付よりも介護保険サービスが優先されます。 介護ベッドを使用する際の注意点 介護ベッドを安全に使用するための注意点を3つ解説します。 利用者が挟まりそうな隙間をなくす マットレスとサイドレールの間に隙間があると、利用者の手足が挟まってしまうことがあります。介護者が気付かずに背上げや膝上げをしてしまうと、事故につながる危険性があります。隙間をなくすために、マットレスとサイドレールの間をクッションやタオルなどで埋めましょう。なお、2009年のJIS規格改正前のサイドレールは、サイドレール自体の隙間やサイドレール同士の隙間に利用者の手足や頭などが挟まる可能性があります。そのため、JIS規格改正後のサイドレールを選ぶようにしましょう。 手元スイッチの置き場所を決めておく 手元スイッチ(リモコン)の置き場所を決めておかないと、思わぬ誤操作が起こる可能性があります。認知症の方が誤って背もたれやベッドの高さを調整してしまうと、介護ベッドから転落してしまうかもしれません。また、介助後に手元スイッチをベッド上に置きっぱなしにしてしまうと、利用者の身体が当たり介護ベッドが動くこともあります。介護者が複数人いる場合は、手元スイッチの置き場所を共有しておきましょう。利用者が手元スイッチを誤操作してしまう可能性があるなら、利用者の手が届かない場所や見えない場所で保管するのがおすすめです。 背もたれを上げる際は腰の位置に注意する 背もたれを上げる際は、ベッドが動く部分と利用者の腰の位置が合うようにしましょう。腰の位置が合っていないと利用者の姿勢が不自然になり、負担がかかります。膝上げ機能を使ってから背もたれを上げると、腰の位置がずれにくいです。腰の位置を合わせると利用者の膝と膝上げ部分の位置が合わなくなる場合は、枕やクッションを利用者の足とベッドの間に挟んで調整するようにしましょう。 まとめ 介護ベッドには角度や高さを調整する機能があり、一般的なベッドで介助するときの不便さや負担を軽減できるベッドです。介護ベッドを導入する際は、機能や安全性、介護保険が活用できるかなど確認するポイントがたくさんあります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの専門家に相談しながら、利用者と家族が安心して使える介護ベッドを探しましょう。 参考文献 介護保険における福祉用具の選定の判断基準改訂案」 厚生労働省 どんなサービスがあるの?‐福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」 厚生労働省 車いす・介護用ベッドの貸し出し(短期)」 練馬区 日常生活用具給付等事業の概要」 厚生労働省 JIS T9254:2009」 厚生労働省 医療・介護ベッド安全点検チェック表」 厚生労働省
2025.11.11
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車いすは介護保険でレンタルできる?レンタル方法や選び方について解説
「使いやすい車いすはどれ?」 「介護保険を利用して車いすをレンタルできる?」 家族のために車いすが必要になったけれど、選び方や使い方がわからず困っている方もいるでしょう。 この記事では、車いすの種類や選び方、介護保険を使ったレンタル方法、介助の際の注意点などを解説します。 介護保険を利用して車いすをレンタルするメリット 車いすは購入・レンタルどちらも可能ですが、介護の場合はレンタルして使う人の方が多い傾向にあります。それはなぜなのか、ここでは車いすをレンタルするメリットを紹介します。 費用を抑えることができる 介護保険を利用すれば、車いすのレンタル費用を大幅に抑えることができます。介護保険の福祉用具貸与サービスでは、レンタル料金の1割から3割の自己負担で車いすを借りることが可能です。 車いすを購入する場合、一般的なもので数万円、高機能なものだと20万円以上かかることもあります。しかし、レンタルなら月額数百円から数千円程度の負担で利用できるため、経済的な負担を大きく軽減できます。(詳細は後述) また、レンタル料金には定期的なメンテナンス費用も含まれています。(基本的なメンテナンスは無料ですが、各種パーツ代やメンテナンス内容によっては有償になることがあります。) 