「介護サービスを利用したいけれど、手続きが難しそう」「どのサービスが自分に合っているのか分からない」など、悩みを抱えている方もおられるのではないでしょうか。
そのような方におすすめのサービスが、居宅介護支援(ケアマネジメント)です。
居宅介護支援は、自宅で生活する要介護高齢者(以下、利用者)が自立した日常を送れるよう、ケアマネジャーがケアプランの作成や各種サービス機関との調整を行ってくれるサービスです。
この記事では、居宅介護支援の概要を説明するとともに、居宅介護支援事業所の提供するサービスを紹介します。

居宅介護支援とは

居宅介護支援とは、ケアマネジャーが利用者の相談に応じ、どのような介護サービスを、どれくらいの頻度で利用するのかを定めたプラン(ケアプラン)を作成し、スムーズに利用できるよう調整・段取りしてくれるサービスです。ケアマネジメントとも言います。
居宅介護支援による一連のサービス(介護相談、ケアプラン作成、モニタリングなど)は、すべて介護保険制度によって賄われるため、利用者は費用を負担する必要はありません。

居宅介護支援事業所とは

居宅介護支援事業所とは、ケアマネジャーを配置し、居宅介護支援のサービスを提供している事業所を指します。
社会福祉法人や医療法人、NPO法人などによって運営されており、所属するケアマネジャーが、地域に住む利用者・家族の相談に応じ、ニーズに合うケアプランの作成を行っています。事業所によっては「ケアプランセンター」という名称を使っている場合があります。

ケアマネジャー

居宅介護支援において、重要な役割を担っているのがケアマネジャーです。彼らは医療や介護・福祉分野の国家資格を持ちながら、その分野での実務経験を有する専門職です。
ケアマネジャーは利用者の心身の状態や希望に合わせてケアプランを作成し、滞りなく介護サービスが利用できるよう様々な調整を行う役割を担っています。
ケアマネジャーは原則として、利用者への身体介助や買い物代行といった直接的な支援を行う専門職ではありません。介護に関する相談、ケアプランの作成によって高齢者本人や家族の負担を軽減し、より安心できる介護生活が送れるようサポートしてくれます。

利用の対象者・条件

居宅介護支援を利用できるのは、主に自宅に住む65歳以上で、要介護認定において要介護1〜5と判定された方です。
なお、要支援1・2の方は介護予防給付の対象となり、地域包括支援センターがその方たちのケアマネジメント(介護相談、ケアプラン作成、モニタリングなど)を行います。

利用できるサービス

居宅介護支援で受けられるサービスは次のとおりです。

介護に関する相談

利用者や家族の介護に関する相談に応じてくれます。一人ひとりの抱える不安や心配に寄り添いつつ、その解決を目指すための方法を提案したり、支援機関へ繋いでくれたりします。

ケアプランの作成

居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、利用者が介護保険サービスを受ける際に必要となるケアプラン(居宅介護サービス計画)を立案します。
ケアプランとは、利用者の要介護度やニーズに合わせて、どのような介護サービスを、どのくらいの頻度で利用するのかを具体的に記した計画書です。
ケアプランには次の内容が書かれています。

  • 利用者の長期的目標
  • 支援内容の方針
  • 介護サービスの内容、注意点
  • 介護サービスの利用頻度、回数
  • サービス担当者会議(利用者や家族、介護サービス事業者などが集まり、介護方針の決定や情報交換などを行う場)で話し合う要点
  • 利用者から相談内容、事業者との連絡内容
  • 利用者負担額 など

モニタリングとプランの見直し

モニタリングとは、現在利用している介護サービスに過不足はないか、品質に問題がないか、内容は充実しているか、などをチェックし、必要に応じてプランを見直し、介護サービスの内容・量を変更するプロセスを指します。
ケアプランは、利用者の心身機能の変化に合わせて、その内容をアップデートしなければなりません。なぜなら、利用者が認知症や病気になって、心身機能が衰えた場合には、現在利用しているサービスが適切とは限らないからです。
このため、ケアマネジャーは、利用者や家族、介護サービスに関わる担当者を一同に集めてサービス担当者会議を開いてモニタリングを行い、必要に応じてケアプランを変更し、介護サービスの品質の維持、質的向上につなげています。

要介護認定の申請、手続きの代行

要介護認定の申請や手続きは、本人が行うことを原則としていますが、何らかの事情(例:関節リウマチで文字が書けない、足腰が悪く市町村窓口へ行くことができないなど)で申請ができない場合は、居宅介護支援事業所が代理申請や手続きの代行をしてくれます。

居宅介護支援の料金

居宅介護支援の費用は、全て介護保険で賄われます。そのため利用者の自己負担はなく、無料でケアプランを作ってもらえます。
ただし、介護保険料を滞納している場合には、一旦利用者が全額負担しなければなりません。その際、居宅介護支援事業所からサービス提供証明書が発行されるので、それを市町村窓口に提出すると負担額が還付されます。

