排泄介助について、種類別に手順やポイントを解説しています。

具体的な介護行為のことを介助と呼びます。この介助の中でも『食事』『入浴』と並んで三大介助とされるのが『排泄』です。

人間は生きるために『食事』をし栄養を摂取します。すると老廃物を出す『排泄』も必ず発生しますね。排泄は生きている人間にとって一生続く行為です。

そんな排泄に対する介助にはどんな方法があるのか?
〇個室トイレ
〇ポータブルトイレ
〇尿器・差し込み便器
〇おむつ
の段階を追って見ていきましょう。

※本文の前に…
排泄介助をする上で、尿意・便意が要介助者本人にあるかどうか・伝えらえるかどうか?ということも重要なポイントです。
尿意・便意を感じにくくなっている場合は、介助者がタイミングを測って排泄に誘導する必要があります。

個室トイレ

一般的な個室のトイレを使用する場合です。

まずはこの方法がとれるかどうかを検討することが多いかと思います。

個室トイレの介助手順

要介助者本人からの要望があったら、トイレへ移動します。

導線となる箇所に障害物になりそうなものが無いか確認しましょう。

自力で歩ける場合は見守りまたは手引きをします。歩行器や車いすなど移動に補助が必要な場合は、福祉用具を安全に使用出来るよう支援し、トイレへ向かいます。

トイレに到着したら、着座と衣服の脱ぎ下ろしを支援します。

この時、バランスを崩しやすく転倒リスクが上がるため、

  • 手すりや介助者につかまってもらい身体をしっかり支えること
  • 体重の移動をゆっくりすること
  • 脱ぎ着しやすい衣服を着用すること

などに気を付けましょう。衣服を脱ぎ終えたら便器に着座します。

排泄中は出来るだけ個室内に本人1人になれるようにします。

排泄中にバランスを崩し転倒してしまう恐れがある場合やいきみづらい時は、排泄姿勢を保持できるような福祉用具を利用する方法もあります。

排泄し終わったら声をかけてもらい、陰部を清潔にします。

立ち上がって衣服を整え、再度安全に配慮しながら居室へ戻ります。

ポータブルトイレ

要介助者のADLが下がってくると、「トイレまで間に合わない」「転倒リスクが高く歩行が安全でない」など個室トイレへの移動が難しくなるケースがあります。その場合は、ベッドなど普段過ごす場所の近くにポータブルトイレを置くことで排泄の自立を保つことが出来ます。なお、自力での移動が難しくなっても座位(座った姿勢)を取ることが出来ればトイレやポータブルトイレでの排泄が可能です。

ポータブルトイレは金属やプラスチック、木材などで作られた移動可能な簡易トイレです。多くのポータブルトイレの中には排泄物を受け止めるバケツが設置されており、排泄後はバケツをトイレに運んで溜まった排泄物を流し、綺麗に洗浄して再度設置します。

※弊社の『ラップポン』はこのタイプに該当します!

ポータブルトイレの介助手順

基本的な手順は個室トイレとほぼ同様ですが、移動に違いがあります。

ポータブルトイレは多くの場合で本人の過ごすベッドの近くなどに設置されるため歩く移動距離は短くなります。ただ、脚力が弱まり歩行に不安を抱える方が多いため、安全にポータブルトイレへ座れるように『移乗介助』が必要になることがあります。

自力で立ち上がりやお尻を持ち上げることが出来る場合は力を入れやすい位置に手すりを設置します。握った場所を支点として身体の向きを変えてポータブルトイレに座ります。場合によってはスライディングボードなど移乗支援用具を使用すると乗り移りやすくなります。自力でお尻を持ち上げることが出来ない場合は適切な用具等を使用し、周囲の安全を確保してから移乗を支援します。

バケツタイプのポータブルトイレ使用後は居室の衛生面を保つために、出来るだけ速やかにバケツ清掃を行うことが望ましいです。バケツに水を張り消臭剤等を使用することで排泄物の臭い等を軽減できます。

尿器・差し込み便器

安全に座ることやベッドからの移動が難しくなっても、尿意や便意を本人が感じることが可能な場合は尿器や差し込み便器を使うことでベッド上でも自分の意志で排泄が出来ます。

尿器・差し込み便器は皮膚を傷つけにくく清掃しやすいプラスチックやシリコン製が多く、それぞれ陰部に直接当てて使用します。排泄後は中身をトイレに流してから洗浄します。

尿器・差し込み便器の介助手順

ベッド上の要介助者本人の要望があったら用具を準備します。衣服をゆるめ、用具を陰部に当てて排泄します。差し込み便器の場合はお尻を浮かせて差し込む必要があるため、強く摩擦が起こらないよう配慮して介助します。

排泄後は陰部を清潔にし、衣服を整えてから用具を洗浄します。

おむつ

ベッドからの移動が難しく尿意や便意が感じにくくなると、おむつを着用して排泄をします。おむつに排泄物が長時間付着していると皮膚のトラブルや感染症などのリスクが高まるため、排泄後はできるだけ速やかに新しいおむつに交換することが望ましいです。

おむつの介助手順

ベッド上の要介助者におむつをあて、排泄があった場合は陰部を清潔にして新しいものに交換します。

おむつにはそれぞれ吸収可能な量が設定されているので、本人の排泄量に応じたものを選びましょう。サイズや形も様々ですが、一般的にベッド上で一日を過ごす要介助者にはテープ止めタイプのものを使用します。あて方が緩かったりずれたりすると漏れの原因となります。

交換したおむつを処分する時は、居住市区町村のごみ分別の規則を必ず確認してください。

排泄介助のポイント

排泄介助の方法についてご紹介しましたが、どの場合でも最も大切なことは「要介助者本人を尊重する」ということです。

排泄行為は日常生活の中で最もプライバシーが守られるべき行為です。人目に触れることは非常に強い羞恥心と苦痛を伴います。たとえ介助が必要となっても「介助を受けているのだから」と配慮を怠ると本人の自尊心を傷つけ、ADLやQOLの低下を招きます。

ですが、意志を尊重して見守るあまりに必要な手助けが行われず、排泄の失敗を繰り返してしまっても「当たり前の行為が出来なくなってしまった」と自尊心は大きく傷ついてしまいます。

本人の残存機能を生かした上でプライバシーを尊重し、適切な介助で出来る限り自立した排泄を続けていけるように支援していきましょう。

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