専門家に相談できる 介護保険で車いすをレンタルする際は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員といった専門家のサポートを受けられます。これは介護初心者の方にとって非常に心強いメリットです。 ケアマネジャーは利用者の身体状況や生活環境を総合的に判断し、最適な福祉用具の選定をサポートします。また、福祉用具専門相談員は車いすの種類や機能について詳しく説明し、実際の使い方や安全な操作方法も指導してくれます。 車いすには標準型、リクライニング型、電動型など様々な種類があり、初めての方が自分で選ぶのは困難です。専門家のアドバイスを受けることで、利用者の身体状況や使用目的に最も適した車いすを選ぶことができ、安全で快適な介護生活を実現できます。 身体状態の変化に応じて商品を変えられる レンタルの大きな利点は、利用者の身体状態の変化に応じて柔軟に車いすを交換できることです。介護が必要な方の身体状況は時間とともに変化することが多く、その都度適切な福祉用具に変更する必要があります。 例えば、当初は自走式の標準型車いすで問題なくても、身体機能の低下により介助式やリクライニング型が必要になることがあります。購入した場合は買い替えに再び高額な費用がかかりますが、レンタルなら比較的簡単に交換できます。 介護保険を利用して車いすをレンタルする条件 介護保険を利用して車いすをレンタルできるのは、原則要介護2以上の認定を受けている方です。ただし、要支援や要介護1の方でも、以下のいずれかに当てはまる場合は介護保険によるレンタルが例外的に認められます。 日常的に歩行が困難な者 日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者 また、医師の所見やサービス担当者会議(利用者・家族・専門職が参加する話し合い)の結果をもとに市町村が必要と認めた場合も、介護保険を利用してレンタルできます。 出典:要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について 厚生労働省 介護保険を利用して車いすをレンタルする場合の料金 車いすのレンタルは、介護保険の福祉用具貸与のサービスを利用できます。原則1割の自己負担額で借りられますが、利用者の所得によっては2〜3割となることもあります。 以下は、介護保険適用外と適用時の月額レンタル料金(1割負担)の目安です。 車いすの種類介護保険適用外の料金介護保険適用時の料金自走式車いす約3,000~8,000円約300~800円リクライニング・ティルト車いす(一体型)約8,000~16,000円約800~1,600円電動車いす(標準型)約26,000~30,000円約2,600~3,000円 なお、車いすのレンタルは費用面だけでなく、定期的なメンテナンスや身体の状態に合わせた借り換えなどのメリットもあります。 購入する場合の料金 車いすはレンタルだけでなく、購入することも可能です。 車いすを購入すると傷や汚れを気にせず使用できますが、介護保険を利用できないため全額自己負担となります。以下は、購入時の値段の目安です。 車いすの種類値段自走式車いす約17,000~31,000円リクライニング・ティルト車いす(一体型)約85,000~170,000円電動車いす(標準型)約200,000~500,000円 車いすを購入するためにはまとまった費用が必要ですが、長期的に使用するならレンタルより安く済むこともあります。利用頻度やレンタル期間を踏まえて、どちらが安くなるか検討しましょう。 介護保険を利用して車いすをレンタルするまでの流れ 介護保険の福祉用具貸与を利用して車いすをレンタルする流れは、以下のとおりです。 1.介護保険を申請し、要介護認定を受ける 2.ケアマネージャーにケアプランを作成してもらう 3.レンタルする業者を選ぶ 4.レンタルする車いすを決め、契約する 5.レンタルを開始する 介護保険の申請や車いすの選定は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員(福祉用具の選び方や使い方などをアドバイスしてくれる専門職)などがサポートしてくれます。利用者や家族だけで悩まずに専門家へ相談することで、スムーズに車いすをレンタルできるでしょう。 福祉用具貸与の詳細については、「福祉用具貸与で安心介護!