「冠婚葬祭で数日の間、家を空けなければならない」「介護者が病気で入院することになった」など、自宅での介護では、
こうした緊急時や一時的に介護ができない状況が発生します。
そんな時に利用したいのが施設に短期間入所できるショートステイサービスです。
ショートステイは、利用者または家族の事情で、一時的に施設へ入所することが必要な場合に利用できる介護保険サービスの一つです。
この記事を読んで、ショートステイの仕組みや利用方法を理解し、いざという時の選択肢として備えておきましょう。

ショートステイ(短期入所)とは

ショートステイとは、普段は家族の介護を受けながら生活している方が、一時的に特別養護老人ホームなどの介護施設に入所することができるサービスです。
自宅に住む要介護高齢者を対象としており、家族が一時的に家を空ける事情(冠婚葬祭等)がある場合などに利用できます。ショートステイには、特別養護老人ホームに短期入所する「短期入所生活介護」と、介護老人保健施設や介護医療院などに短期入所する「短期入所療養介護」の2種類があります(後述)。

ショートステイの利用目的と主な利用場面

ショートステイは、次の目的で利用できます。

  • 利用者の心身を保護するため
  • 自宅にこもっている利用者の孤立感の解消のため
  • 利用者の心身機能の維持・回復や、適切な医療的ケアのため
  • 家族の介護負担を軽減するため

たとえば、利用者や家族が下記のような場合に利用することが多いです。

  • 利用者の心身の状況や病状が悪い。
  • 家族(介護者)が病気にかかっており、自宅での介護が難しい。
  • 家族が冠婚葬祭や、出張などで一時的に家を離れる。
  • 家族の身体的・精神的負担が大きく、軽減することが求められる。
  • その他、利用者または家族の事情で、一時的に施設へ短期的に入所する必要がある。

ショートステイは連続して利用できるのが、最大30日間までと定められています。これを超えて利用した場合、その超過分は介護保険が適用されず自己負担となるため、注意が必要です。
ただし、利用者の健康状態などによって、延長利用の必要性が認められる場合は、介護保険の適用を受けてサービスを利用し続けることが可能です。

ショートステイの利用条件

ショートステイの対象は、次の要件を満たす方です。

  • 要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と判定された方
  • 自宅に住んでおり、介護が必要な状態の方

ただし、上記に当てはまらない方でも、いわゆる「有料ショートステイ」であれば利用することが可能です。
有料ショートステイとは、有料老人ホームなどに短期入所することができる民間の介護サービスです。
この場合、介護保険が適用されないため、要介護認定の有無は問われませんが、利用料は全額自己負担となります。

ショートステイの種類

先述のとおり、ショートステイには

  • 特別養護老人ホームに短期入所する「短期入所生活介護」
  • 介護老人保健施設や介護医療院などに短期入所する「短期入所療養介護」

の2種類があります。
それぞれには、次のような特徴があります。

サービス名 (短期入所する施設)主な対象内容・特徴
短期入所 生活介護
特別養護老人ホーム
 支援や介護を必要とする高齢者施設には身体的介助や身の回りの世話に関するサービスが提供される。
よって、医療的ケアはそこまで必要なく、日常的な支援や介助を必要とする場合に利用することができる。
短期入所 療養介護
介護老人保健施設など)
支援や介護だけでなく、医療的なケアが必要な高齢者施設には医師や看護師が常駐しており、医療的ケアが提供できる体制が整っている。
よって、利用者が施設で生活を送るうえで、胃ろうやインスリン注射、痰の吸引などの医療的なケアが必要な場合に利用することができる。

参考:「どんなサービスがあるの? – 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
参考:「どんなサービスがあるの? – 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省