居宅介護支援を利用する流れ

ここからは、居宅介護支援を利用する流れを説明します。

内容詳細
1要介護認定を申請し、判定を受ける市町村の窓口に要介護認定の申請を行い、訪問調査を受けて要介護1~5に判定される。
2居宅介護支援事業所を選ぶ市町村窓口から居宅介護支援事業者のリストが示される。そのなかから、自身の希望する事業所を選ぶ(後述)。
3居宅介護支援事業所と契約する選択した居宅介護支援事業所と面談を行い、問題がなければ契約を結ぶ。
4担当のケアマネジャーを決める居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーを選ぶ。自分で選ぶことが難しければ、事業所に任せてもOK。
5ケアプラン作成ケアマネジャーが、利用者や家族の希望に沿って、ケアプランを作成する。このプランによって、介護サービスの種類や利用回数が定められる。
6サービスの利用開始とモニタリングケアプランに沿って介護サービスを利用する。定期的に利用状況のモニタリングが行われる。
7プランの変更利用者の心身状況に変化があったり、生活環境が変わったりした場合には、ケアプランの内容がアップデートされる。

居宅介護支援事業所の選び方

数ある居宅介護支援事業所から、私たちはどのようにして選んだら良いのでしょうか。以下、選び方のポイントを示します。

事業所が自宅から近い場所にある

居宅介護支援事業所が自宅から近い場所にあると良いでしょう。
自宅での介護生活には不安や困りごとが付き物なので、すぐに相談できる場所にある事業所を選べば、便利に使うことができるからです。

事業所に併設される施設・機関があるか

居宅介護支援事業所の多くは、社会福祉法人や医療法人、社会医療法人などが運営しています。
この場合、事業所に特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスや、地域包括支援センターなどの施設・機関が併設されていることがあり、利用者は、居宅介護支援事業所での相談をすることだけでなく、併設される施設・機能の提供するサービスを受けることができます。
文字通り、ワンストップで相談から介護サービス利用まで受けられるため、利用者にとっては安心で便利です。

ケアマネジャーとの相性

担当になったケアマネジャーとの相性が大切です。
相談しやすいか、親身になって話を聞いてくれるか、適度に連絡をくれるかなど、ケアマネジャーとしての仕事の様子を見て、自身の生活を任せて良いかどうか判断すると良いでしょう。

居宅介護支援のメリット・デメリット

居宅介護支援のメリット

居宅介護支援のメリットは、費用がかからない点です。無料で介護に関する相談ができ、ケアマネジャーがケアプランの作成や介護サービス機関との調整を行ってくれるのは、この上ない利点でしょう。
介護保険サービスは、制度が複雑で手続きが面倒ですが、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、丁寧に教えてくれて最適なサービスが利用できるよう、その機関と調整してくれます。そのなかで、サービス選び・施設選びなどで適切なアドバイスをしてくれる点も、利用者にとっては大きなメリットだといえるでしょう。

居宅介護支援のデメリット

居宅介護支援のデメリットは、ケアマネジャーの持つ知識や技術、ネットワークによって、サービス品質が異なることです。
担当のケアマネジャーが、資格こそ持っているものの、介護保険制度に詳しくない、地域における福祉サービス提供機関とのネットワークがない場合、サービスの利用調整がうまくいきません。
そのため、専門知識があることはもちろん、地域の介護事業所と顔なじみの関係があり、丁寧な仕事をしてくれるなど、能力の高いケアマネジャーを選ぶことが重要です。

訪問介護との違い

訪問介護とは、介護保険サービスの一つで、自宅に住む利用者の生活を支援するため、ホームヘルパーなどの介護職がお宅を訪問し、身体介護や生活援助を提供してくれるサービスです。
居宅介護支援との違いは次のとおりです。

居宅介護支援訪問介護
概要ケアプランの作成、サービス提供機関との連絡・調整ホームヘルパーによる身体介護、生活援助
対象主に自宅に住む要介護1~5の方主に自宅に住む要支援1・2、要介護1~5の方    
内容・介護相談
・要介護認定の手続き代行
・ケアプランの作成
・サービス提供機関との連絡調整
・食事介助
・入浴介助
・排泄介助
・調理、掃除
・身の回りの世話 など
サービス提供機関   居宅介護支援事業所訪問介護サービス提供事業所 

よくある質問

ここからは、居宅介護支援に関するよくある質問を紹介します。

居宅介護支援事業所を変えることはできる?

変更できます。
一度契約した居宅介護支援事業所でも、何か問題があって別の事業所へ切り替えたい場合には、市町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談のうえ、新事業所との接点を持ち、契約をし直すことができます。
なお、前事業所との解約については、契約書に記載されている事項に則って行われる(例:◯ヶ月前までに解約を書面で申し出る等)ため、よく読んで対応するようにしましょう。

担当のケアマネジャーを変更することはできる?

変更できます。
担当のケアマネジャーに何か問題があり、別のケアマネジャーに切り替えたい場合には、担当の居宅介護支援事業所に相談しましょう。
新しいケアマネジャーとの面談の機会を持ち、前ケアマネジャーから業務や情報を引き継いでくれるよう依頼すると良いでしょう。

まとめ

この記事では、居宅介護支援のサービス内容を紹介するとともに、その利用方法や料金について説明しました。
居宅介護支援は、ケアマネジャーが自分に合った介護サービスをスムーズに利用できるようケアプランを作成したり、機関との調整を行ってくれるサービスです。
担当のケアマネジャーに相談し、自身の希望に合ったケアプランを作成し、サービス調整をしてもらうようにし、自宅での自分らしい生活を充実させましょう。

参考文献

  1. 「どんなサービスがあるの? – 居宅介護支援」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
  2. 「居宅介護支援の基本資料」厚生労働省

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