レンタルできる福祉用具の種目と利用の流れ」をご覧ください。 介護で使用する車いすの種類 介護で使用する車いすは主に5種類あります。それぞれの特徴を解説します。 自走式車いす 自走式車いすとは、利用者自身が操作して動かせる車いすです。後輪が大きいため安定感があり、小さな段差があっても進みやすいです。 一般的には、後輪の外側についているハンドリム(手でタイヤを回すための輪)を使って車いすを操作します。また、利用者が足で地面を蹴って動かす場合もあります。 なお、自走式車いすにも背もたれの上部に手押しハンドルがあるため、介助者が後ろから押すことも可能です。 介助式車いす 介助式車いすは、利用者ではなく介助者が押して動かす車いすです。後輪が自走式車いすよりも小さく、タイヤを操作するためのハンドリムもついていません。 後輪が小さいぶん狭い場所で使用しても小回りが利き、折りたたむとコンパクトになるため収納もしやすいです。さらに、比較的軽いものが多く、持ち運びやすい点も介助式車いすの特徴です。 モジュール車いす モジュール車いすとは、利用者に合わせて各パーツを調整できる車いすです。調整できるパーツは、車いすによって異なります。 以下は、調整できる主なパーツの例です。 座面の幅や高さ アームサポート(肘掛け)の高さ フットサポート(足置き)の高さ 背もたれの高さや角度 利用者の身体の状態が変化しても再調整できる点が、モジュール車いすのメリットです。さまざまな利用者に合わせられるため、介護施設でもよく使われています。 リクライニング・ティルト車いす リクライニング・ティルト車いすは、標準的な形の車いすでは座位を保つのが難しい方でも利用しやすい車いすです。 リクライニング車いすは、背もたれを倒して角度を変えられます。お尻にかかる体圧を背中や太ももへ分散でき、利用者も疲れにくいです。ただし、お尻が前へ滑りやすいという注意点があります。 一方、ティルト車いすは座面と背もたれの角度を保ったまま後ろへ傾けられるため、お尻が前に滑りにくいです。リクライニング車いすと同様に、お尻にかかる体圧の分散効果もあります。 なお、リクライニングとティルトの両機能があり、利用者に合わせて座面や背もたれの角度を調整できる車いすもあります。 電動車いす 電動車いすとは、電動モーターで動く車いすを指します。利用者の負担が少なく、自力で車いすをこぐのが難しい方でも使いやすいです。 電動車いすには標準的な形の車いすに電動モーターが搭載されている標準型や、スクーターのような形状をしているハンドル型(電動カート)などがあります。どの電動車いすも歩行者扱いとなるため、運転免許証がなくても屋外走行が可能です。 なお、電動車いすには介助者の負担を軽減する介助用もあります。少ない力で押せたり、下り坂で自動ブレーキがかかったりなど、介助者が疲れにくい機能が搭載されています。 利用者が使いやすい車いすの選び方 利用者が使いやすい車いすを選ぶ3つのポイントを解説します。 利用者の身体のサイズに合わせる 車いすを選ぶ際は、利用者の身体のサイズに合っているか確認しましょう。以下に、確認するとよい点をまとめました。 確認する箇所ポイント座面の幅・お尻の幅+約3~5㎝座面の高さ・ひざ下からかかとまでの高さ+約5〜8㎝(利用者が足でこぐなら+約0~2㎝)・座面にクッションを敷くなら厚みを差し引く座面の奥行き・お尻の後ろの端から膝裏までの長さ-約5~7cmアームサポートの高さ・座って肘を無理なく曲げた位置が目安・食卓や机などの高さも考慮する背もたれの高さ・自走できるなら肩甲骨の下あたり 利用者の身体のサイズに合った車いすを選ぶと乗り心地が良く、長時間でも快適に使用できます。さらに、転倒や車いすからの転落、床ずれなどのリスクも減らせます。 なお、介助者が押しやすい高さに手押しハンドルがあるかも確認しておきましょう。 利用者の身体の状態に合わせる 利用者の身体の状態によって、使いやすい車いすは異なります。 例えば、自分の手や足で車いすを動かす体力がある方は、自走式車いすがおすすめです。一方、自分で車いすを操作できますが自走する体力がない方は、電動車いすが使いやすいです。 自分で操作ができない方は、姿勢を保てるなら介助式車いす、姿勢が保てないならリクライニング・ティルト車いすを選びましょう。 使用する環境に合わせる 車いすを選ぶ際は、使用する環境も考慮しましょう。