生活するなかで医療的ケアを必要とする場合は、ショートステイ先として介護老人保健施設や介護医療院を選ぶと良いでしょう。

ショートステイの具体的なサービス内容

ショートステイでは、次のサービスが提供されます。

項目内容
身体介助・ 日常生活の世話利用者が施設で生活を送るうえでの介助・支援が提供される。
・食事、入浴、排泄などの介助
・居室の掃除、衣類の洗濯 など
リハビリ テーション・ 機能訓練利用者の心身機能の維持・回復を目的に、次のリハビリテーションや機能訓練が提供される。
・ 歩行訓練
・関節可動域訓練
・体操
・マッサージ
・嚥下体操、口腔体操 など
医療、看護利用者の健康状態の管理や、必要に応じて医療的なケアが提供される。
・バイタルチェック(脈拍、血圧、体温の測定)
・褥瘡(床ずれ)の処置
・痰の吸引
・服薬管理
・湿布の貼り替え など
レクリエーション利用者の生活意欲を高めるためのレクリエーション・余暇活動が提供される。
・ 健康体操
・脳トレ
・季節に応じたレクリエーション など
その他上記以外の生活上の支援、身の回りの世話

ショートステイにかかる費用

ショートステイを利用する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
以下は、一般的な施設でショートステイをした場合にかかる料金の目安です。

特別養護老人ホームのショートステイ

サービス費用の設定要介護区分1日あたりの利用者負担 (1割の場合)
併設型・多床室の場合要支援1451円
要支援2561円
要介護1603円
要介護2672円
要介護3745円
要介護4815円
要介護5884円

参考:「どんなサービスがあるの? – 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省

介護老人保健施設のショートステイ

 1日あたりの利用者負担(1割の場合)
 従来型個室※1ユニット型個室※2
 従来型※3在宅強化型※4従来型在宅強化型
要支援1579円632円624円680円
要支援2726円778円789円846円
要介護1753円819円836円906円
要介護2801円893円883円983円
要介護3864円958円948円1,048円
要介護4918円1,017円1,003円1,106円
要介護5971円1,074円1,056円1,165円

参考:「どんなサービスがあるの? – 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省

ただし、上記には日常生活費(食費や滞在費など)が含まれていません。また、サービス費用は、施設の形態や居室の種類、職員の配置などによって異なりますので、詳しく知りたい方は、担当のケアマネジャーに相談してください。

※1:病院における病室のようなつくりで、1人が1部屋を利用する居室タイプ。
※2:少人数のグループ(ユニット)に分かれ、グループごとにリビングなどの共用スペースが設けられ、その周りに個室が配置された居室タイプ。
※3:基本型とも言われ、在宅強化型などの特徴がない施設を指す。※4:入居者の在宅復帰率が高い点に特徴がある施設を指す。

ショートステイの利用の流れ

ケアマネジャーに相談

担当のケアマネジャーに連絡し、ショートステイの利用希望を伝えます。ケアマネジャーは利用者や家族から事情を聞き、ショートステイを必要とするニーズや期間を十分に把握したうえで、次のステップへ進みます。

施設の選定

次に、ショートステイ先(介護施設)を選びます。施設は、役所から情報を得たり、インターネットを検索したりして自分で探すこともできますが、担当のケアマネジャーに情報収集してもらい、そのなかから評判が良く、自身のニーズに適った施設を選んでもらうと良いでしょう。

空き状況の確認とケアプランの作成

施設を選んだら担当のケアマネジャーが、施設へ利用者の情報(疾患や障害の有無など)を伝えるとともに、空き状況を確認します。
利用者の利用日程と、施設の空き状況が合致し、施設の受け入れに問題がなければ、ケアプランのなかにショートステイを組み入れます。

契約と利用開始前の準備

ケアプランを作成し、サービスを利用できる準備が整ったら施設との契約を結びます。その際に、ケアマネジャーからどのような段取りで利用するのか、注意事項などの説明があります。
その後、短期入所する日程が近づいたら、施設での生活に必要な物(日用品、お薬など)を準備します。

ショートステイを利用

ケアプランに沿ってショートステイを利用します。利用者は短期入所した日数などに応じて費用を支払いますが、介護保険制度が適用されるため、自己負担は1割で済みます(所得に応じて2〜3割)。
先述のとおり、ショートステイは連続して利用できる日数が、原則として30日間と定められていますので、注意が必要です。

ショートステイにおける施設選びのポイント

ショートステイ先の施設は、どのような視点で選べば良いのでしょうか。以下、ポイントを紹介します。

サービス内容がニーズに合致しているか(医療的ケアの要否)