以下は、使用する環境に合わせた車いす選びの具体例です。 狭い室内で使用するなら小回りが利く車いす 屋外での使用が多いなら段差があっても進みやすく乗り心地がよい車いす 持ち運びが多いなら軽くてコンパクトにたためる車いす 使用する環境を具体的に想像し、どのような車いすなら利用者も介助者も使いやすいか考えてみましょう。 車いすのパーツ別確認ポイント 車いすは同じ種類であっても、パーツの違いで使いやすさや乗り心地が異なります。ここからは、パーツ別の確認ポイントを解説します。 タイヤの種類 車いすのタイヤは、エアタイヤとノーパンクタイヤの2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。 タイヤの種類特徴エアタイヤ・空気を入れて使用する・空気がクッションとなるため乗り心地がよい・空気圧の確認や空気入れなど定期的なメンテナンスが必要ノーパンクタイヤ・空気ではなく樹脂が中に入っている・空気を入れる必要がないため、定期的なメンテナンスは不要・乗り心地はエアタイヤより劣る・比較的重く、購入時や交換時の値段が高め なお、中にスポンジ状の素材を入れ、乗り心地が改善されているノーパンクタイヤもあります。 車輪のサイズ 車輪のサイズによって、車いすの使いやすさは異なります。 例えば、車輪のサイズが大きいと段差を乗り越えやすいため、安全性が高いです。さらに、ひとこぎで進む距離が長く、少ない力で移動できます。 一方、車輪のサイズが小さいと小回りが利くため、狭い室内や人ごみでも使いやすいです。 フレームの素材 車いすは使用されているフレームの素材によって、耐久性や重量などが変わります。一般的には、比較的軽く強度も強いアルミ製フレームが使用されています。 スチール製フレームは重量がありますが、頑丈で耐久性が高いです。比較的安価で購入できるため、介護施設や病院などでよく使われています。 車いすの方を介助する際の注意点 ここからは、安全に車いすの方を介助するための注意点を3つ解説します。 車いすを利用する前に必ず点検する 車いすを利用する前に、必ず以下を点検しましょう。 ブレーキはかかるか タイヤの空気は入っているか 車輪がスムーズに動くか ねじがゆるんでいるところはないか 壊れているところはないか 事前に車いすを丁寧に点検することで、転倒や転落などの事故を防げます。 動作の前に利用者へ声をかける 車いすを動かすときや止まるとき、段差を越えるときなど、何かしらの動作をする前には利用者へ声をかけましょう。急に動いたり止まったりすると、利用者は安心して車いすに乗れません。 「今から右に曲がりますね」「これから坂道を上りますよ」など、今後どのように動くのか利用者にもわかるような声をかけましょう。 段差や急な坂道は後ろ向きで降りる 段差や急な坂道は、後ろ向きで降りたほうが安全です。前向きで降りると、利用者が転がり落ちてしまう恐れがあります。 なお、車いすを後ろ向きにして降りるのは利用者に不安を与えます。不安を取り除くためにも、声かけをしてから介助しましょう。 まとめ 車いすは自走式や介助式などさまざまな種類があり、機能や値段が異なります。そのため、利用者の身体の状態や使用環境などに合わせて車いすを選ぶことが大切です。 ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談しながら、利用者と介助者が使いやすい車いすを見つけましょう。 参考文献 「電動車いすの安全利用について」 警察庁 「福祉用具・住宅改修」 厚生労働省 「どんなサービスがあるの?‐福祉用具貸与」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省 「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」 厚生労働省 「車椅子の介助をする際の注意点と車いすの操作方法を紹介」 だれでも東京「車いすの介助方法について」 神奈川県
2025.11.07
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【相談事例も紹介】地域包括支援センターとは?役割や利用対象者などについて徹底解説
家族が介護を必要とする状態になった時、「何から始めればいい?」「どこに相談したら良いか分からない」と、漠然とした不安を感じる方は少なくありません。そのような時に心強い味方になってくれるのが、高齢者介護の相談窓口である地域包括支援センターです。 この記事では、地域包括支援センターがどのような役割を持ち、どのような方が利用できるのか、具体的な相談内容の例などについて分かりやすく解説します。 地域包括支援センターとは 地域包括支援センターとは、市町村が設置主体となり、住民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、無料で介護・医療・福祉などの相談に応じるとともに、必要な支援・援助につなげてくれる機関です。 同センターは、市町村が直営するものもあれば、社会福祉法人や社会福祉協議会、医療法人などが委託を受けて運営するものもあります。おおむね、中学校区ごとに設置され、後述する各種相談に応じるとともに、要介護認定の申請窓口としての機能を持っています。 センターには保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等が配置(後述)され、それぞれの専門性を発揮しながら、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために様々な支援を行います。 高齢者や家族、地域住民の生活・福祉をあらゆる面からサポートしてくれる、まさに、地域の相談窓口と言えます。 居宅介護支援事業所との違い 介護について調べていると「居宅介護支援事業所」という言葉も目にするでしょう。両者の違いを理解しておくことで、適切な相談先を選べます。 地域包括支援センターは高齢者やその家族、地域住民など幅広い人が相談に訪れることができ、地域全体の高齢者支援を担当します。一方、居宅介護支援事業所は主に要介護1〜5の方を対象とし、具体的なケアプランの作成や介護サービス事業所の紹介などを専門に行います。 つまり、介護が必要になった初期段階や、どこに相談すればよいか分からない段階では地域包括支援センターへ、すでに要介護認定を受けていて具体的なサービス利用を検討する段階では居宅介護支援事業所へ相談するのが一般的です。地域包括支援センターから適切な事業所を紹介してもらうこともできます。 地域包括支援センターの4つの役割 地域包括支援センターは、主要な4つの事業を通して地域住民の福祉を向上させる役割を担っています。それぞれが、どのような内容なのか詳しく説明します。 生活や介護に関する総合相談(総合相談支援事業) 地域包括支援センターは、生活や介護に関することだけでなく、医療、健康、住まいに関する相談を幅広く受け付けています。そのうえで、高齢者・家族の抱える悩みを聞き、様々な制度やネットワークを活用して、適切な支援制度やサービスへ繋げてくれます。 上記以外でも「要介護認定の申請をしたい」「どこに相談したら良いか分からない」、「そもそも、相談して良い内容か分からない」といった些細な相談も受け付けてくれるので、困ったことがあれば、まずは地域包括支援センターに連絡することをおすすめします。 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業) 介護予防ケアマネジメントとは、地域に住む高齢者が要介護状態にならないように、健康づくりや介護予防を支援する事業です。 高齢者や家族の相談に応じるなかで、その方の心身状況や希望を踏まえたうえで、健康的な生活の送り方や、サービスの利用に関する助言・紹介をしています。 また、要介護認定で要支援1・2と判定された方が、加齢や病気によって心身が悪化しないように、介護予防を目的としたケアプラン(介護予防サービス・支援計画書)を立案します。 権利擁護事業 権利擁護事業とは、高齢者が本来持つ権利や財産を守るための取り組みです。 高齢者のなかには、自身が認知症になって財産管理や契約行為が難しくなったり、家族から虐待を受けていて人権が侵害されていたり、特殊詐欺や悪徳商法によって被害に遭ったりしている人もいます。 地域包括支援センターでは、このような方たちの権利が侵害されることがないよう、成年後見制度の紹介・活用促進や、高齢者虐待の予防・早期発見、悪質商法や詐欺の被害を防ぐ取り組みを行っています。 