ショートステイの施設が提供するサービスと、利用者が必要としているニーズが合致するか、あらかじめチェックしましょう。特に医療的ケアを必要とする場合、特別養護老人ホームではなく、介護老人保健施設や介護医療院などを選びます。

施設見学・入居者の様子

ショートステイを利用する前に施設見学を行い、入居者の様子をチェックしましょう。
利用者の表情や、施設での過ごし方をチェックし、穏やかに過ごすことができているかを確認すると良いでしょう。

スタッフの対応

施設で働く介護職員、看護師の対応が良いかどうかチェックしましょう。
対応品質は職員によって多少異なることはあるものの、対応する際の言葉遣いは適切か、にこやかな表情かどうか、スタッフ間のコミュニケーションが図られているかなど、確認すると良いでしょう。

ショートステイの1日の流れ(1泊2日の場合)

1泊2日でショートステイを利用した場合、次のようなスケジュールとなります。

日程時間内容
1 日 目9時~10時施設への送迎、入居
10時~バイタル(脈拍、血圧など)のチェック
11時~昼食前の口腔(嚥下)体操
12時~12時半昼食
12時半口腔ケア、服薬
13時~休憩
14時~趣味の時間、レクリエーションなど
15時~おやつ
15時半~趣味の時間、レクリエーションなど
17時半夕食前の口腔(嚥下)体操
18時~18時半夕食
18時半~口腔ケア、服薬
19時~21時趣味の時間、または自由時間
21時~就寝
2 日 目6時~起床
6時~6時半身だしなみを整える、着替え
7時~7時半朝食
7時半~口腔ケア、服薬、バイタルチェック
9時~入浴
11時半~昼食前の口腔(嚥下)体操
12時~12時半昼食
12時半口腔ケア、服薬
13時~レクリエーション、リハビリテーション
15時半退去準備
16時~退去、送迎

上記は一般的なショートステイのスケジュールです。施設によって時間・内容が異なるため、気になる方は施設の担当者、または担当のケアマネジャーに確認を取りましょう。

よくある質問

ここからは、ショートステイに関するよくある質問を示します。

介護者の休憩のためだけに利用できる?

はい、利用が可能です。
ショートステイは、家族介護者が休息を得ることを目的として利用することができます。
自宅での介護を続けるためには、主な介護者である家族の心身状況を安定させることが重要です。
よって、このサービスを積極的に利用して介護者が充分に休憩を取ることを勧めます。

年間の利用日数に制限はある?

はい、利用日数に関して次のような制限があります。

要介護認定の有効期間の半数を超えない範囲 例)要介護認定の有効期間が1年の場合、年間の利用日数は182日が上限となる。

なお、利用日数の管理は担当のケアマネジャーが行いますので、心配な方は相談・確認すると良いでしょう。

予約はできる?

はい、予約可能です。
ただし、週末や祝日、お盆期間中や年末年始休暇は特に利用が多くなるため、必ずしも予約が取れるとは限りません。特定の日程で利用が決まっているのならば、約2~3ヶ月前に予約を取ると良いでしょう。

緊急時も利用できる?

施設によって異なりますが、緊急時も利用できる場合があります。
家族が体調を悪くしたり、急な冠婚葬祭への参加をしたりする場合には、担当のケアマネジャーに相談し、緊急的に受け入れてくれる施設があるかどうか探してもらいましょう。

まとめ

この記事では、在宅介護を支える重要なサービスであるショートステイについて、サービス内容、対象、費用を解説しました。
在宅介護を続けるためには、本人だけでなく、介護者の心身の健康維持が大切です。
ショートステイを「いざという時の備え」として利用するのではなく、「無理なく介護を続けるための方法」として捉え、積極的に活用すると良いでしょう。
ショートステイに関して不安なことや、施設選びで困ったことがあれば、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

参考文献

  1. 「短期入所生活介護」厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回)
  2. 「短期入所療養介護」厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回)
  3. 「どんなサービスがあるの? – 短期入所生活介護(ショートステイ)」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
  4. 「どんなサービスがあるの? – 短期入所療養介護」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省

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