包括的・継続的ケアマネジメント支援 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業とは、地域の医療・福祉機関が緊密に情報共有・連携できるよう、ネットワークを構築したり、連携の質的向上を図ったりする取り組みです。 高齢者が住み慣れた地域で生活していくためには、必要なサービスが適切に利用できるよう、地域全体でその環境・体制を整えていなければなりません。 そこで、地域包括支援センターが中心となって、地域で活躍する介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)の指導・支援を行うとともに、医療機関や支援機関とミーティングを行って意見交換し、必要に応じて連携が取れる体制を整えています。 地域包括支援センターの相談事例 実際にどのような相談が寄せられているのか、具体例を見てみましょう。 相談事例1:介護保険の申請について 「母が最近足腰が弱くなり、買い物に困っている。介護保険を使いたいがどうすればよいか」という相談。センターで申請手続きの説明を受け、認定調査まで案内してもらえます。 相談事例2:認知症の疑い 「父の物忘れがひどくなり、同じことを何度も聞いてくる。どうすればよいか」という相談。かかりつけ医への受診を勧められたり、必要に応じて認知症専門医の紹介をしてくれます。また、家族の接し方についてのアドバイスも受けられます。 相談事例3:退院後の生活不安 「入院していた母が退院するが、自宅での生活が心配。どんな準備が必要か」という相談。退院前から介入し、必要なサービスや福祉用具の手配を支援します。 相談事例4:交友関係について 「父が定年退職後、家に引きこもりがちで心配。同年代の友達をつくる機会がほしい」という相談。地域の体操教室、趣味のサークル、サロン活動など、地域で開催されている様々な交流の場を紹介してもらえます。社会参加を促すことで、介護予防にもつながります。 相談事例5:介護と仕事の両立 「仕事をしながら親の介護ができるか不安」という相談。デイサービスなどの利用で介護負担を軽減する方法を提案してもらえます。 事例以外にも高齢者福祉に関する幅広い悩みごとを相談することができるため、悩みや不安があれば、一度地域包括支援センターに相談してみてください。 対応してくれる専門職 地域包括支援センターに勤務し、活躍する専門職を紹介します。それぞれの専門職がどのような役割を担っているのか説明します。 保健師(看護師) 地域包括支援センターの保健師は、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応 要支援状態の悪化防止に役立つ取り組み 要支援1・2の方の介護予防ケアプラン作成 心身の健康維持の取り組み など 社会福祉士 地域包括支援センターの社会福祉士は、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応 高齢者虐待の防止、早期発見の取り組み 成年後見制度の啓発、利用促進 特殊詐欺などの予防啓発活動 その他の権利擁護事業 など 主任ケアマネジャー 地域包括支援センターの主任ケアマネジャーは、主に次の役割を担っています。 各種相談の対応 地域におけるネットワーク力を高めるための取り組み 地域で活躍するケアマネジャーの支援、助言 ケアマネジャーが抱える支援困難ケースへの指導、助言 など 利用対象者 地域包括支援センターの主な利用対象は、センターが設置されている地域に住む65歳以上の高齢者とその家族です。要介護認定を受けているかどうかは問われていません。 また、地域で活躍するケアマネジャーなど、介護・福祉、医療分野で活躍する専門職も同センターを利用できます。気軽に問い合わせて助言を得たり、情報交換したりすることができます。 費用・相談方法 地域包括支援センターは、全国どこのセンターでも無料で利用できるので安心です。直接、地域包括支援センターを訪問して相談することもできますが、電話相談をすることも可能です。 地域包括支援センターの利用方法 地域包括支援センターは、おおむね中学校区に1つが設置されており、どのセンターがどこの地域を担当するかは、あらかじめ市町村が決めています。 初めて利用する場合は、まずは自治体の担当窓口へ連絡し、自分の住む地域を担当する地域包括支援センターに関する情報を得ましょう。 その後、該当するセンターへ電話連絡し、相談の予約を取ると良いでしょう。緊急の場合は、予約がない状態でもセンターへ足を運んでみましょう。 地域包括支援センターは初めての相談先として最適 インターネット上では「地域包括支援センターでは期待していた効果が得られなかった」という声も見られます。しかし、その評判は本当に正しいのでしょうか? 地域包括支援センターは直接的な介護サービスの提供などをする場所ではなく、あくまで支援や相談・紹介などがメインです。 実際の要介護認定や介護サービスを受けるためには、支援者が実際に連絡するなど行動が必要になることがあります。 そのため、本来の役割を超えた対応を期待していた方にとっては、「期待していたサービスが受けられなかった」と感じることがあるのは事実です。 しかし、センターの役割を正しく理解した上で利用すれば、介護を始める上で非常に心強い存在となります。役立つポイントとしては下記の3つがあります。 初めての相談先として最適 介護保険制度は複雑で、初めての方には分かりにくいものです。地域包括支援センターは、そのような方々の「最初の一歩」をサポートする役割を担っています。何から始めればよいか分からない段階でも、丁寧に道筋を示してくれます。 地域資源とのつながり 地域の医療機関、介護事業所などとのネットワークを持っているため、個人では知り得ない情報やサービスを紹介してもらえます。この「つなぐ力」こそが、センターの大きな強みです。 公的機関としての安心感 民間事業所と異なり、営利目的ではない公的機関です。特定の事業所に偏らない中立的な立場から助言が受けられるため、初めて介護に向き合う方にとって安心できる相談先と言えます。 介護での悩みは一人で解決することは難しく、専門家に相談することが大切です。地域包括支援センター以外にも、市区町村の福祉課、居宅支援事業所、社会福祉協議会など相談できる場は多くあります。 介護に関して悩みや不安がある場合は、ぜひ専門家や公的機関に相談をしてみてください。 よくある質問 相談したら必ず介護サービスを受けなければならない? いいえ、必ずしも介護サービスを利用する必要はありません。相談内容に応じて、保健師や主任ケアマネジャーが、必要な情報提供や助言、適切な支援機関の紹介を行いますが、介護サービスの利用は必須ではありません。 相談内容や個人情報は守られる? はい、相談内容や個人情報は守られますので安心して相談できます。相談内容によっては「人に知られたくない」「相談したこと自体、他者に知られたくない」という場合もあるかもしれませんが、専門職が相談内容に関して、他者に漏らすことはありませんし、個人情報も適切な形で秘匿されるので安心です。 要介護認定の申請や手続きをしてもらえるか? はい、要介護認定の申請や手続きを代行することも可能です。申請が億劫な方や、介護保険の内容がよく分からない方は、気軽に相談してみましょう。 また、主治医・かかりつけ医がいない場合でも、相談に応じてもらえます。場合によっては、新たに医療機関を受診して、主治医となる医師を決めるまでのプロセスまでサポートしてくれます。 センターへ行くことが難しい場合はどうしたらいい? 事情があって地域包括支援センターへ行くことが難しければ、状況によっては、職員が訪問してくれる場合もあります。まずは、電話で相談してみましょう。 認知症について詳しく知りたい。教えてくれる? はい、地域包括支援センターには認知症に詳しい専門職がいますので、気軽に相談してみましょう。認知症の特徴や、対応方法などを詳しく教えてくれるだけでなく、認知症の診断や治療に関する情報提供や、適切なアドバイスを受けることができます。 まとめ この記事では、地域包括支援センターがどのような役割を持ち、どのような方が利用できるのか、具体的な相談内容の例などについて解説しました。 地域包括支援センターは、私たちの相談に応じて必要な支援・援助につなげてくれる機関です。将来、何かあったときに備えて、あらかじめ同センターと繋がっておくことを勧めます。 まずは、自分の住んでいる地域を担当するセンターに関する情報を収集することから始めてみましょう。 参考文献 「地域包括支援センターについて」厚生労働省 「地域包括支援センター」公表されている生活関連情報について 介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
2025.09.01
